私の血には6.2ユーロの価値があるのだ

最近のガソリンをはじめとする物価の高騰ぶりには目を覆うばかり。町に車で行くとなると、駐車場代だけではなく、ガソリン代まで考えるようなご時勢になりました(それはそれで悪くないのかもしれないけど)。ともあれ、私は一計を案じました。


そうだ。売血をしよう。
私の血は6.2ユーロ(1000円ちょっと)の価値があるのだ。


…などと書くと、えらく誤解を招きそうな表現ですが、何のことはない話です。実はね、町の中心にある献血センターに行くと、2時間の無料駐車券がもらえるわけ。町に別の用事があってバスで行こうかどうか考えたんだけど、2時間分の無料駐車券をもらえるなら車で行こうと決めただけのことです。


会社が終わった後にそのまま町へ。2週間ぶりだよ。娑婆じゃなかった、町は。お約束どおり、イタリア・スペインのガキども、もといお坊ちゃん・お嬢さんがいっぱい。


トリニティカレッジの前でそのお坊ちゃんの一人に呼び止められる。


坊ちゃん:”Excuse me, Trinity college?”
私:(指さしながら)「おめーの目の前にあるのがそうだよ!」


通りを渡ると今度は地球の歩き方と地図を広げた50代のお母さんとその息子さんと思しきお二人(ちょっと珍しい取り合わせかも)。これで指さしでも持っていたら助けてあげよう、必要なら車で送ってあげようとまで思ったが、持っていなかったのでそのまま通過。それにしても、毎日雨ばっかで残念ですね。せっかく日本から遠路はるばる燃油サーチャージもユーロ高もものともせず来られたのに。


そして、いつもの美容室で髪を切ってもらう。そう、これが町に来た目的。所要1時間ちょい。で、それから件の献血センターへ。

バスからみた献血センター外観


(バスの車窓から無理やり撮影したのでブレてます)。


この献血センター、O’Connell Bridgeのたもとというまさにダブリンの中心地にあります。が、残念なことに入り口が人通りが少ないD’Ollier Street側にあるのでいまいち目立たない。

献血センター入口


入り口はこんな感じ。


で、入っていいんだか道だか迷うようなドアを開けるとそこにはリフトがあり、それで2nd Floorへ。

3階の献血センター入口


これ、フツーの人、入るのをちょっと躊躇しますよね。本当にドアを開けてもいいんだろうかって。


中に入ると受付があり、受付を済ませる。そこで駐車券を見せるとハンコをぽんと押してくれた。つまり、このあと何らかの理由で献血ができなかったとしても駐車料金は2時間分サービスされたわけ。…だからと言って、このまま帰るような厚顔無恥なことは私にはできません。


そして、待合室へ。

献血センター待合室


見ての通り、雑然とした感じ。写真は人が引いた瞬間を狙って撮ったのだけど、待合室には常時10人以上の人が順番を待っている。考えようによってはこれだけの人数の人が献血をしようとしているという事実は、ダブリンの将来は明るいと考えてもいいかも。まあ、人口に比すと少ない…という言い方もできそうだけど。


問診表に記入後、提出。待つこと10分。問診に呼ばれる。

献血センター問診室


問診室。


係りのおじさんはきわめて機械的に私の指先から血を抜き鉄分の検査。比重と言うのか知らんが合格。


そして、再び待合室へ。再び待つこと10分。いよいよ、採血。


行くと看護師さんはすでに顔見知りのオッサン。くだらない冗談を言っているとインド人とおぼしき医者があわられて人によっては引くであろうぶっとい針を左腕の静脈にぶす…っと刺したのだが、角度が悪かったのか刺さったには違いないけど鯨の潮吹きのマンガみたいに数センチの高さに血が吹き上がる。


人の血を無駄にすんじゃねえよ!


採血はおそらく10分程度で終了。量は聞いたところによると470ml。日本は400mlだから20%弱増しの計算になる。


それから併設の休憩室へ。日本と同様お茶やクッキーなどが自由に食べられます。ここでね、いっつも気になることがあるのです。

献血センター休憩室からO'Connell Bridgeを望む


こちら窓からの風景。


そう、O’Connell BridgeとO’Connell Streetが一望できます。もし、St Patrick’s Dayにこの献血センターが開いていたら、献血のあとにこの超一等地でパレードを見るということができる…かも。残念ながら、土日は休みなのでおそらくSt Patrick’s Dayも閉まっていると思われますが。

逆から見るとこんな感じ


アホなことを言ってるのかもしれないけど、人と出会うのにここ以上の場所はないんじゃないかという気がする。献血をするような人に悪い人はいないと思うからね(中にはひとりくらい2時間の駐車券と日記のネタ狙いとかいう救いようのないアホタレがいるかもしれないけど)。


最後に。本気で駐車券サービスのために献血を考えた人(いないだろうけど)に一言。献血には少なくとも1時間以上が必要です。献血後に一休みすることまで考えると1時間半とか。つまり、2時間のうちのほとんどは献血のための時間になるので実際のところは「駐車料金の実費負担」をしてくれているだけです。実際私も結局3時間近く駐車したので超過料金の3.1ユーロは自分で払いました。