掃除機な話、やる気のない実店舗に存在意義はあるの?


嫁の職場の同僚に、よくしゃべるおばちゃんがいるのだ。私も若干の付き合いがあるのだが、もう喋りだしたら止まらない。ただ、数年来のつきあいで、この人の話は文字通り「話半分」に聞いてないといけない…ということを学んだ。少なくとも私は。

 

 

最初に気がついたのは結婚式の前。この人が「結婚式の衣装を買うならここしかないわっ」というので、うちから小一時間もかかる小さな村へ。そこにあったのは…ちいさな衣料品店。特にめぼしいものもなく撤収。何しに行ったのだかよくわからなかった。

 

そして今、新たな事態が。

 

3年前の2015年の暮れ。「何?掃除機を買うの?猫を飼う予定なんでしょ。だったら、これしかないわ」

 

と勧められたのがこれ。

 

 

Zoo ProAnimalという名前のついたこちらのBosch社のバッテリー式の掃除機。動物の毛もどんどん吸っちゃうよ。コードレスだから取り回しも楽だよ…という売り。

 

言われるままに購入。購入後、週に1-2度の頻度で使っていたのだが、まる3年が経過したところで充電しなくなった。…って、週に2度の利用として、2回x52週x3年でざっと300回の充電でバッテリーがダメになるって…かなりダメダメな商品じゃないですかね。

 

ここで、うちの嫁の意見をお聞きください。

 

「確かに軽くて使い回しは良かった。けど、ターボモードを使うとバッテリーは20分も持たないから全部の部屋を掃除できないし…そう、一度バッテリーが無くなると3-4時間も充電しないとダメなのよ…何よりもダメなのがゴミを溜めておくダストカップが0.9リットルしかなくてすぐいっぱいになっちゃって」

 

…不満たらたらのご様子。まあ、後出しジャンケンには違いないけど、件の嫁の同僚の話は話半分に聞いてないとダメだわ。

 

それはともかく。私がダブリンに行っているうちに掃除機が壊れたって言ったよね。…それから1週間も経つけど…あれ、その間の掃除は?え?マジで?

 

…週末に掃除機を買いに行くことにしました。

 

もちろんネットで買っても良かった。が、我が家の掃除大臣が実際の掃除機を手にとってみたい…というので店に行ったわけ。まあ、手にとってみたいというのはごもっともだしね。

 

行く前からわかってた。ネットよりも店のほうが高いって。だけどさ、最近の「店で見てネットで買う」っていう「実店舗ショールーム化」ってのはお店に失礼だと思うのよね。実店舗の存在意義ってのも認めるし。なので、もし、商品解説などをていねいにしてくださって気持ちよく買い物ができるなら、少しくらい高くても買っちゃおう…くらいに思っていたのだ。

 

まずは近所の街の小さな電気屋さんへ。ここは、階下の義両親御用達の店で、つい先週も私がいないうちに新しいテレビを買っていた。なんでも、数台のテレビを持ってきてくれて、実際にリビングに設置してみて、いちばんしっくり来るのを選べたらしい。しかも、ネットの設定を含めたすべてをやってくれたらしい。おかげで私の手間が省けた。はい。古き良き街の電気屋さんですね。値段は高いがその分のサービスは折り紙付きというお店。

 

日本同様ドイツも街の小さな電気屋さんは大型店舗によりほぼ駆逐されてしまったらしい。でも、一部が名の知れた大手の店にフランチャイズ加盟して生き残っているじゃないですか。まさにあの感じで近所の街の電気屋さんは生き残った。

 

お店に入るなり、店員さんが「なにかお探しですか」と聞いてくれる。ドイツの「まともな」店なら、衣料品でもなんでもそうやって聞いてくれる。ただ、店の規模が大きくなればなるほど一人ひとりにかまってられないからその辺はおざなりになる印象。

 

