前回の続きです。ダブリンからドイツに戻るお話。増発された朝9時発のルフトハンザ便でフランクフルトに向かいます。そこからICE(ドイツの新幹線という理解でいいです)でうちまで戻ろうと。
朝8時にダブリン空港に到着。この時間帯のヒコーキに乗ることなどほとんどなかったので知らなかったが、保安検査がおそらく30分待ちだろう…というくらい混んでいる。ぱっと時刻表を見たところ、中東やアメリカへの便がこの時間帯に重なっているようにも見える。
幸い優先レーンでさっさと通過…とはいかないかった。またスーツケースが再検査となる。その再検査に手間取り結局15分以上かかった。ちょっと聞いてみた。
「今日の私は何をしでかしたんですか?」
「何もしてないですよ。今日はあなたのラッキーデーなんですよー」
…こーゆー返しがぱっとできるアイルランド人はやっぱり楽しいと思う。ちなみに前にも書いたと思いますが、こんなときに「私は爆弾など持ってませんよ」とか言うと問題になりますのでくれぐれもお気をつけください。
搭乗時刻になり搭乗…と思いきや搭乗時刻が遅れる。搭乗をようやく始めたのに今度はいろいろもめている。最初に乗る優先搭乗の人たちが軒並み足止めされるので列が遅々として進まないのだ。
私の番が来て気がついたが搭乗口に新たに印刷された搭乗券が相当な数置かれている。お?もしかインボラアップグレード来ますかね…とか一瞬期待したが、スマホをかざした私「だけ」はそのまま通された。
乗ってみると何が起こったのかはすぐ理解できた。機材変更。昨日オンラインチェックイン時にはA320だったはずのヒコーキがA321に変更されている。こうなると「存在しない席」がでてくる。
実はこの機材変更は過去にも経験済みでして、私もそれを見越した座席の選択をしていたのだ。具体的にはA320の10列目と11列目が非常口座席になるのだが、A321では10列目のABCDは存在せず、11列目のDEFは非常口座席ではなくなる(よーわからんという人は、こちらの座席表を見てくだされば一目瞭然かと)。なので、この機材変更があっても非常口座席なのは11列目のABCということになる…ので11Cを選択しておいたのだが見事に的中。
なんだかんだでヒコーキは28分遅れで離陸しまして、14分遅れでフランクフルトに到着。さらに沖止めだったので10分ほどかけてターミナルビルへ。ご記憶でしょうか。前回はフランクフルト空港で45分の接続に挑戦しようとして結局そのヒコーキに乗らなかったのですが、今回もしこの45分の接続に挑戦してたら間に合ってませんでした。ハノーヴァー便はターミナルAの最遠のA69でしたし。
今回の私はここフランクフルト空港からICEでドイツ北部のうちに戻ろうという魂胆。…安かったのです。運賃が。
日本の新幹線での割引券などほとんど存在しないのはご存知のとおり。せいぜい株主優待券を購入して数百円安く乗車するとか、ぶらっとこだまのような企画乗車券があるだけ。ところが、ドイツ国鉄のサイトはもうヒコーキの搭乗券のような売り方をしてるんですよ。つまり、事前に予約変更不可の券ならかなり安く買えてしまうという。
具体的には300キロ超の新幹線での移動、通常の2等車では85ユーロなのに対し、事前割引をめいっぱい使った場合は19.9ユーロで乗れてしまう。77%引きは相当なものですよね。ただし、変更不能なのでもしヒコーキが遅れた場合はもう選択の余地なく85ユーロ払って新たな乗車券を買わなければいけなくなります。
というわけで、私はフランクフルトで2時間半の余裕を見て19.9ユーロの格安券を…買わずに、同じ時刻の別のオファーに手を出す。
いやー、ドイツ国鉄さんのサイト、よく出来てるんだわ。こんなふうに運賃比較を並べて、私に囁くのだ。
「ほらっ、一等車も特別価格よっ。43.9ユーロ。しかも、座席指定つきよっ」
そう、座席指定料金は別料金(4.5ユーロ)なのだ。それを考えると価格差は少し埋まるし、1等車でも通常料金の半額で乗れてしまう。それもいいんでね?…と考えて倍の金を払って一等車の乗車券を購入した私は完全にドイツ国鉄の手のひらで踊らされていた。
というわけで、2時間ほどの待ち時間、空港駅でぼーっとしているのももったいない。さてどーしようかと思い、事前に決めていたことは、ヒコーキが大幅に遅れない限り街に出ようと。土曜日だから店も開いてるしね。
空港から市内までの乗車券は別途。正確には中央駅まではICEの乗車券でカバーされるはずなのだが、万一検札が来た場合そう言い逃れできるか自信がないのでおとなしく乗車券を買うことに…したのだが、4.6ユーロって何よ?たった3駅の乗車でこの値段はないんでね?一瞬ひるんだが結局15分おきの電車の発車時刻が迫っていたのでそのまま購入。階下のホームにはすでに電車が入線しており何も考えずに乗る。
乗ってやれやれと座席に座ると…外が見えない。
中央駅で降りる時に撮影したのですが、こーゆーことです。
このグラフィーとか呼ばれる行為、日本でも最近たまに起こるらしいけど、毅然とした対応を取るべきだと思う。そうしないとこんな電車がフツーに走ることになるし、だいたいがさ、さっきのクソ高い運賃の4.6ユーロのうちのいくらかはこの落書き消しのために使われてるよね。どう考えても許すまじな行為だわ。
到着時に気になったことは、確か空港からのこの電車、昔は中央駅止まりじゃなくて地下ホームから市内に直行してたよなあ。なんで今日は頭端式ホームの地上駅に着いたんだろ。
