時事ネタ…と言っても飛行機事故ではないのだ

日本では民主党に対する批判の嵐が吹き荒れているようです。政治的には中立を是としているこのサイトですが、私が「民主党政権は期待はずれだった」とここで言ってもおそらくほとんどの人は納得してくださると思います。何せ、民主党を信奉していたといってもいいくらいの京セラの名誉会長さんまで民主党に愛想を尽かしたみたいですし。


そう、稲盛名誉会長と言えば、日本航空の会長、日本航空といえば航空会社、ヒコーキと言えば今日のCorkでの墜落事故…というふうには話は行かないんです。ここ最近の日記、ほとんど航空ネタばっかだし。あ、前日の日記の続きは、もうできてます。写真をまとめるだけなのでじきにアップできると思います。


髪を切りにいったんです。サロンで新聞を読んでて数度吹き出しました。選挙のお話。


話の前提をできるだけさくっとまとめると、アイルランドは二院制なんですが、日本の参議院と違い、上院は直接選挙で選ばれるわけじゃないし、あまり強い権限を持っているわけじゃあないから、下院が力を持っているわけ。下院は少なくとも5年に1回選挙が行われると。で、投票方法は、日本と違い、Aさんに1番、Bさんに2番とかいうわけのわからん投票方式で、1選挙区から3-5人が選ばれると。


で、定数は現在166人で(人口450万人に166人ってことは、議員が27,000人に一人の計算。日本ををざっくり1億2千万に対して480人とすると25万人に一人の計算。日本と同じ割合なら16人でいいってことになるな。)、過半数を若干割るくらいの席を与党共和党(Fianna Fáil)が持っていると。過半数に足りないから、吹けば飛ぶような少数政党と連立政権を作っていたのですが、その政党が連立離脱を宣言。政権は崩壊し、選挙になったと。


ご存知のとおり、アイルランドの経済はぶっちゃけ破綻しました。EUやらIMFから175億ユーロだか借金して、これを返さなきゃいけない。というわけで、今年の1月からUSC(Universal Social Charge)なる税金を創設して、低所得者への減免とかはあるけど、今までの税に加えてざっくり給料の7%を徴収するようになったと。他人事みたいに書いてますけど、私の給料も諭吉さん2枚分とか減りましたとさ。


まあ、そんな大増税されて国民は黙っちゃいませんよ。当然、共和党への支持はがた落ち。政党支持率は一桁まで落ちているらしいですから、今回の選挙、共和党が惨敗するのはすでに規定路線で、議会の1/3を握る「統一アイルランド党」(Fine Gail…なんか日本語だと違和感あるなあ)が他の野党と連立政権を組むだろうというのが下馬評。私だって、選挙権があったら、私の給料から諭吉さんを掠め取るようにした共和党には投票しないと思います。


というわけで、アイルランドの政治についてのよくわかってない人からの講釈はこれくらいにしまして、話を続けます。…あ、そうだ、もう一ついい忘れてた。アイルランドでは日本では(選挙期間中は)違法の戸別訪問が認められているらしい。つまり、どっかの家に飛び込みで行って「私に投票してくださいっ」ってお願いするのはありらしい。何せ、国民27,000人に一人の割で、複数人が当選できる中選挙区制なんだから、どぶ板選挙やっても十分勝算はある気がする。大方、日本の県議会議員選挙に当選できる人は、アイルランドで国会議員になれる計算になる。


今日の新聞にね、与党、共和党の苦戦ぶりが伝えられていたのよ。ある候補者が、「支持をお願いします」ってダブリンの女性に言ったら、こう返ってきたそうな。ちなみに新聞が手元にないので、一字一句まで合っている自信はありませんのであしからず。


Are you Fianna Fáil? I’d rather stick pins in my eyes!
ホホホ訳:「あなた共和党(の候補者)?(あなたに投票するくらいなら)目に針を突き刺すわ」


つまりそれくらい、共和党の候補者に票を入れるつもりはないらしい。私が候補者だったらもう涙目ですね。


ただねえ、候補者も負けてないのよ。別の候補者の話。こちらは、有権者から


Your pal is driving Mercedes around and receiving EUR3000 pension per week.
ホホホ訳:「あなたのトモダチはベンツ乗り回して、週に3000ユーロの年金をもらってるんだってね」


…解説がいりますね。これ、共和党からの前総理大臣、Bertie Ahern氏に対するあてつけです。バブルの絶頂期に総理大臣(Taoiseach)を10年以上勤めた彼、当時の年収は30万ユーロとかで、現在年に推定135,000ユーロの年金をもらうご身分らしい。これが「週に3000ユーロ」の根拠らしい…って、今計算したら、2500にしかならないんだけど、まあ、細かいことは気にするな。まあ、ともあれ、有権者に「あなたのトモダチはベンツ乗り回して、週に3000ユーロの年金をもらってるんだってね」と言われたと。それに対する、共和党候補の言い分が笑えた。


He’s not my pal.
ホホホ訳:「彼は私の友達じゃありませんっ」


まあ、気持ちはわかる。日本の4月の統一地方選挙、おそらく民主党の看板抱えているだけで苦戦する候補さんが多いんだろうなあ。実際県議会議員さんとかだと鳩山前総理になど会ったことすらないという人が多いだろうから、
その人の文句言われたら、かなわんと思う。だけど、堂々と、「(前総理は)私の友達じゃありませんっ」って言い切ってしまうところがさすがアイルランドと思いました。


共和党の候補者の皆様、まあ、めげずにがんばってください(他人事)。そして、日本の民主党の候補者の皆様。大変かもしれませんが、アイルランドの共和党の候補者よりはマシです…きっと。まあ、マジメに考えると、日本の経済状況のほうがよっぽど危機的じゃないかとかいう気もするんですけどねえ。


おまけ:

髪を切る予約時間まで若干の余裕があったのが運の尽き。ふらふらと靴を買ってしまった(しかも二足も)アホな私。…不況ですよ。誰が何と言おうと。