【お知らせ】6週間ぶりの更新ですのでちょいとばかし長いです。いつもの倍以上の文量があります。つぶやいたーに代表されるような短い文章がもてはやされる中で誰が読んでくださるのかいささか疑問ですが、よろしければはぜひお付き合いください。
2階に住む私たちの家にはテラスがあります。…なーんて書くと、とっても優雅なお金持ちの家みたいですが、実際の写真を見ていただければそんな意見は布マスクを配った日本にあったマスク不足への不安のようにぱっと消えます(たぶん数年後にこれを読んだ人には意味が全く通じなくなるネタですね。なお、アベノマスクの是非を語るつもりはないです)。
はい。私が学生時代に住んでいたワンルームマンションのベランダに毛が生えた程度の広さです。実寸で横3.8メートルに縦は1.3メートルしかない。2本の物干し竿の代わりにテーブルがあるだけです。これが元リビング、現ねこ部屋にくっついています。
件のベランダとの唯一の違いは…お気づきでしょうか。ベランダだったらなにもないはずのところにガラスが入っています。南側に面しているテラスですからガラス戸を閉めていると温室のようになります。ここに洗濯を干せばさぞかし乾きも早いだろうと愚考するのですが、嫁の洗濯の手順の中にここに洗濯を干すというのはない模様。
夏になりまして、特に夕方以降にテラスにいるといい感じの日が増えてきました。そのせいもあってか、嫁が突然言うのです。
そうだ テラスの椅子 買おう
さっきの写真をご覧いただければ一目瞭然とは思いますが、確かに椅子がひどい。聞けば、嫁が90年代にイケアで買ってきた安物らしい。長時間座っていたいと思うものじゃないです。テーブルは数年前にやはりイケアで買いました。値段を正確に覚えています。€19.99。3点セットで€60…といったところでしょうか。
こうして嫁に連行されたのが、Dänisches Bettenlagerというお店。直訳すればデンマークのベットの店。なぜデンマークなのかは知りませんが、イメージとしては近所のスーパー程度の広さのニトリ…かも。自信がなさ気なのは私がニトリに行ったことがないからです。私の知る90年代までの日本にニトリとかいうお店はなかった(少なくとも私の行動圏にはなかった)。とりあえずDänisches Bettenlagerでは、寝室だけじゃなくいろんな小物、庭に置くテーブルや椅子なんかも扱っているわけです。お店の雰囲気、好きです。
下調べも何もせずに行ったのですが、私としてはまた安い€3-40の椅子を買うつもりだった。それでも今の椅子より遥かにマシだし。ところが嫁が店頭の一番目立つ位置においてある椅子に座り
「あーよきかな」
とかやってる。
…あ、これ良くないパターンだと結婚5年目の私は直感。案の定…
「この椅子、いいっ」
いいのは認めるけど値段見てから言おうよ。
€299
店員さんなら「お客さん、お目が高い」とでもいいそうなところ。まあ、座ればわかる。これはいい。まさに「おうちでホリデー気分」を味わえる逸品です。が、しかし、ほぼ€300はないだろ。2つ買ったら€600(7万円コースです。うちは○塚家具に行けるようなお金持ちじゃないんです)…週末のホリデーになら7万も出せば行けちゃいますぜ。というわけで、嫁をなだめすかして諦めさせる。
ついでだからと隣のRollerというお店へ。こちらは去年社長の椅子を購入した(過去記事へのリンク)お店。ここの店頭に別の椅子があった。
さっきのに比べれば明らかに格は落ちる。太ももの部分のサポートもついてないし。まあさっきのやつの半額だから当然か。座ってみると…まあ、悪くない。なになに?ガーデン関連商品25%引き?ってころはこれも25%引き?じゃあ€150じゃなくて€112.5ってこと?おーい嫁、これで妥協しようぜ。
というわけでお店の人に聞いてみると、入荷待ちとのこと。ちなみに広告の品だったそうな。2週間で再入荷すると言われたのでお願いしてその日は退散。
翌週。チラシの山を眺めていたら…私は見てはいけないものをDänisches Bettenlager の広告に見つけてしまった。
嫁の夢の椅子が半額セール!
