ホリデーは計画を立てているときが一番楽しい。
誰が言ったか知りませんが、私もそう思います。
たまにこっちの空港のラウンジなどで日本の(紙の)新聞を眺めることがあるのですが、一番楽しいのは阪急交通社とかの旅行の全面広告です。特にヨーロッパのかなり忙しいツアーなどを見て、「無茶しやがる」とひとりごちたりとか。
今年は特にホリデーの計画がなかったんです。ところが、年休が余りに余って38日とかになっており、少し消化しようということに。
嫁に聞いてみた。
「ドイツの北の方の海に行こうよ」
うーむ。車で行けるというのは確かに魅力的なんだけど、どこかに出かけたという満足感はほとんどないんだよなぁ。関東に住んでいる人が車で5時間かけて新潟の海へ行き、そこのリゾートホテルで1週間過ごす感じ…といえばなんとなくわかっていただけるでしょうか。ミンダナオ島1週間とかと比べるといまいち興奮しない。そして、過去には10月に「ドイツの北の方の海の」リューゲン島に行ったことがあり、盛大にこのサイトでもネタにしている。
そうだ、「ラストミニッツ」とやらを試してみよう。例えば2週間後に1週間の休暇を取れるとして(嫁ともども取れそうなことは最初に確認した)…。
…と思ったのだが、あっという間に挫折した。
私が勝手に思い描いていたラストミニッツ。
「出発は来週。突然出たキャンセルのおかげで南の島へのパッケージツアーは8割引。往復のヒコーキの値段でホテルがついてきちゃう。超オトク♪」
…なんてうまい話じゃないんですね。夏場(6-8月)のホリデーシーズンはラストミニッツもなにもない…ということに気がつき諦める。
そんな再来週に「此処じゃない何処かへ」という日程前提で調べ始めた時に出てきたのがウクライナとか、クレタ島とか。
…ん?クレタ島?
どこ?と言う人。ええっと、ギリシャの南に果てにあるエーゲ海の島。面積は8336平方キロメートルとけっこうでかい。日本の…ってちょうど同じくらいの大きさの島がない。一番わかりやすそうな例えは、四国のうどん(香川)県とみかん(愛媛)県を残して、かつお(高知)県と阿波おどり(徳島)県を除いた感じ…といえば、なんとなくわかっていただけるでしょうか。四国を上半分だけを残して東西250キロくらいの細長い島にしたのがまさにクレタ島。…なお、私は行ったことがないのでここ数日のつけ刃知識で語っておりますのであしからず。
私と嫁の変な共通点。最初のひらめきを信じるのです。ホントにありがたい話なんですが、例えば嫁と服を買いに行くと、早い。いつまでもぐだぐだと選ばずに「うん、これがいい。試着。購入。完了」という感じなんですよ(唯一の例外がウエディングドレスだったかも)。ちなみに私の場合は、半額だとか特価ワゴンセールの中からだけぱっと選ぶのでさらに早いです。
そんなわけで今まで、クレタ島のこととか話したこともなかったし、まったく何も知らなかったけど、ぱっと出てきたから、うん、ここがいい…とひらめきで決めた。
で、いつもお世話になっている旅行代理店のSさんに丸投げして、控えめな予算でテキトーなパッケージツアー(1週間分のホテルと航空券が一体になったやつ)を見繕っておいて…とお願いしたら一日でお返事が来まして…。10月の終わりの端境期に5つ星ホテルで二食付きという提案がいくつか来ました。
(ちなみに上の写真のホテルは途中選考で落選。2017年に開館したばかりとかですごくいい感じだと最初は思ったのですが、とあるアイルランド人女性が「なにもないところに作られたリゾート感満載で、ギリシアに来た感じがしなかった」という評価を残しており、二人で「はっ!」とした次第。口コミサイトは玉石混交ですがたまに核心を突くコメントがありますね。)
5つ星ホテルと書くととんでもない贅沢のように聞こえそうですが、今回のシーズンオフのクレタ島に関して言えば、日本で言えば比較的安いところは東横インの値段で、そうでなくてもドーミーインのレベルです(しかも2食付きのお値段で)。ちなみに夏場ならその2-3倍のお値段なので、あくまで端境期の比較ということで。
