我が家の台所で世代交代が起こりました。なんのこっちゃって、これです。
ラジオです。
左側に仮置されているのが嫁が10代の時に手に入れたラジカセらしい。
ラジカセ
もうこの言葉そのものが死語ですよね。平成生まれのよい子の皆様はご存じないかもですが、ラジオのついたカセットデッキのことをラジカセと言うんですよ。カセットデッキって何…と返されたらもう私は説明を諦めますのでWikiででも調べてきてください。
私もラジカセ持ってました。たぶん嫁の生まれ育ってついでに今も住んでいるドイツ某所から9000キロほど離れた大分県は別府市にあるホームセンターでおそらく嫁がこのラジカセを手に入れたのと同時期に親が買ってきてくれまして(なんか句読点が入れづらい悪い文章だな)。サンヨー製の赤いダブルラジカセでした。
子供の頃って色んなものにランク付けがありまして。今にして思えば意味不明なんですが、たとえばスポーツブランドならナイキがかっこよくて、プーマはダサい。プーマの靴を履いているとバカにされたり。
同様の家電のランク付けでサンヨーは非常にダサいものだと位置づけられてまして、なのでケンウッドのラジカセなんかを持ってる友人が羨ましくてしょうがなかった。もっといえば赤色というのがえらくかっこ悪く見えたんですよね。当時。
翻って嫁のラジカセ。さすがはドイツ、TELEFUNKEN(テレフンケン)社製。下手すると30年前とかの製品なのに未だに動く。たまーに音量が僅かに変化するだけで問題なく作動する。なんというか、昔の製品って逆に壊れないよね。
ならば使い続ければいい…ということになるのだが、問題がひとつ。リモコンがない。
この台所のラジオ、NDR2というFM局にいつもチューニングが固定されている。アナログのダイヤル式だから局を変えると戻すのが面倒くさいというものぐさな理由。
つまりは昭和のお茶の間と同じお話。こたつで一家団欒でドリフの全員集合を見ていたら、どうでもいいアイドルの歌のコーナーになった。そこでお父さんが息子に言う。
「おーい、サトシ、8ちゃんに変えてくれー」
ところがサトシは
「いいよ、寒いしめんどくさい。このままで」
とこたつから出ようとしない。なにせリモコンがないからテレビまで行かないとチャンネルは変えられないのだ。
まあ、同じような風景が2020年のドイツでも繰り広げられていたわけですね。こたつじゃないし、椅子なのではるかに動きやすいのですがそれでも面倒。
NDR2は言ってしまえば幕の内弁当のようなラジオ局。定時にニュースと天気にドイツ北部の交通情報を網羅し、ヒット曲からけっこう懐かしいと思うような曲まで、英語の曲からドイツ語の曲も。週末には曲の合間にインタビュー番組を挟み込んだり、サッカーのダイジェストのような実況をしたり。
そう。問題はサッカーの中継。
嫁も私もサッカーにまったく興味がない。思えば、地元ハノーファーのチーム、Hannover96におらが村(大分)出身のサッカー選手が活躍してたときもあったんだからちょっとくらい応援に行けばいいのにそんなことすらしなかった。
で、サッカーの中継になるとどうするか。
ラジオの電源を切ってしまう。
これじゃあいかんと(数年放置した挙げ句に)私は立ち上がりまして、クリスマスプレゼントという名目でキッチンのラジオを交換。こうして最新…かどうかは知りませんがまあ、ここ数年のうちの製品と変わったわけです。
当たり前の話ですがカセットデッキはついていない。私的にはいらないのにCDプレイヤーがついている(20世紀に取り残された嫁は喜んだ)。さらにはさすがは最近のモデル。Bluetoothで外部入力、さらにはDAB+がついている。
は?なにそれ?
