前々回から勝手に屋外に展示された車両の評価を始めてますが、そういえば、この日の朝のことを書き忘れてました。こんな感じで…よーするに、水戸さんはこの日から不参加です。
再び中央駅で嫁と仲良くパンケーキを食べつつ草水コンビと待ち合わせ。
集まったところで嫁を再び駅に放置してテーゲル空港へ。
アディオース、水戸さーん
…ってホントにミラノ経由で日本に帰っちゃったよ。ええっとベルリンに36時間滞在してないんじゃないかしら。そりゃ私だってダブリンに到着したヒコーキの折り返し便でフランクフルトに戻ったこともある。だけど、大陸間フライトに乗って現地に2日もいなかった…とかいうすごい経験は未だにしたことがない。
さて、草野さんと空港からの無料シャトルバスでイノトランス会場のベルリンメッセに戻る。それで思い出したんだけど、このメッセの入場券はベルリンの市内交通のパスも兼ねている。メッセの入場券は首からぶら下げるようになっているのだが、これを持っていればいちいちバスや電車の乗車券を別に買う必要がない。すごく便利だった。
というわけで、車両辛口評価に戻ります。
エントリーナンバー7。Stadler Worbla
総合評価★★★
スイスの首都、ベルンのS7(とS9)の新型車両らしいです。そして前回に引き続きStadlerの車両です。これ書いてて初めて気がついたんだけど、私、この会社の車両、好きかもしれない。なんちゅーかStadlerさん、高いお金を払ってイノトランスに車両ほかを展示されたのでしょうが、その甲斐あってここに一人ファンができましたよ。…返す返すも残念なことは、私は鉄道とは全く関係のない仕事をしている…ということでしょうか。関係ないけど、スイスの首都はベルンですよ。チューリッヒじゃないんですよぉ(ベルンの影が薄すぎて、未だに「スイスの首都は?」と聞かれると一瞬困る私)。
とりあえず、外観から。
ここで突然草野さんがひとこと。
「珍しい。メーターゲージだ」
…なにそれ。
ここで何も知らない私がにわかな知識で突っ込まれることを恐れつつ書くと、線路と線路の幅を軌間というらしいのね。日本には2種類あって、山手線でも五能線でもJRの在来線はみんな狭軌と呼ばれる1067ミリ。そして、新幹線やなぜか京王線などの一部私鉄は1435ミリ。これが標準軌と呼ばれているとか。
ところが、それ以外にもいろんな軌間があって、この列車のそれは日本の在来線よりさらに狭い1000ミリちょうどらしい。…珍しいものらしい。
このベルンのS-Bahnがどのような運用をされているのかは知らんけど、軌間は狭いとはいえトラムよりははるかにまし。シートもさほどひどくないし、メーターゲージとやらから来るような圧迫感もあまりない。ただし、座席は立ち客を乗せて乗車定員を増やすためか、場所によっては1-2だったり、ロングシートが補助席になっていたりといろいろ努力の跡が見られた。
この車両、前回「日本ではほとんど見ない」という枕詞で紹介した連接台車車両です。ヨーロッパでは割とよく見る気がします(特に近郊列車では)。こんなこと思ったこともなかったのでちょっと新しい発見でした。
まあ、そんなわけで、車端部には段差がありますが、車椅子やベビーカーのお客さんはここを避ければいいわけでさしたる問題ではないと思います。ただ、他で見た連接台車車両って、座席部分の床は1段か2段高くなっていても、こんなふうに通路まで派手に段差になっているってあまり見なかったような…ってそうだ、軌間が狭いからだ…って書いてて気がついた。
そんなわけで、3段も高い車端部から車内を見渡すと、すごく天井が低い気がします。
ちょっとした遊び心もあって、ドア脇の間接照明の色が左右で異なってます。これ、応用すれば、次の駅での出口は緑色…とかできそうですね。…日本ならやりそうだ。
運転席も開放されていて、かつ剛の者がいなかったので草野さんにちょっと座っていただきました。マスコンが1本だけで運転席もシンプルそのもの。左右の見切れもよく、運転しやすそうです。また「俺でも運転できそうだ」という気がしてしまいます。
エントリーナンバー8。München-Nürnberg-Express
総合評価★★