で、ここから二人で勝手な夢想が始まりまして。おお、「こっちのホテルはビーチ直結だ」(嫁)、「こっちのホテルの写真のモデルのお姉さんはきれいだ」(私)、さらには口コミサイトの確認。最終的に残った2つのホテルは…当然のように一番高い2つだった。…まあ、よく言えば「お目が高い」ということになるのか単にアホなのか。
さて、写真やレビューで選んだホテルですが、この最終選考に残ったふたつのホテルの位置は偶然島の西寄りのほど近い場所だった。さっきの愛媛+香川県の例で言えば、松山市の郊外にある感じ。
そして、このクレタ島の一番大きな空港は島の中央やや右、つまりちょうど高松空港あたりになる。…松山に行くにはちょっと遠いなあ。
ちなみにこのクレタ島の「高松空港」は正しくはイラクリオン国際空港って言うんですが…Google大先生での評価がとんでもないことになってます。ここまで評価がひどいと逆に見てみたい気もしますが…。
前回のパッケージツアーではマヨルカ島に行ったのだが、また空港からホテルが遠くて、パッケージ料金に含まれていた送迎バスは、いわば「乗り合い送迎バス」で、島のあちこちのホテルに寄っていくものだから、私たちが予約した島の果てのホテルに着くまでに2時間以上かかり、新しい場所についてお目々キラキラで外を眺めていた3歳児のような私はともかく嫁は疲れ果ててしまったらしい。
どうも今回もその二の舞になりそうな感じ。高松空港に午後7時に到着して、そこから各所のホテルを回って松山郊外のホテルに着くのは何時になるのやら。
あれ、よく見ると、出発空港がうちから300キロ近く離れているフランクフルトと書いてある。旅行代理店のSさんに聞いてみた。
「割増料金になりますが、ハノーファーからの出発も可能ですよ」
…じゃあそれで。
ちょっと待てい。行きの出発時刻が午前5時15分ってなんやねん。ええっと、乗り慣れたスタアラじゃなくてチャーターで、しかも空港の長期滞在用駐車場に車を停めるとすればやっぱり2時間前に到着しないとダメだな。うちからハノーファー空港まで夜中のアウトバーンでも小一時間かかるから…自宅を午前2時出発?帰りだって、高松空港まで最低でも2時間掛かりそうだから…午前6時発?冗談はよし子さん(昭和おつ)だぞ。それ。
すると今度は嫁がさらに発見するのだ。
「あれ、こんなところに別の空港がある」
確かに地図を見ると、ホテルのすぐ近所、つまりは松山空港に当たる場所に別の空港がある(ハニア空港)。この空港に飛ぶことはできないのか聞いてみた。
「ハノーファーからの直行便は週に一便となります。なので出発日が変わり、かつ(さらに)割増料金になりますが可能ですよ」
…じゃあそれで。…って直行便があるなら早く言わんかいっ(旅行代理店のSさんに言わせれば「それはご予算の範囲外だったからご案内しなかったんです」ってことになるんだろうな)。
これも出発は午前7時頃と早いのだが、それでも2時間遅くなる…ということは家からの出発は午前4時でもいい。自宅出発が午前2時と4時(起床時間が午前1時か3時か)じゃあだいぶ違う気がする。
と、ここまで決まった。あとは、部屋。
部屋タイプのことを聞いてみたら、すべての部屋タイプで見積もりが出せるとのこと。現在の見積もりは当然一番お値打ち価格の部屋で計算されているとのこと。
まあ、ざっとこんな感じなんですよ。
- お得なお値段の部屋
- 道路に面したお部屋
- プールが見えるお部屋
- プールと海が見えるお部屋
- バルコニーにジャグジーがある海が見えるお部屋
- バルコニーに(お隣数件と)共用のプールのあるお部屋
上記の部屋の専有面積は(バルコニーを除けば)24平方メートルと同じ。…ええっと、私の学生時代のアパートの専有面積が20平方メートルだったから、あの8畳くらいの部屋+ユニットバスより若干広いくらいってことは…お世辞にも広い部屋とは言えないな(5つ星ホテルなのだからもうちょっと期待するのだが…)。これ以外にも「デラックスルーム」として、30平方メートルの部屋で、同じように海が見えるだプールがあるだといろいろ分かれているが、言うまでもなく下に行けば行くほど値段は上がっていく。
とりあえず、一番安いお部屋は窓こそあるだろうけど眺望などなさそう。それはちょっと思い始めると、もうどうにもとまらない。11月になろうかという時期にプールなどいらんだろと思っていると、ん?ジャグジー?
