とりあえずブックメッセのことは後回しで、東横イン、フランクフルトのお話を。
ブックメッセで疲れ果て、フランクフルト中央駅前の東横インにHP0に限りなく近い状態で戻ってきた二人。この上なく交通至便な場所のホテルに投宿していながらもう出かける気がしない。夕飯はホテルで済ませることにしよう。
午後7時前。地上階ロビー脇のなぜかこの一角だけ薄暗いバーカウンターにて。バーカウンターにいたのはインドかパキスタンあたりのアジア系のおじさん。
「すいません。お食事ってできますかね」
係:「できますよー」
と差し出されたのは飲み物のメニュー。指差すその先には
しゃぶしゃぶというのは確かにツッコミどころ。でもさ、それ以上に飲み物メニューにとってつけられた「しゃぶしゃぶ」の文字。ちょっと待てやい、他にはなにかないの?
係:「ないです ( ・ิω・ิ) 」
すごい世界。しゃぶしゃぶorナッシング。1か0の二進法の世界。またぞろ先払いで飲み物を含め€32くらいをを先払い。番号札を持って食堂へ。
食堂へ。
学生食堂、または社員食堂みたいですね。雰囲気もなにもない。
嫁が私がうまく表現できていなかったことに実に的確なツッコミを入れる。
嫁:「ああここ、日本のホテルね」
どういうことでしょう。
嫁:「なんで食堂なのにこんなに明るいの。ほんとに日本的」
なるほど。
ことレストランとかは、こちらでは薄暗いところが多い。薄暗いところにろうそくなんかをともしてその雰囲気が良いらしいのだ。
そう言われればそうだよね。日本はパチンコ屋やコンビニを筆頭にどこもかしこも明るい。
番号札を持ってウロウロしていると厨房から人がやってきて
「しゃぶしゃぶならそこに座って!」と言われる。
そこには卓上IHコンロが置いてあり、どうもそこに横並びで座るべきらしい。む、このIHのコンロ、昔持ってたぞ。確かLIDLで売ってたやつだ。
なんかそこはかとない違和感を感じていると、その違和感は最大となる。
味も素っ気もないなべに昆布が入ったものを持ってきたぞ。まさかここでしゃぶしゃぶしろと?
私の頭の上に???が大量発生中、厨房から再び係の人が肉や野菜が満載されたトレイを持ってきてくれる。
「しゃぶしゃぶのやり方は分かりますよね。それではお楽しみくださーい」
と言い残し、厨房に消えてしまった。
はい。日本人たる私、しゃぶしゃぶのやり方は知っている…はず。あれ、最後にやったのいつだ?とりあえず、この色気のない鍋はなんとかならんのか?IH対応の三島の土鍋とまでは言わんが、この味も素っ気もない普通の鍋はなんじゃい?鍋はセクシーに…とか言ってももうこのネタ通じないな。わあ、お湯が沸騰しつつあるな…。
などと脳内で色々考えていたのだが、傍から見たら私がフリーズしていたようにしか見えなかったのだろう、横目でふと見ると嫁は勝手にうどんを食べよう…と…オイコラ待てぃ
「う、うどんをそのまま食うなっ。温めろっ…ってかそれ、締めだろ」
へっ?とした表情の嫁。ですよねー。私が仲居さんをするしかないですよねー。
というわけで、嫁の鍋に野菜をぶち込もうとしたのだが…遠いのだ。鍋が天空の彼方程遠いのだ。だって鍋と君との間には今日も冷たいトレイがあるんだもん。こんなもんが間にあったら鍋に届くはずがない。しかも、卓上コンロと縁の高い鍋のせいで高さにも問題あり。つまり、鍋の中に箸を突っ込もうと思ったら最低でも中腰にならないとダメ。
まあいいや、野菜をどどーんと投入。おう、嫁、あとはテキトーにやってくれたまへ。なんてったって自分のことに忙しいのだ。
そうは言っても横目に見る嫁の行動が気になる。ですよねー、その箸すべるよねえ。いやいやいやいや、この状況で豆腐を箸でつまむなんて私にだって無理だから。そこにおたまがあるでしょうが。肉は軽く火を通せば大丈夫だよ…たぶん。わー煮立ってる。火力を弱くしないとっ。
そりゃもう大騒ぎ。味わう暇もねえ。
肉は…まあまあ美味しかった。だけど、白ごはんのまずさはもう絶望の域。朝炊いたもともとくっそまずいご飯を12時間ほど炊飯ジャーで保温熟成してどうしようもないレベルにしました…という感じのシロモノ。ほぼ1年日本に帰省していない(=日本食など忘れかけている)私がそう感じるんだから、日本からの短期旅行者が白いご飯が恋しくなってしゃぶしゃぶを注文した…とかいう状況ならマネージャーのネクタイを締め上げかねない状況。少なくともお腹いっぱいにはなったけどね。
その後、食事が終わり、うーん、なにかもう1杯飲もうかな…あれ、またバーまで行って注文しなきゃいけないの?とか思っていると、厨房の人がやってきて
「お食事が終わりましたらお席をお譲りください。次の人が待ってますので」
ですと。
ちなみに嫁は煌々と灯る明かりだけでなくテレビにもご不満だった模様。うん。確かにここはレストランじゃない。社員食堂だわ。
ちなみに翌朝の朝食。やはり同じ場所での提供となった。朝食は宿泊客全員に提供されるのでさらにわさわさ感が増し、ますます社員食堂化してる。
御存知の通り東横インの朝ごはんはとにかくシンプル…なのだが、最低限のパンやジャムなどが用意されており、ここが日本風だと思うのだが生野菜のサラダまで。
さらにはソーセージなども。
そして、その一角にご飯と味噌汁まで。
ところがご飯が朝だというのにやっぱり炊飯ジャーで半日放置しました…という趣のご飯なのだ。ええ?じゃあいつご飯炊いてるの?そして、一番の謎だったことは、御飯と味噌汁があるのにそれに対応するようなお茶碗とか、お箸がなかったこと。興味本位でご飯を食べようとした結果こうなった。
味については言及しません。お察しのとおりです。コーヒーは原液かパウダーを溶かしただけのインスタントものが出てくる機械。まあ3ユーロ程度の格安の食事に質を求めるほうがどうかしているからここは割り切り案件なのでしょう。
今回部屋の変更が必要だったので、車の中に荷物を一度入れて出発。メッセのお話は別の機会にして二晩目のお部屋。
広いっ。
たぶんですがここが東横インフランクフルトで一番上等なお部屋です。…と言っても閑散期なら一泊1万円とかで泊まれるようですが。
広さは…正直すごい。だけど、調度品の安普請さもすごい。ソファーはIKEAの一番安いやつの座り心地。そして机。
…あれ?日本語で書いてある。ここで私はもしかしてという仮説を立てた。もしかして、この机、日本から輸入しましたか?そして、日本と同じものを使っていたりしますか?
そういう思いで見ると、これも気になる。
ええ。私を含め、日本人の皆様には見慣れたくっそ狭いユニットバスです。…って待てやい、ヨーロッパでユニットバスなど見たことないぞっ。もしかして、これもわざわざ日本から輸入した?
そして、感動レベルのことは
ウォシュレット完備っ。
かくして、東横インに2泊しました。メッセ開催中となり、宿泊料は通常の3倍近いという正直ぼったくりの値段でしたが、そうでもなければまた泊まりたいと思います。
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