ええっと、Skoda社製のこちらの列車…外観は…ドイツ国鉄の2階建て車両ということもあって見慣れていると言うか、どこがすごいのかよくわからない。ちょっと説明書を見ると…
設計速度が時速200キロで、実際の運用は189キロ…日本でつくばエクスプレスや京成スカイライナーが160キロまでくらいでしか運行していないことを考えると、この牽引車がそこまでスピードを出すというのはすごいかもしれない。ただ、牽引車だからそこまでスピードが出るまでに結構時間がかかるような気もする。
実はこのMünchen-Nürnberg-Expressとやら、ICE(新幹線)の専用線をローカル列車のくせに走るらしい。ミュンヘンからニュルンベルクまでの171キロの距離に起終点を含めてたった9つしか駅がないらしいから牽引車付きの列車でも運用には問題はないのではないかと愚考。それにしても、日本語のWikiのページがあったことにはびっくりした。
まず入口のドア。見ての通り…巨大。なんでこんな巨大な一枚扉にしたのか謎。草野さんいわく「このほうが機構が単純なんじゃないですかね…」一理ある気がするけど、ドアーの開閉に時間がかかるような。
運転席手前のこちらにはKinderspielecke(キッズコーナー)があるらしい。まずはそちらへ行ってみましょう。
わずか4人がけのテーブル席2つの一つこんな感じ。なにはともあれ、ど派手なモケットに目を奪われます。草野さん、気に入ったよう。
テーブルを拡大すると、なにやらすごろく状のゲームができる模様。目を閉じてテーブル上を指差すことでサイコロ代わりになるらしい。これは(大きなお友達ではない本物の)コドモなら喜びそうな気がする。
通路を挟んだ反対側は通常席。個室感があり、大型のテーブルもあり一等車と同等の快適さが期待できる大当たり席です。…通路を挟んでお子様が大騒ぎしない限りにおいては。そーゆー意味では向かいのこの席もコドモ席にしても良かったんじゃないかな…という気がします。
このふたつのボックス席の向こうにあるのは運転席です。
キッズルームを出て入ってきたドア脇を抜けて2階席へ行ってみます。あ、キッズルームの下には車輪があるので2階建てにはできないのです。そして、二階席の一部は一等車です。期待に胸を膨らませて2階席に9段の階段を登ってみましょう。
ふむ。2階建て車特有の圧迫感はどーしてもあります。そのかわり…と言っていいのか、通常2-2の座席配置のところ1-2なので、まあ、座席はややゆったりしている印象。見慣れた青のモケットじゃないことでここは一等車なのよっ…という違いを演出しようとしている気がします。違いのわからない男(私)に言わせると正直しょぼいけどね。むっ…
…出ましたー。窓枠とにらめっこ席。もしまっとうな一等車料金を払ってこの席だったら…がっかりするだろうなぁ。二等車に比べてシートピッチが改善されているからこうなった…と思いたいのだが、どー見てもシートピッチもしょぼい。
階段脇には荷物棚も。どこぞの日本の某新幹線などと違い荷物棚を用意したことは素直に評価に値すると思うけど、さっきの9段の狭い階段を登り二階席までスーツケースなどを持ってくるのは面倒だろうなぁ。
2階のすべてが一等車になっているのではなく、反対側の階段脇のたった5席が二等車になっています。ここ、プチ個室感があり、人によっては気にいるかも。私はなぜか昔のB747(ジャンボジェット機)の2階席の階段に正対した席を思い出しました。ここ、たぶん「この車両の2階は一等車」という思い込みから、最後まで空席として残るんじゃないかなとか思ったり。そういえば、床も一等車だけはカーペット敷きなのね。
そして1階席。こちらはたった2段の段差しかないので、2階席に比べるとはるかに移動が楽です…つまり、1階が一等車というほうが辻が合うような気がする。だけど、日本でも2階建て車両は2階席のほうが人気があるらしいし。一等車を1階席2階席ともに設置すれば解決しそうだけど…需要がないんだろうなぁ。
天井が丸くすぼまっていないこともあり、2階席ほどの圧迫感もない気がします。うん。個人的には1階席のほうがいいかも。それを言い出したら…