それにしてもGoogle Mapは本当に便利。次の市内行きの電車の時刻とホームが表示されている。ふむふむ地下駅に移動ね。
そんな事を考えてつつ、降りたホームから歩き始めた私の目の前にあったものは駅の端を上手く活用したコインロッカー。わずか2時間ほどの滞在ながらこれは便利と利用させてもらうことにする。
3.5ユーロ分の小銭と引き換えに身軽になった私はそのまま地下ホームへ。ホームに降りるとすでに列車が入線していてエスカレーターに乗っていた人が次々と駆け始める。私もつられてその電車に乗ると、そのままその電車は動き始めた。…市内とは反対方向に。…やっちゃいましたか。私。
改めてGoogle Mapを見ると、101番線発と書いてある。で、私が乗ったのは102番線。あれ、この二面四線ホームのフランクフルト中央駅の地下ホームの101番線と102番線はどちらに乗っても市中心に向かったと思ったんだけどなぁ。
ありがちなことにいつまで経っても次の駅にたどり着かないのだ。5分ほど乗車してようやく次の駅にたどり着き私は折返しの電車を待つ。
結局20分ほど無駄にしてフランクフルト中央駅地下ホームの同じホームに戻る。今度は同じ轍を踏むまいと、Google Mapとプラットホームの電光表示を確認。よし、S4、101番線、間違いなしっ…と指差し確認でもしそうな勢いで確認の上乗車。すると、今度は…やはり逆方向に走り出した。
アホな私もことここに来て気がついた。フランクフルト空港から中央駅への電車でも、今乗ってきた折返しの電車でも自動アナウンスで
「本日は中央駅で運行を打ち切ります」
と言っていたのだ。これの意味するところをよく考えてみれば答えは明白。この先、工事とかの理由で運行を取りやめていたのだ。
そーゆー思いで思い出すと
…なんでホームにまで案内係が出張っていたのかがわかる。
結局こうして40分ほど二度の折り返し乗車ごっこをして時間を無駄にすることに。ここから別路線で市内に向かっても良かったんだけど、すでに残り時間は1時間ちょい。1時間で市内に行って戻ろうとしても、乗車券のない帰りが徒歩20分程度になることを考えるともう無理。やめたっ。
そのまま中央駅付近でお昼ご飯を食べて過ごすことにする。
結局中央駅からわずか100メートルほどの距離にあるハンバーガー屋のテラスに腰を下ろしてしまう私。ハンバーガーとビールで14ユーロなり。おいしかった。
その後中央駅に戻り、ここで折返しとなる空港方面からやってくるICEを待つ。
来ました。
乗ってみると、新型のICEでして…これが「どうしてこうなった」というくらいダメダメなシロモノだった。
ご存知の通り、日本の新幹線は一部のミニ新幹線などを除くとグリーン車は2-2の座席配列で普通車は2-3。それに対しドイツの一等車は1-2、二等車でも2-2とかなり横幅に余裕がある。この点は新型のICEも同じ…なんだけど、多分だけど前後の間隔は狭まったと思う。
それよりも何よりも、旧型のICEの一等車にあった趣というか、格式がなくなった気がする。とにかく1席でも多く詰め込もうとした結果がこうなった…という気がする。
なんでこうなったのかさっぱり理解できないのがこれ。
窓枠とにらめっこ席。
例えば私が観光客で日本からはるばるやってきて、期待に胸踊らせてはじめてのドイツ国鉄のICEの一等車の予約した席に座ったら、外が見えずに窓枠とずっとにらめっこだった…とかいう状況になったらキレますよ。これは荷物置き場の配置などレイアウト次第でなんとかなったと思われる実に残念な作りだわ。
あ、そう…
…座席を詰め込んだ上でも、ちゃんと荷物置き場があることは評価されるべきだと思う。某JR東海さん…聞いてます?
というわけで、一等車の価値はあんまりなかったな…と思っていたら、乗換駅からのローカル線で思わぬ効果を発揮。
お約束でICEは5分程度遅れ、乗換駅で駆け込みで間に合ったローカル線。日本の地方でもよく見られるようにやたらと編成が短いので混む。このローカル線も1時間に1本の運行なのに2輌編成と短いので土曜日の夕方ということもあってか二等車の座席は完全に埋まっていたのだが、たった8席しかない一等車には一人しか乗っておらず思わず快適に地元駅まで移動できましたとさ。ただ、ローカル線車両に関しては一等車と二等車席の違いは…なかった。
ヨーロッパの鉄道車両って、座席との窓割り無視した車両多いですよね。構体設計(窓配置)と内装設計別だからって意思疎通なしってことはないと思うんですが、、、
日本には趣味人向けですが「勝ち席ガイド」なる本があります、シートピッチや窓配置も含めてお得な席はどこかと言うのを座席表に基づいて解説する本ですが、この際、海外バージョンで「負け席ガイド」を作りましょう!
ほんっっっっっっっっっっっとに非道いと思います。むしろ単純にボックスシートが並んでいるだけの通勤車のほうが窓割りがあってたりするんですよね。
あとは進行方向にこだわらないですよね。座席が回転しない…。日本の高松とか小倉とか折り返し駅で乗客が座席を回転させるのは不思議な光景に見えるらしいです。
その「勝ち席ガイド」興味ありです。私も6000系がどーこーとか言われてもさっぱりわかりませんが、「当たり席」には興味ありです。でも、こっちにもそーゆーのに興味がある人がいるからSeatguruなどのページが存在するんでしょうね。鉄道版Seatguruがあっても不思議はない気がします。