おそロシアのおかげで起こったアウトバーンの(ある意味)良い変化


しばらく更新をサボっておりましたが、別に病気になったとかじゃなく、ひたすらにおろかな日々を過ごしてました。いや、過去形じゃないな、過ごしてます。

私が指摘するまでもなく私がぼーっと過ごしている間にも世界の話題の中心はコロナから戦争に移り、その影響が私の周りにもいろいろ出てきてます。世界の趨勢は信用できる他のサイトなりなんなりを参考にしていただくとして、ここでは私の周り半径数キロに絞ったお話をば。

ちなみにうちからキーウ(キエフ)までの距離はGoogle Mapによると1600キロ。東京から鹿児島が1400キロらしいです。無理やり同じ1600キロという距離を探すといわきから鹿児島。どうも遠い海の向こうの話…ではなさそうです。

この距離感ってのがちょっとしたミソで、ウクライナでの戦争そしてそれに伴う避難民の発生について、しつこいですがほかは知りませんが私の知る限りの人は優しいです。数年前から起こっている中東での内戦とその結果による難民には厳しい意見を持っていた人も、ウクライナからの避難民については手のひら返しと言ってもいいくらいの異なる意見を持っています。

それってどうなのよ、差別じゃないの?ってかなり直球に聞いてみたらこんな答えが返ってきました。

「中東の国の難民はずっとドイツに居るだろ?でもウクライナの人たちはあくまで『避難』だから。状況が落ち着けば国に戻られるはずだし」

はぁ。

これ、この人の特殊な意見ではなく、実際ウクライナから避難された人については国民健康保険がすぐに適用されるなどの優遇があるらしいです。例えが正しいかわかりませんが、どうも「ご近所さんが火事で焼け出された」(それに対して中東の国はどこか知らん人の家の火事)というのがどうも肌感覚のよう。

おらが村にもすでにウクライナからの避難民の方がやってきてます。数人の女性とその子供さん(ソースはローカル紙)。男性は来てません。詳しくは知りませんが、家族が分断されたのではないかということは容易に想像がつきます。状況が落ち着いて、ご家族が一緒に平穏に暮らせる日が来ることを祈るばかります。

そんな状況下、ここ数週間のガソリンの値段の上がり方がとにかくえげつない。リッターあたり50セントとか上がった気がします。

これが意外な効果を生んでまして。それを感じたのは久しぶりに走ったアウトバーンの上。インターから合流してしばらく走って妙な違和感を感じた。なんかとっても走りやすい優しい世界なのだ。

その理由はすぐに分かった。

明らかに平均車速が落ちている。

世界が憧れる(かどうかは知らんが)ドイツの速度無制限のアウトバーン。うちの近所にも無法地帯…じゃなかった、速度無制限の区間はあるのね。その片側3車線の区間、右端の第一走行帯は大型車が走っているので8-90キロでのんびり流れていて、中央は120から130キロくらいで流れている感じ。追越車線ではそれ以上、下手したら200キロ近い速度で走っているアホもいる気がする。シャレにならない速度差がある。なので、私が通常使うのは右と中央の2車線のみ。

追越車線に出ざるを得なくなる典型的な図。

…なんだけど、たまに大型車が追い越しのために中央車線をえんえんとゆっくり走っていたりするとやむをえず追越車線に出なきゃいけないようなことがたまにあるのね。この時に後ろから180キロとかで猛然とやってくる車がいるからかなり気を使うのだ。

もう何が言いたいかおわかりかと。そう、ガソリンの一滴は血の一滴とでも言わんばかりにそんな妖怪かっ飛びジジイが殆ど見られなくなった。わかりやすくほぼみんなゆっくり経済速度で走るようになった。結果追越車線に出てもさほどバックミラーを見つつドキドキしなくてもよくなった。

いや待て、日本(あるいはあなたのお住いの国)だってガソリンの値段は上がったがね…とおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、ここで出てくるのがドイツの特殊な事情。脱原発を進めつつ、ガスだ何だをロシアからの輸入に頼っていたものだからさあ大変。周辺の国に比べてもここまでねーだろってくらいガソリンなどの値段が上がってしまったわけ。

どんだけ上がったかはこれ見てよ(単位はセント)。

2020年12月20日 128.9

2021年5月22日 142.8

2021年10月27日 177.9

2022年2月5日 162.8

2022年3月7日 204.9

2022年3月17日 210.9

この1ヶ月の価格変動は文字通り異常。ちなみに上の値段は私が給油したとき。つまり、近隣で最安値のガソリンスタンドの最安値の時間帯を選んだ結果です。とりわけ1週間ほどの価格の変動は常軌を逸してまして、同じスタンドの値段が、このように1週間のうちに30セントほど変動していたりする。しつこいけど、これ、うちの近所の「最安値」のスタンドでの話ですからね。

ありがちな価格比較アプリよりうちの近所の最安ガススタの価格変動図。

というわけで感覚的に1ヶ月で50セントくらい上がったなと思っていたのですが、調べてガッテン実際そのとおりでした。2020年末と比べると€1も値上がりしてる。…ほぼ倍やんけ。そりゃみんなゆっくり走るわなと思います。言い方によっては今回の戦争で起こった「良い」変化と言えるかも。

この価格変動はもちろんおそロシアのあの御仁のせいと言えるんだけど、ある程度は予想がされていた事態でもあったのだ。というのも、ドイツの連立与党の一角に環境至上主義の緑の党が入ったことで、「ガソリンはリッター€2.5まで上がるよ」なんてどこまで冗談だかわからないようなことが語られていたのです。実際今年のはじめからガソリン税は増税された。そんな折に、「悪夢のような政権の」話が思わぬところからほんとに現実になるかもと。

そんなおり、本日3月20日よりドイツの公共の場所でのマスク着用義務などが解除されました。ただし、私の半径数キロでは4月2日まで着用義務が続きます。なんじゃそれって、ドイツという国単位では解除なのですが、私の住むニーダーザクセン州は州独自の規制としてマスク規制を4月2日まで延長するとのこと。全部は調べてませんが、他にも同じことをしている州があるらしいです。

昨日マスクをしてでかけた先は…近所のスーパー。私の生活範囲なんてこの2年ほどはうちから半径5キロ圏ですからいつも行くところはおんなじです。

スーパーで2年ぶりに見たもの。

またかよっ

まさにちょうど2年前でした。コロナのせいでロックダウンが始まりスーパーの棚からトイレットペーパーだ小麦粉だが消え去ったのですが、2年後に今度は戦争とかいう夢想すらしていなかった理由で同じことが起こってしまっています。見てのとおり、数量制限はかかり、品薄になりつつも品物がなくなったわけではないのでドイツの皆様も学ばれたのかな…という気がしなくてもないです。

ちょうど2年前。2020年3月撮影の同じ棚。
同じく2020年3月撮影。比較すると今回はさほどでもない気がしますね。