なんかデジタルラジオらしい。なにそれ、LANケーブルでもつないでネットからラジオ聞こうっての?と思ったがLANケーブルの端子などない。ついでにWifiにつなげるような様子もない。昔ながらのラジオのアンテナのアダプタがついてるだけ。どうもFMラジオと同じ周波数帯を使っているが、今までのラジオとは仕組みが異なるらしい。なんかよくわからん。
とりあえずいじくってみる。
おお、音が出た。
お、ここ押すと別の局に飛ぶのね。
遊んでいると、素晴らしいラジオ局を発見(以下のリンク先は実際に掛かっていた曲へのYoutube)。Elton JohnにEuropeにBob DylanにQueenに…と私でもよく知っている大御所の局が次々と流れてくる。さらにはBangles、Eaglesのお約束の曲はもちろん、おお、Leohard Cohenまで流すかね。しかもHallelujahじゃなくSuzanne流すかね。渋いね…とすっかり気に入ってしまった。
そして、ディスプレイに表示されたラジオ局の名を見て愕然とした。
Absolut Oldie Classics
オールディーズ…だ…と?
ちょっと待って(プレイバック・プレイバック)。オールディーズっていえばさぁ、ElvisとかThe Righteous BrothersとかSimon & Garfunkelとかでしょ。Beatlesもまあ入れてもいい…。70年代とか80年代をオールディーズって言うの?
どうも答えはYesらしい。そっかー、私が好きな曲って2020年代ではもはやオールディーズなのね。
どうやら世代交代したのはラジオだけじゃなかったようです。
ちなみにこのAbsolut Oldie Classicsというラジオ局はDAB+での放送の専門局でAbsolut TopだのAbsolut Relaxだのいろんな局を持っているらしいです。念願かなってサッカーの中継がない局なのですが、ドイツ国内に同じ内容の放送を流しているようで、地元の交通情報などが聞けなくなったのがちょっと残念なところ。
ドイツ国外から聞けるかどうかは定かじゃないですが、ネットでも聞けるようです。
SANYOって安物の代名詞でしたねー。だいたい名を伏せて「一流メーカー品大バーゲン」とかチラシに書いてあるやつは、行ってみるとだいたいSANYOの製品だったりしました。
会社が無くなってしまった今となっては、もう新品を入手することはできませんが、冷静に考えると、地味ですがポイントを押さえた堅実な製品造りをしていたように思います、SANYO。例えば、一連の鳥三製の携帯電話とか、Zactiシリーズのムービーカメラとか。そういえば「デジカメ」ってSANYOの登録商標だそうです。今はPanasonicが権利持ってるのでしょうか。
そんな中でも、Panasonicに吸収されてほとんどの製品が中華資本に売り飛ばされたり、生産中止に追い込まれる中、充電式電池のeneloopだけは生産が継続されて商品名も生き残っているんですよね。さすがのPanasonicでもevoltaではeneloopには勝てないという判断をせざるを得なかったのでしょう。
あと、「Sonyタイマー」とか揶揄されますが、ブランド名のイメージというのは確実にあって、TELEFUNKENとかSiemensってむっちゃ頑丈に造られてて、叩いても壊れにくそうな語感があります。実際には、叩いたら壊れるでしょうが。
ドイツ語ネイティブの方はどうなんでしょう。
そうそうそうそうそう!三洋電機って有名メーカーの中でも一段低い場所にいた記憶があります。さらにその下に一字違いの三星電機とかがあってこの辺はもう完全にバカにする対象でした(個人の意見ですっ)。あれから30年、三星電機は世界に冠たる企業となり、三洋電機は消えてなくなりと栄枯盛衰の理を…。
あのーEneloopは知ってますが、Evoltaって聞いたことないです…。
ドイツでもやっぱりドイツブランドへの信仰が強かった気がしますが、現在では中国や韓国のメーカーに完全に駆逐されている気がします。日本と同じですね。
ちなみにうち(ドイツ)にあったTELEFUNKENのラジカセ、たまに音が小さくなったのですが叩くと直ってました。…あ、おっしゃってることと意味が違いますね(;・∀・)