先週(2018年の6月の最終週)ダブリンに滞在したのですが…、毎日ずっと晴れていました。快晴の日ばかりが続き、気温は25度を超え、30度に近くなり(=これをアイルランドでは「記録的猛暑」と言います)…とっても良い週にダブリンに戻れました。
私のように「いい天気で良かったです まる」とかいう作文を書いて満足している脳天気なアホはともかくとして、実はダブリンでの水不足は問題になりつつあるらしい。2日(月)から「庭の芝への水やり禁止!」「洗車禁止」などの規制が始まるらしいです。そもそもの問題点はこの国には水道のメーターというものがないことじゃないのかなとか思うのですが。そんな基本的なものはないのに、ダブリンバスにはUSBの電源ソケットが設置されていたり。いろいろ突っ込みどころの多い国ですわ。
そんな土曜日のこと。夕方に散髪の予約があったので街へ。土曜日の朝に今日は何をしようかいろいろ考えた。前回はダブリンの南のBrayからGreystonesまで歩いた。んじゃ、今回は逆に北のHowthの半島を歩くとか…とか考えて、ふと思いついてしまったんです。そうだ、ここから街まで歩けばいいじゃん(バス代もかからないし)…と。
今回の滞在先はAdamstown駅近く。どこ?って人、ダブリン市中心部から西に15キロの位置です。日頃の運動不足の反省も込めて歩こうと。感覚的には三鷹から一つ高尾よりの武蔵境から新宿まで歩いたといえば…沿線にお住まいの人じゃないとわからないか…。
全くの思いつきですが、時間はかかれど歩けるとは思った。さて、歩くとしたらどこを歩こう。幹線道路のN4(国道4号線)沿いは空気も悪そう。そうだ、Grand Canal(大運河)沿いを歩けば良いんだ。
さらに考えを進めると、この運河沿いに歩けば、ところどころでバスやLUAS(路面電車)の停留所にもぶつかる。つまり、疲れたらリタイアも可能。よしよし…と出発。午後12時ちょい過ぎのことでした。
12時15分。あと14.5キロ。
外に出て気がついた。気温は22度。日差しもさほど強くなく、爽やかな風も吹いていてもうこれ以上ないという良い天気。気持ちよく歩きはじめる。
さっそく運河に向かって歩いていると、後ろでパカパカ音がする。まだ少年と言ってもいいくらいの男性が馬車でどこかに向かっている。…馬車の運転に年齢制限はなさそうだけど、ながらスマホはキケンですよー。
鉄道の陸橋を渡ると住宅地からいきなりなにもない寂しい場所に変わる。絶対に夜一人で歩いちゃいけないところ。…なにか燃えた(燃やされた)跡がありますなぁ。深くは考えまい。
その先は遊歩道になってまして。なんと、中央分離帯のある遊歩道。どちらかが自転車道…とかいうならまだわかるけど、特に何も書いてない。…それ以前に誰もいない。さっきの馬車の男性以来10分位経過するけど誰ともすれ違っていない。
遊歩道の謎の「中央分離帯」がなくなり、その向こうになにやら立派な赤い橋が見えてきました。
上の写真の右側の赤い橋を渡ると、Grand Canalにぶつかりました。右手にも遊歩道が続いてますが、とりあえず放置。私、確かに「末端マニア」なんですが、今日はつきあってられません。末端マニアの意味がわからんという人、ほら、岬とかあると先端まで行かないと気がすまない、あるいは「日本最西端の駅」とかに萌えちゃう人です。それでも意味がわからないと言うなら、もうこの件はそっとしておいてあげてください。
12時20分。あと14キロ。
こちらは反対側、つまりは市内方向へ今回の進行方向です。いきなりこの2つ目の赤い橋を渡るように案内があるので素直にそれに従います。ベビーカーなどを押しても難なく登れそうなゆるい坂なので、(登った先となる)これから渡る橋がかなり遠くに見えます。
橋の上から上流方向を撮影。いかにも運河…といった感じの流れが続いています。こんなに立派な遊歩道があるのに誰もいませんが。
逆に下流方向。まあ、大げさでも何でもなくて地平線の彼方まで真っ直ぐですよ。本気で、ここ、歩くんですかね。
件の赤い橋を渡り、南岸に渡ったところ。両側に遊歩道があるように見えましたが、何らかの理由でここから先の南側は封鎖されており、この橋を渡って北岸に移動させている模様。
運河ではカルガモさん一家が泳いでました。コガモがちょろちょろ親ガモについていく姿が愛らしく、しばらく私はアホ面をして見とれていました。
12時37分。あと12.7キロ。
R136(地方道136号線)との交点。見てのとおり、運河と道路は立体交差。なので、道を渡る面倒がない。
右側に住宅地。そのせいもあってか、ようやくちらほらと人とすれ違うようになってきました。
