食洗機が壊れた顛末記


実はまだ1月の話をしてます。毎年1-2月にはイベントがなくて前年の日本への帰省の話を延々としている頃なのですがその機会がないほどいろんなことがありまして。

ある日のこと。嫁が言うのだ。

「食洗機が壊れたー」

何事かと台所に行ってみると、数日分の食器を溜め込んでいままさに使おうとしている食洗機の電源が入らない。ふむ。台所の電源を(たぶん)共有しているオーブン等は動いているから食洗機に電源は来ているだろうな。それ以上は正直お手上げ。というのもヨーロッパの台所あるあるなのだが、食洗機はシステムキッチンの中に完全に組み込まれているので食洗機を取り外すことすらままならないわけ。もっとも外せたところで私にできることは限られてるけどね。

うちの嫁は私と性格が真反対。なんで嫁がこんなちゃらんぽらんな私と結婚したのか永遠の謎だが、嫁はちゃんと食洗機の取説を保管してあり(私なら即捨てる)、しかもその場所をきちんと把握している。取説のサポセンに電話(もちろんネット上にもその電話番号は出ているからいらないと私は思う)。

「出張費として€220がまずかかりまして、部品等は別…」

出たっ。「修理するなら買った方が安い」論。ネットを見ると食洗機なんて€300くらいから売っている。ならば買った方が安いわな。

ただ、この食洗機、キッチンをリフォームして以来だからせいぜい8年程度しか使ってないだろう。しかも使用頻度だって週に一度程度と高くない。つまり、年50回かける8年でざっと400回しか使ってないのに壊れる。…なんかありえない気がする。

ここで私の頭の上に電球マークが点灯。

そうだ。近所の電気屋さんに電話してみよう。

数日後に来てくれることに。

目下の地味な問題は食洗機に満載の食器類。半分くらいは手で洗い、残りの半分は階下の義両親の食洗機に突っ込んで解決。当たり前の話だけど、溜め込んだ食器を一気に洗うのは辛いわ。

食洗機の消えたうちの台所。

こうして早くも食洗機の偉大さに気がつきつつも私は1週間ほど留守にする。留守中に近所の電気屋さんがやってきて、食洗機を持っていく。原因は一番壊れてはいけないコンピューターの制御部分らしくこの部品交換には数百ユーロかかり…

はいはいはい。新しいの買えってことですね。

そして、嫁は見積書をもらって来たらしい。そこに書かれていたお値段は…

€800と€1000

…待て。なんでこんなに高いんだっ。

私としては食洗機などネットで€300くらいから売っているわけだし、まあ近所のお店で同じ値段で買おうなんて土台無理だから€400くらい、前のやつの引き取りだ何だでど最悪で€500くらいを想定していたのだが、その倍という見積もりに思わずのけぞる。

電気屋さんいわく、うちの食洗機はXXLと呼ばれるやつらしい。サイズがでかいらしい。はぁ?意味分かんないし、食洗機のサイズなんて2-3種類しかないんじゃないの?と思ったらなんかいろいろあるらしい。で、うちの食洗機はその中でも一番高い(らしい)XXLというカテゴリに入ると。

嫁は「そんなこと知らなかった」と。システムキッチン業者に丸め込まれて知らず知らずのうちに高いのを売り込まれていたパターンだな。というわけで、ネットで安売りしているようなやつはうちのキッチンには設置できない。最低でも€500は出さないといけないことが判明。

それらを理解した上でとりあえず電話じゃ埒が明かんとお店に突撃。

お店に行くと店長と思しきおじさんが、店にある巨大なタッチスクリーン式のディスプレイを操作して…

「あら、Siemens社の食洗機(安い方)、€80ほどお値段下がってますね」

なに、それならいいや。買おう。

それを聞くとおじさんは、なにやら裏へ消えてゆく。…いつまで経っても戻ってこない。何やってんだかと思い始めたころ…

「いやー、さっきの話、なしでお願いします。お値段は見積もり通り€800でお願いします」

は?

「ちょうど商品の入れ替え期でしてね、さっきのお値段が下がっていた方は旧型なんですよ。ほら、現行の型番はNで終わってますが、その前の型はMで終わってるでしょ」

たしかに。L720MSNみたいなシロートが見ても何がなんだかさっぱりわからない型番の末尾がちょっとだけ違う。

「それで、前の型はもう売り切れたようでして」

…いや、さっきディスプレイに出てたじゃない。

「仕入先の在庫と表示には時差がありまして」

つまりはこういうこと。お店にある端末はこのお店のみの在庫じゃなくて、おそらく小さな電気屋さん連合みたいなネットワークがありそこで共用していて、さっき見た型落ちの食洗機はすでに売り切れてしまったから、見積もり通りの値段で最新型を売る…とのこと。

とは言われても、こちらの側からすれば€80ほどお買い得になってます→じゃあ買いますって流れだったわけで、じゃあしょうがないね…と素直には納得できない。いや、この説明で納得する人はいるの?

しかも、新型になったと言ってもなにか目に見えて改善された部分などないのだ。見た目も何も前のと同じ。納得いかんっ。

もともと高いと思っていたので私もぶつぶつ文句を言ってしまう。すると

「確かにお値段はネットでお買い得なのは見つけられると思います。そのぶんうちはサービスでやらせていただいてますので。従業員の給料も払わないといけませんので。別にいいんですよ。ネットで買われても。ただ、修理などの際はどうぞ他所でやってくださいね」

ひどい言い草です。完全に足元を見られてます。そうなのです。ネットで買ったら取り付けなどは自前でやるか、自前で業者を見つけなければいけません。テレビとかパソコンとかなら自分で鼻歌歌いながらできますが、水回りでかつ流しの下に潜り込む、さらには氏捨て身キッチンに組み込む食洗機…というのは素人には難易度が高すぎます。そこに完全につけこまれてます。さらに、壊れた食洗機もこちらに預けてある形なのでその諸費用も請求されてもおかしくない状況。つまり、人質も取られているわけ。もう詰んでます。足元見られていると知りつつも頼むしか選択肢がないようです。

というわけで、不満たらたらながら注文翌週に配達されるはずが翌々週まで伸びつつも配達されました。…なんかモヤモヤしますわ。

新しい食洗機。最上段にフォークとかナイフを置くトレイがありましてこれが恐ろしく便利。ほら、食洗機に入れたナイフとかフォークとか、取り出すときに柄の部分じゃなくて口に入れる方を手で触るでしょ。あれが微妙に気になってたのね。新しい食洗機ではこのようにトレイに並べるのでしまうときに柄の部分をつかめるようになりました。これを発明した人にエラい!とお伝えしたいです。