私がチラシを見ていると当然嫁が食いついてきまして
んなぃーーーーーーーん
と変な声を出している(上のはいちおうドイツ語です)。
あーらーらーこれはよくないパターンだ。案の定嫁が言うのだ。
「週末、見るだけ見に行こう」
…いやだって、他の椅子を注文しちゃったし。
「見るだけ」
はいはい。行きましょう。逆らえません。
ところが。店頭に件の広告の椅子は影も形もなくなっている。その代わりというか、よく似た商品はあるが…広告のとは材質等が異なる。お店の人に聞いてみると…
「あれはあっという間に売れちゃいまして。この夏の分はおかげさまで完全に完売しました。再入荷の予定もございません。もしかしたら来年また入るかもですけど」
待ちません。待てません。
はいはい退散退散…と思いきや、嫁はなんの意味があるのやら、店員さんに泣き言を言っている。
「先週来たときに€300だったから諦めたんですよ。まさか翌週に広告の品で半額になるなんて」
店員さん。バカ正直なのかなんなのか、火に油を注ぐようなことをおっしゃる。
「それでしたらご相談してくださればよかったのに。なんなら€150でご案内できたのに。3週間の最低価格保証というのがありましてね…」
日本的に言えばチラシ価格での先売り(注:自分でぐぐってみたらこの言葉の用法はどうも一般的じゃないみたい。私の某バイト先での局地的な用法だったのかしら)ができた…ということですね。そういえばそうだわ。お隣の店で社長の椅子を買ったときにもチラシ価格で先売りしてもらったわ。なぜその椅子が土曜日の午後に店頭の一番目立つ位置においてあるのかを考えれば、翌週のチラシの準備だったということまで想像できた気がする。あー、俺のばかばかばかっ。なお、3週間の最低価格保証なんちゃらというのは私にはよく理解できなかった。
「こちらが代替商品としてご案内させていただいているのですが」
と(上の写真で右端に見えている)€150の別の椅子を指差す。
…これも悪くない。だけどやっぱり釣り逃した魚に比べると一段落ちる。よっぽど嫁が悲しそうな顔をしていたのか店員さんは
「こちらの(安売りになっていない€300の別の)椅子でしたら、€200にてご案内させていただきます」
おいおい、一気に€100も引いてくれたよ。いきなり33%引きってなんやねん。ここは中東かどこかのバザールでござるか。
残念ながそれでも嫁は買うとは言わなかった。まあ、これで嫁も諦めるでしょ。さあ、帰りますよぉ。
こうして翌週Rollerから注文してあった椅子を引き取ってめでたしめでたし【完】
…とはならなかった。まさかのもう一波乱が。ここでいつもなら【続く】となるところ、今回はこのまま一気に行きます。
まず。Rollerが約束の期日を過ぎても商品入荷の連絡をよこさなかった。入荷遅れの連絡すらなし。
さらに私が余計なものを見つけてしまう。Dänisches Bettenlagerのサイトを覗いたら例の夢の椅子の代替商品が半額セールの€150からさらに値下げされて€125になっている。
Rollerの太ももの部分のサポートもついてない椅子と、こちらがほぼ同じ値段…となるともうどっちがお買い得かは明々白々でして。
というわけで翌日Rollerに電話してみる。約束の期日を過ぎても商品の連絡がないけどどうなってるの…と。
「まだ着いてません。いつ着くかもちょっとわかりません」
ありがとうございました。さくっと予約をキャンセル。注文生産品とかじゃない、いつも売っている定番商品らしく特に問題なく予約の取り消しができた。お行儀がいいとはお世辞にも言えない行為だけど、まあ納期を平気な顔して破る方も悪い。こちらはちゃんと約束の日まで待った。というか約束の期日までに入荷できないなら電話連絡くらい…ってのは日本的な発想かもね。
そのままDänisches Bettenlagerに電話しようとサイトを確認すると
あれ、€150に戻ってる。
しまった。痛恨のミス。€125のスクショ撮るの忘れてた。それでも電話した。在庫があるとネットに書いてあった別の支店に。
「ええ。その値段に確かになってましたが€125はなんらかの間違いです」
ですよねー。話がうますぎる。ところがよくわからないなりにも言ってはみるものだ。
「確かそちらでは3週間の最低価格保証というのがありましたよね」
「少々お待ち下さい…。€125でご案内させていただきます」
いいの?
ラッキー♪と素直に喜んでいいのか、図々しいと恥じるべきか。でも2脚買えば€50も違う。この差は馬鹿にできない。
お店に行きました。なぜかお店の1/3がTedi(日本的に言えば100円ショップ)に侵食されてます。(無意味にパノラマ写真ですのでご覧の環境によっては左右にぐりぐりできます。)
店頭に件の椅子はちゃんとあった。もちろん€150で。ところがその横に。
籐の似た商品がある。こっちも€150。ええ?嫁、こっちのほうが良くない?