一日の終りにエーゲ海に沈む夕陽を見ながらジャグジーで飲むスパークリングワインとかステキじゃない?
…また嫁がわけのわからんことを言い出し…いや、その情景を頭に描いたらいいじゃん。しかも「スパークリングワイン」とは私のツボを抑えに来たな。ただ単に、「海を見ながらジャグジー」と言われても心は動かなかった。いい、スパークリングワイン、いいぞっ。
こうして、当初は「東横イン並み」で慎ましかった予算も、気がつけば1.5倍以上…ドーミーイン以上に膨れ上がっており、それでも、直行便の便利さやエーゲ海に沈む(以下略)を夢見た私たちのアホな頭はその感覚が麻痺してしまっている。…というか、一気に1.5倍の値段を提示されたら断ったろうけど、徐々に上がったのでゆでガエルのように気がつかなかった…というのが正しいかもしれない。
それでもちょっと立ち止まって、嫁と二者緊急予算緊縮会議が開かれた。これは大いに予算オーバーしている。どこかで予算を削らなければ。
私委員:「やはりエーゲ海に沈む(以下略)は憧れるのでフライトを不便なものにしてでも予算を削減すべきです」
嫁委員:「断固反対。便利な時間帯のフライトは譲れません。あなたはなんだかんだでお酒が飲みたいだけでしょ(図星)」
…こうして両者一歩も譲らず
「じゃあ、予算削減はなしということで」
…というなんの解決にもなっていない結論を得た。
こうして、旅行代理店のSさんにお願いしました。
「ハノーファーからホテル近所への直行便で、ジャグジーのあるお部屋でお願いします」
「了解しました。確認が取れ次第ご連絡します」と返事。
ところが…待てど暮らせど…返事が…来ない。これあかんやつや…と思っていたら案の定…
「申し訳ありません。ジャグジー付きのお部屋の確約が取れませんでした。代わりにプールと海が見えるお部屋を仮予約しておきました」
えーっ。
とっても意味不明なことに、そのジャグジーのないプールと海の見えるお部屋…とやら、ジャグジー付きのお部屋と値段があまり変わらない。つまり、お得感がないのだ。なんか、すでに私の中にはエーゲ海の夕陽(以下略)がイメージしつくされており、いまさらジャグジーがないというのはありえないのだ。悪いのはいつまでもグダグダ言って即決しなかった私たちなのだが。
私は嫁に一から調べ直すか聞いてみると…
「イヤ」
の一言で却下。わかりました。だったら緊縮予算案、嫁案を採用しましょう。つまりは部屋のランクを下げて、予算を削減。旅行代理店のSさんに連絡。
「申し訳ございません。お得なお値段の部屋はすべて満室になっておりまして」
…最悪です。お財布にも優しくない、かつ、ジャグジーという贅沢もないというどっちつかずのお部屋しか空いていないとは。何が悲しくて、人がプールでキャッキャやっているのをバルコニーから見なければいけないのか。俺がスパークリングワインを飲みながら見たかったのは、エーゲ海へ沈む夕陽で、中年夫婦のプールに入る姿じゃねえ。
「キャンセル待ちとかできるんですかね」
「一度お支払いをいただくとご予約のキャンセルには違約金がかかりますが、変更なら可能です。私がこれから毎日チェックしますね。可能性は…20%くらいですかねぇ」
…手作業かよ。
違約金という言葉に嫁が反応した。
「そうだ、万一(病気などで)行けなくなった場合の保険をかけないと」
…後生ですからこれ以上予算を膨らませないでください。
