€9パス、はじまる

ドイツで物価高に対する目玉政策が始まりました。

公共交通機関1か月乗り放題券が€9。6月から8月まで3か月の販売。つまり最大€27で公共交通機関に3か月乗り放題。

なんやねんそれ…って話になると思うので細かいところは端折ってざっくり解説すると、ドイツの鉄道などで使える「1ヶ月パス」がたったの€9。ただし乗れるのは各駅停車や快速のみ。ICE(新幹線)などには乗れません。日本で言えば青春18きっぷが月€9で売られ始めた…と書けば通じるかな。日本のそれが一日あたり2050円なのに対し、こちらは30セント(40円)。安すぎ。

しかも、そこの奥さん聞いとくれ。このパス、なんとローカルバスなどにも有効。バスにも地下鉄にも乗れちゃう。東京で例えれば都バスと地下鉄を乗り継いで片道370円かかる移動なら一往復半でもとが取れちゃう。そうだ!ならば通勤定期なんかもこれに変えちゃえばいい。もとから公共交通機関で通勤・通学していた人には超絶朗報。

当然のことながらこのパスならその気になればドイツ国内のどこにだって行けます。各駅停車で青春18きっぷの旅…的なものが苦痛にならないという人には夢のようなきっぷですよ。これ。考えてみたら日本から夏休みに気ままなドイツ放浪の旅とかもありですよね。

というわけで破格とかそんなレベルじゃない。はっきり言ってチートレベルで設定がおかしい。当然の帰結として700万枚以上のパスが売れ、そうなるとこれまた当然の帰結として

ソース元:Der Tagesspiegel。これに自転車載せたりしてたら遅延必至よね。

…こうなる。

当たり前よね。ほんのちょっと前までコロナでソーシャルディスタンスがどうこうとか言ってたのはどこの星の話でしたっけ。

このパスは間違いなく今の連邦政府の政策によるもの。緑の党が与党入りしているのでこの政策を強烈に押したということは想像に難くない。最後まで財源はどうするよといった議論がなされていたけど結局連邦政府が各交通機関に補助金を出すということで押し切った感じ。そういえば日本でも高速道路1000円で乗り放題…とかいう壮大な社会実験があったよね。あれ、どうなったんだっけ。

こちらも果たしてこれは人々の生活様式を変える偉大なる一歩となる政策なのか、はたまた世紀の愚策か、高速道路の交通量とか列車の乗客数の変化とか総合的に検証する必要がありそうです。どっちにしても永劫的に行える政策じゃないことは確かですが。

そんな騒動を私は家で醒めた目で見てます。私だってこのパスは買える。あ、別に買うのに身分証明とか面倒なものは一切不要。ドイツ国鉄などの乗車券の販売機などで一日パスを買う感覚で買える。なんならアプリ上で紙じゃないきっぷも買える。観光客ももちろん買える。

なので、例えばうちの近所の駅からハノーファーまで片道€11.6かかるので片道の切符を買うよりも1か月のパスのほうが安いという異常な状態になる。なんだけど、私のような田舎に住んでいる人は、その最寄駅までのどうするかという問題が。

あるにはありますよ。バスが。本数は少ないけどさ。そのバスだって€9パスの対象なんだから乗れる。だけど、その最寄りのバス停まで徒歩30分、さらにバスで最寄り駅まで30分(車なら最寄り駅まで15分)なんだかんだでハノーファーまで片道2時間となれば…車で行きますがな(車なら1時間かからない)…という話に当然なる。というわけで、イナカ住みの私にはこれは完全に関係のないお話になりそうです。

で、実はもうひとつこの物価高に対する政策が始まったんですよ。こちらもまた期間限定ならがガソリンがリッターあたり30セント引き(補助)

5月30日。うちの近所のスタンド。リッター€2.55…ええっと…360円?!

なにせガソリンがリッター€2.3(320円)ですよ。昨年の最安値に比べたらほぼ倍になったと思う。かくして私の車はコンパクトカーとよばれるちっちゃい車なのに満タンにしたら諭吉さんがお釣りなしで飛んでく計算なんですよ。なので、こちらは素朴にありがたい。

で6月1日になると、ホントに30セントぽんと下がりました。が…

1週間ほど経つとすでにしれーっと10セントほど値上がりしてます。これ、暖房が必要な冬になったらどうなるんでしょうね。