すれ違うのは主に自転車。たまに歩いている人もいるが、その場合はたいがい犬の散歩。そうでもなければジョギング。私のようにひとりでてくてく歩いている人など全くいない。そんな自転車の通行を邪魔をする意地悪ゲートがところどころにある。たぶんだけど、車はもちろん、バイクの侵入も拒もうとしているのではないだろうか。そうじゃないならもう少しゲートを広くしても良かったと思う。
ひたすらに…まっすぐ。ふと思いついたけど、ここ、インライナー(ローラースケート)に最適だわ。まっすぐだし、平坦。もちろんさっきの意地悪ゲートを除けば自転車にも最適。デンマークとかオランダみたいに自転車用の通勤・通学路としても使えそうだけど…平日に自転車で通勤・通学している人はたくさんいるのだろうか。そういえば、日本のイナカみたいに自転車通学している学生ってほとんど見ないわ。多分だけど自転車が簡単に盗難されるからじゃないだろうかと愚考。
12時50分。あと11.3キロ。
船向けなのだろう、案内標識があります。Clondalkin村に到着。出発からすでに40分が経過しています。
ここにあったのは小屋。小屋の脇には堰があります。Lock 11(11番堰)。ちなみに小屋の名前は11th Lock House…ひねりも何もありませんな。
11番堰を反対側から。じゃばじゃばー。せき止められているので水量はあまりありません。落差も数m程度ですね。
11番堰からさほど遠くないところに10番堰があります。
ちなみにこの10番堰のすぐ近所にはClondalkin / Fonthillというアイルランド国鉄の駅がある。その名が表すとおり、Clondalkinという地区とFonthillという地区の中間のなーーーんもないところに建っている。乗降客もほとんど見ない、いまのところその存在意義が全くわからない駅。駅前には立派な(Park and Rideができる)無料駐車場があるが、私なら絶対に使わない。帰ってきたら車が燃やされていたとかシャレにならない。
(地図の下の方にあるのが大運河。悲しいくらい、なにもない)
13時05分。あと10.4キロ。
9番堰に到着。Clondalkin村の最寄りです。
ここで初めて水路が道路と平面交差します。…いや、するわけがない。道路との交差点の直前に水門があり、運河は数メートル下がるのだが、その横の遊歩道はそのまま道路と平面交差。押しボタン式信号つき。この交差する道路を車で通勤している人によると、「この交差点では自転車の(信号無視による)飛び出しがある」とのこと。ちなみに交差する通りの名前はNinth Lock Road(9番堰通り)。何度も車で通ったけど、通りの名前の由来まで思いを馳せることはなかった。徒歩だといろんな発見がある。
完全に思いつきでこの大きな散歩を始めてしまった私、水の1本すら持参していない。かくして、この交差点を「給水ポイント」として考えていた。写真の右側に黄色い建物が見て取れると思うのですが、ここ、大きなパブ…でした。過去形なのは「賃貸物件」の看板が掲げられ、営業している雰囲気がなかったからです。とりあえず、それ、「給水」じゃなくて「給ビール」だろ…とかいうありがたいツッコミは謹んで遠慮しておきますが、どっちにしても給水失敗。とはいえ汗もかいていない状態なのでこのまま進むことにします。
と、まあ、ここまで決して悪い雰囲気ではなかったと思うのですが、残念なことにこの運河を治安…という視点から見ると、実はあまりよろしくない。たまに水死体が上がったり、事件が起きたりと。もちろん、こんな白昼堂々ではさすがになにも起こらないとは思うのですが。はっきり書いていいなら、治安という意味ではここから一気に悪くなります。
そんなわけでか…は知りませんが、ところどころに監視カメラが設置され、使われているのを見たことはありませんが、スピーカーらしきものも設置されてます。あるいはどこかに集中管理室があるのかもしれませんが、そこに誰かが常駐して監視カメラを常時監視しているとはとても思えないので…やはり注意が必要でしょう。
閉鎖されたパブを過ぎると船着き場があるのですが…なにやら誰かが亡くなった模様。
その先には家庭ごみと思われるゴミが捨てられており…
…その脇には酒盛りでもしたのかビールの空き缶が相当数捨てられています。ちなみにドイツではアルミ缶一つに25セントの保証金がかかっているのでこんなポイ捨てをする輩は絶無です(してたとしても誰かが拾う)。これこそアイルランドに必要なことじゃあないだろうか。
13時28分。あと9.1キロ。
そこから数分でダブリンで一番忙しい道路M50(ダブリンの外環道くらいの理解でいいです)をくぐります。調べたわけじゃないけど、ダブリン市内にこのM50以上に交通量の多い道はないと思う。そのなかでもこのあたりが一番交通量が多いのではないだろうか。ちなみに出発地からここまでの約5キロの運河は完全に直線でしたが、ここでほんのすこしだけカーブして、このあと再び5キロ近い直線が続きます。…とりあえず、予想よりはるかに長くなったので次回に続く。