…9段の階段を上がり2階席に行くのでもなく、2段の階段を降りて1階席にいくのでもなく、ドアから逆方向に、つまり車端部に向けて3段の階段を登ってみます。つまり、車軸の上の部分の部屋です。そう。ここの天井は高く、開放感があるんじゃないかしら。
あれっ?全然天井が高くない。この原因は外から見るとわかりました。
車端部の天井部分には空調か何かの大きな機械が設置されているようです。つまり、この列車はどこに乗っても天井が低い…ということになります。
こちら、中間車の1階、バリアフリー構造になってます。…と言っても、プラットフォームの高さが嵩上げされている駅やそうでない駅が混在しており、ホームから段差なしでこの列車に乗れるかは駅による…という問題があります。
数枚上の写真と比較していただくとわかると思うのですが、ここ、2段の階段のかわりに緩やかなスロープになっています。スロープを下ると…
…このように車椅子にも対応する跳ね上がり式の補助席になっています。通路が黄色い線で明示されているのが、どこか京王線の車内を思い出させます。
もし線路と水平方向と垂直方向の両方の補助席が使われた場合、かなり狭苦しいことになります。もし、この上の写真の場所に誰かが座っていた場合、私はモデルさん(って実は私だけど)が右手で押さえている補助席に座る勇気はないです。でも、振り返るともっとひどい席があった…。
スロープと階段の間の僅かなスペースに補助席が2席。ここに見知らぬ人が二人座るのは限りなく無理筋な気がします。しかも、写真右側、階段のおかげで壁が座席側にせり出してきていて狭い席が更に狭くなってます。つまり、写真右側の階段に近い人の頭は通路側の人に撓垂れ掛かるような体勢になるわけで。罰ゲーム席…いや、距離を縮めたい中学生のカップルなどにはいいかもしれません。♪ゆるいーカーブでーあなたへ倒れてみたらー(昭和な曲へのYoutubeリンクです)。
こちら、別の車両の同じ位置。違いはスロープか階段かの違い。こちら、スロープとそれに付随する手すりが設置されていないので、この席に座った場合、身体をやや通路側に向けることによってさっきの罰ゲーム席ほどヒサンなことにはならないような気がします。ただ、よく見ると床下の黄色い線は補助席の真下に引かれてますね。通路なのか座席スペースなのかはっきりしやがれ!と言いたくなります。
この中途半端な空間、号車によってはトイレになっています。車両によっていろいろ細かな違いがあるので、もしかするとプロトタイプな列車なのかな…とか思ったり。
で、次の写真が、私が補助席を手で押さえて撮影した、階段下が補助席じゃない車両の場合…。
私が何を突っ込もうとしているかおわかりいただけますか。3人がけで通路際が跳ね上がり席なのはまあいい。問題は中央と窓際。階段のおかげで下手に立ち上がると頭を打ちます。しかも、窓際の人は階段に頭を打ちつけて、さらには荷棚におでこをぶつけるという「Wの悲劇」が起こりうる…という。ちょうど階段のスロープと荷棚の間にそれを狙ったような、ちょうど人一人の頭が入るくらいの奇妙な空間があるんですよね。これを草野さんに説明しようと自分の頭で実演してたら通りがかりの人に笑われました。
同じ場所の真上(2階)はこんなふうになってます。
3人がけの席と二人がけの席が同じ向きに配置されてます。つまり、ボックス席になっていない。窓割りも合ってるんだからここは一等車の脇にあった席と同じようにボックス席にしたほうが正解じゃないかなとか思うのですが。で、それよりも注目なのが階段の右にある上の写真で見切れている座席。これが私的にはこの車両で一番気になる席。
階段と窓に挟まれた僅かな空間に席を設置しちゃってます。
実際に座ってみました。良く言えば、プライベート感あります。悪く言えば押し入れに閉じ込められた感があります。そういえばこのスペースは一等車では…
…荷物置き場でしたよね…。
こちらはバリアフリートイレ脇の補助席4つ。なぜ一つだけ立派な背もたれがついているのか謎。肘掛けもついているところからすると、バリアフリー的な大人の事情がありそうです。
ツッコミどころの多すぎる列車で長々と書きすぎました。続きは次回っ。