掃除機ですか…こちらです…と狭い店の奥の一角に連れて行ってくれたのだが…ご賢察の通り、展示商品がほとんどない。さあ、5-6種類くらい展示されていただろうか。しかも、展示品のメーカーにかなり偏りがある。思えば、展示商品にもかなりの偏りが。例えば、テレビなどはおそらく売れるからだろう、大型店に負けないよう勢いで壁一面に所狭しと並べられていた。

 

嫁がおずおずとRowenta社の商品が良いかなと思ったんですが」と予習の結果を披露すると、それでしたらと大型のタッチパネルの前に連れて行ってくれる(50インチくらいのスマホ画面を見せながら説明してくれている感じ)。画面の中でいろいろ説明してくれる。ありがとう。でも違うんだよぉ、私達は実際の商品に触ってみたいんだよぉ。

 

かくして、親切丁寧に説明していただいたものの、実際の商品がない…という致命的な状況。ごめん。その努力には敬意を表するが、申し訳ないけど実際の商品がないなら実店舗に行く価値は…ないわ。こと、説明の内容がネットのそれに勝っていないという状態では。

 

というわけで、比較的大きな街の比較的大きな店に。日本で言えば郊外の国道沿いの洋服の青山の隣りにあるケーズデンキくらいの理解でいいです。ただし、ドイツでは駅の真ん前の小さなショッピングセンターの中にありましたが。

 

床がタイルだったりカーペットだったり、ラミネートだったり…いろいろ試すことができるようになってます。

 

大して期待はしていなかったのだが、結構な数の掃除機が展示されてまして、しかも、床はわざわざタイルやカーペットになっており、「ご自由にお試しください」状態になっている。ここで二人して勝手に色々試し始める。

 

触って初めて分かることがいろいろ。某社の商品は必要以上に床に吸い付くので逆に使いづらい。別の某社の商品はひたすらに重く取り回しが悪い。また某社の商品はゴミ捨ての機構が面倒…などなど。けっこうな長い時間ふたりであーでもないこーでもないとやっているうちに方向性が定まってきた。

 

ダイソン社のコードレスは、バッテリーが40分とかしか持たないからダメ。ちなみに60分とか持つ商品もあるのだが予算的に手が出ない。さらには私に言わせりゃ40分あれば全部の部屋の掃除できるだろ…と思うのだが、嫁いわく無理だと。うちってそんなに豪邸だっけ…。ちなみに、ルンバは猫がいるからと言う理由で一蹴された。

 

さらには、ダストカップは最低でも2リットルないとダメだと。「いや、マメに捨てればいいだけじゃないの」と言ったら「掃除しないあなたは黙っていて」と怒られる。藪蛇。

 

さらにはヘッドはブラシがついてるのじゃないとイヤだとかなんとか言ってたら商品の絞り込みはできてきた。…などとかなりの長時間お店の片隅で喧々諤々やっていたのだが、私の視界の隅にいた店員さんたちは、買う気オーラを全開にしていろいろやっている私達に話しかけてこない。20年以上前ながら、某新宿西口駅の前の家電量販店に勤めていたことのある私に言わせると、ありえん。もっと言っちゃっていいなら、もう一つ別の大きめの電気屋さんにも行ったのだが、やはり私達は完全放置プレーの刑に処された。

 

話しかけてこないならこちらから話しかければいい…ってのはわかる。だけどさ、もうこっちとしては「これがいい」って商品は決まってしまった。もう話しかける意味がない。現品以外にも箱に入った在庫があるからそれをレジに持っていけばいいだけ。

 

ふと気になってネットでの値段を調べると…ネットのほうが15%も安い(ン万円の15%ですからバカになりません)。こうなると、本当に申し訳ないが、わざわざ実店舗で買う価値は…ない。

 

かくして、うちに帰ったあと、おなじみ熱帯雨林にて数クリックにて購入。数日後、掃除機は自宅まで届けられましたとさ。