ところが嫁は即座に
「もう決めたんだから。まぜっかえさないでっ」
どうもまた地雷を踏んだようなのでこれ以上は余計な意見を言わないことに。
もっとも、仮に籐の方に変えるとしても値段を€125にしろとは言いづらい。そんなことを言おうものなら奥から
「お客さん。限度ってのをわきまえてもらわないと困りますねえ」
なんて怖い人が出てこないとも限らない。正直€50の差額を出す価値があるかは微妙。
ちなみに後日気がついたが、もし籐にしてたら猫の格好のひっかき場所になっていたに違いない。これはきっと正解だったとしよう。
一番最初に書いたとおり、近所のスーパーくらいの広さのあるお店に店員さんはたった一人レジにいるだけ。ずっとレジで他のお客さんの対応をしているので他に店員さんはいないかと探すが…誰もいない。よく言えばローコストオペレーションが徹底されてる。悪く言えば…接客するつもりがないのね。
待つこと数分。ようやく前のお客さんの接客が終わると嫁がレジに突撃。
「電話で店頭にある椅子の予約をしてきました。同僚のなんとかさんとお話して€125ということだったんですが」
…とやたらと値段を強調。おお、嫁、やるな。
「ええ、伺っております。€125でご案内させていただきます」
じゃあ、支払いを…
「€243.7です」
ん?€250じゃなくて…と頭の中で一瞬考えたが、そうだ。ドイツでは今月はじめから半年限定でコロナ禍の景気対策として付加価値税を19%から16%に下げたんだ。なに?そのぶんまで律儀に値下げしてくれるの?たった3%、されど3%。つごう€300払うべきところ€56.3も引いてもらったよ。
「ところでお車でお越しですか?あ、そちらの青い日産。うーん。2脚はたぶん乗らないですねぇ」
え?組み立て式じゃないの?なんとなくイケア的にやたらと小さい箱に入ってるのを期待してたんですが…
「いえ。完全に完成した状態です」
そうですか。まあ、往復小一時間かかるけどしょうがないですね。最悪2往復します。
「商品のお引取りは裏の検収口になります。場所は…で係の者がおりますのでこちらのレシートをお持ちください。もし誰もいない場合は呼び鈴を押していただければ…」
車で言われたとおり店の裏へ。
誰かいるのかなと思いきや、いた。さっきレジで案内してくれた人が。ちょっと待てやい。ほんとにこの店この広さで日本の某牛丼屋でおなじみになったワンオペとかいう状態なの?最初に行った別の支店では店員さんは最低でも5人はいたのに。もともと人数が少ないところ誰かが休んだとかなのかな。でもそうだったら「係の者がおりますので」とか言わないような。謎だわ。
係の人、私が車の後ろを開けると
「これは(驚)…もしかしたら(2脚いっぺんに)乗るかもですね。試してみましょう」
と2脚が一つの箱に入った状態の大きな箱を持ってきてくれた。
なんのことはない、なんの苦労もなくすんなり乗った。
「日本車って、見かけより広いんですよねえ。ところでお客さまは日本の方?コンニチハ」
コンニチハはともかく、日本車の広さはドイツ人にも認められているようです。ノートの開発陣の方、おめでとうございます。なのに次期ノートはヨーロッパでは売らない(過去記事へのリンクです)とは残念です。
ちなみに私がこのノートを選んだ最大の理由は後部座席の広さなので、ある意味妥当な評価です。
こうして車には難なく乗ったのに家の階段を通過するのに難儀したりしつつも二階に到着。
なんということでしょう~。殺風景だったテラスが、ホリデー気分で過ごせる場所に。
というわけで、こんな世の中ですので今年の夏はこのテラスでおとなしく過ごします。
オチその1
この椅子に合うクッションを買うと嫁が言い出し特売でない€15のクッションをDänisches Bettenlager で2つ購入。私に言わせると割引価格でない商品を買うなど愚の骨頂だが、離婚の原因不動の第一位の「価値観の相違」ってやつだ。まあ余計なことは言うまい。
うちに帰ってくると、来週の特売チラシがうちのポストに入っており
はい。来週から半額セールとなってました。こうして€50の得した分の€15があっさり回収されました。嫁は…
「3週間の最低価格保証で…」
やめとけ。本気でブラックリストに載りかねない。
オチその2
そして、今、このお話を公開しようとして、Dänisches Bettenlagerのサイトを再確認したら
€125で売ってました。えっ?と思い、先程のチラシを確認すると
特売品。最大50%引きのページに€150としてでかでかと掲載されてました。もうこうなると何が何だか分からないです。
ちょっと質問があるんですが、、、。
お宅ら、どっちが「割れ鍋」でどっちが「綴蓋(とじぶた)」ですか?どうしても知りたいのです。
どっちも割れ鍋にしか思えませんっ。
こうなると、次は新しいテーブルが欲しい、ということになりそうな気がw
ごもっとも…なんですが、実はテーブルではなく椅子の脇に置くサイドテーブルがどうこう言い出しました。狭いバルコニーでもう場所が残ってないっちゅうねん。