そんな私の懇願虚しく、嫁は保険は譲れないと主張。聞けば、やむを得ないキャンセルなどに有効な保険は120ユーロとかかかるらしい。しかし、このツアーオペレーターが発行する自社クレジットカードを年会費80ユーロ払って申し込めば、その保険がついてくるらしい。ただし、旅行代金はそのクレジットカードで払ってほしいとのこと。
…なんてうまい商売なんだ。
もう私は他の保険を探す気力もなく、それでいいやと折れました。
というわけで、部屋の変更が可能なら予告なしにやっちゃっていい、ついでにクレジットカードも作っちゃえ…という方針でただいま話を進めてます。実際の写真付きのホリデー編は11月になるとここで読めるのではないかと思われます。
更新履歴:「地中海」を「エーゲ海」に訂正してます。この辺は(というかクレタ島の北側は)エーゲ海なのね。クレタ海とも言うらしいですが。ちなみにクレタ島の南側は地中海で正しいらしいです。
クレタ島に思わず反応。アテネから1日クルーズをし、テッサロニキに1週間滞在しました。クレタ島とサントリー二島には是非行きたいです。一週間クルージングだと双方に立ち寄りますが、(トロヤも)そんな時間はありませんでした。
で、10月末・・・。微妙。私が訪れたのは9月半ば過ぎから10月の頭にかけて。10月に入るとアテネもテッサロニキもバタバタと店を閉めてました。そして11月〜は最高に悪天候らしい。日本人はなんで、11月に旅行にくるんだ?というギリシャ人に「日本は結婚シーズンなのです。新婚旅行なんです」に「そうか、そうか。(にっ)」という下りは、村上春樹著「遠い太鼓」に記載されています。彼はギリシャとローマで「ノルウェーの森」を執筆してました。クレタに行く前に一読をお勧めします。
ただあの頃から大分時が流れていますので、気候やら観光地の事情やら変わっているかと思われます。これは楽しみです!しかし有給が1月以上たまるなんて、日本企業ではまず考えられないんじゃないかなあ。
はい。時期的に外していることは承知してます。私達が泊まるホテルも、11月から3月は冬季閉鎖…つまり閉鎖の直前に行くわけです。今気がついたけど、ヒコーキだって夏に週に一便だけの運行だから、「今年最後の運行」ってことになりますね。…キャンセルとかあったらどーなるんでしょうね。
世のハルキニストに殴られそうですが、私が氏の作品で唯一読んだことがあるのはノルウェイの森で、いきなり出だしのハンブルグ空港で「ここにはジャンボは降りてこねーよ」とものすごくどーでもいいことが気になって醒めてしまい、全体を通して「ふーん」で終わっちゃったんですよね。
ハルキニストでも何でもないですから大丈夫ですが、エッセイはお勧めですよ。
しかしそういう間違いをされてましたか。彼は結構調べ上げて書くタイプですが。もしかして、知っていて敢えて書いたもあるかも。あれがあんなにヒットするとは思っていなかったらしく、日本に帰国して居心地悪くて、早々に日本脱出したと記憶です。
11月冬季閉鎖・・やっぱり。ギリシャへの直行便があるんですか!オリンピック航空の飛行機は、当時は途中で空中分解するんじゃないかという代物でした。(で、ローマの乗り換えで同行者二人が、お決まりのロストバッケージ・・・)
この後の湖水浴記事を、ふふふって思いながら読まさせていただきましたが、北ギリシャの海も、ドイツ人老齢トド夫婦が沢山横たわってお出ででした。でも夫婦仲が良さげな人が多かったです。もしかして、クレタでも又そういう光景+新婚日本人と遭遇ですかねえ。いや、アジア系観光客の大集団と遭遇かもしれませんね。今日本の平均的な若者は、お金ないですから。