コスト削減
…もうこの言葉を聞いただけで嫌な顔をする勤め人の方も少なくない気がする。どの角度から見ても金持ちとはいえない私も、ダブリンまでの毎度のヒコーキ代がけっこう痛い。これを削減するには…
そうだ Ryanair 乗ろう
積極的に乗りたいわけでは決してない。なんだけどさ、いつも使っているルフトハンザなどと比べると1/5の運賃でヒコーキに乗れるわけです。まあ、コスト削減のいの一番の対象となってもおかしくない。かくして、片道のみRyanairの「お試しコスト削減」に挑戦した、その顛末記…です。
さっき運賃が1/5と書きましたが、これにはちょっと解説がいる。うちの最寄りのハノーファー空港、規模が小さすぎるせいなのか、Ryanairが飛んできていない。で、ルフトハンザほかの航空会社にダブリン行きの直行便はない。すべて経由便。そりゃ高くなるわな。
他方、うちからざっと200キロほど離れたブレーメン空港まで移動すると、Ryanairがまた片道19.99ユーロとかで予約できるので…安い。まあ、鉄道が別に30ユーロほどかかるのだが。
10月のとある週。この秋のドイツの天候は、一言で言ってひどい。悪天候が続いていて晴れの日がほとんどない。いや、春も寒の戻りで酷いことになったし、夏らしい夏もなかったし…今年は基本的にダメな年だと思う。
この週は基本的に雨続きで、風も強い。ラジオでは鉄道が倒木などの影響であちこちで分断されているとの情報。出発前に気になったので、ドイツ国鉄のサイトなどで調べてみたが、私の乗る路線に関しては通常運行中。いや、正確に言えば、この悪天候とは無関係に保線のために一部区間が代替バス運行になっていたが、それは「予定通り」。
出発前にドイツ国鉄のスマホアプリで乗車券を購入し、いざ出発。念のために殊勝にも
代替バスと列車を乗り継いでハノーファー中央駅へ向かう。その途中でスマホに通知が届く。
「列車運休のお知らせ」
…来ましたか。
ただ、今回は「念のため」殊勝にも出発時刻の3時間半前に空港に到着するように計画を練っている。しかも、ドイツ国鉄アプリ、意外と優秀なのだ。
ほーら、迂回ルートがすでに検索されている。
ハノーファー中央駅に到着。迂回ルートの列車の発車時刻まで余裕があるので窓口に行って最新情報を尋ねに行くことに。
大行列。
待つこと25分。もう代替列車の発車時刻まで時間がない。ブレーメンに行きたいと言うと、係のおじさんはタブレット端末で調べ始める。…おいおい、ゲットできる情報は同じじゃねえか。意味ねえなぁ。
曰く、ブレーメンに行きたいなら、駅の反対側の出口にあるバスターミナルに行け。代替バスが出ている…かもしれない。出発時刻はここではわからない。バスターミナルで係に聞いてくれ…という実に曖昧な情報をいただく。やはり、ドイツ国鉄のアプリで得られる以上の情報はないのね。
かくして私は、アプリで提案されていた代替ルートの電車に乗る。
さあ、いよいよ到着…という段になって気がついた。
あれ?接続便って、キャンセルになっている列車じゃん。
つまりはこーゆーこと。わかりやすくするために、中央線に置き換えると、私は新宿から高尾まで行こうとしてる(実際の距離はもっと長いけど)。乗ろうとしていた中央特快が国分寺付近での線路異常のため運休に。それで代替ルートとして出てきたのが、三鷹まで総武線各駅停車に乗り、そこから中央特快で国分寺を過ぎて立川まで行き、立川から中央本線の列車で高尾に行けと…。いやいやいやいや、だから中央特快は運休なんだってば…という話。すいません。一つ訂正です。ドイツ国鉄アプリ、使えねぇ。
これはやばい、戻らないと…電車は駅の手前で停車したまま動かない。なんだろうと思っていると、数分後に折り返しのS-Bahn(近郊電車)が発車していった。ああ、同じホームを利用してるのね。
結論としては、ここで詰んだ。なんかの番組じゃないけど情報を集めようと鉄道の窓口に行くが、ありがちなことに土曜日は午前中のみの営業。現在は午後3時。とっくに閉まっている。
バスはと言えば…日本で言えば市バス…長距離のバスが出るような様子はまったくない。
駅に戻ると、同じように右往左往している人が数人。ドイツ国鉄のアプリに騙されたのか。
調べてみるとなんとこの駅からのS-Bahnは1時間に1本しか運行していない。この先には一切進めない。戻ろうにも次の電車はいま乗ってきたのが1時間後に折り返し。つまり、ハノーファー中央駅に到着した時点で午後4時。ヒコーキの出発2時間前。仮に列車が通常通り運行されていたとしても間に合うかどうか。はいアウト~。
こうなると次なる関心は敗戦処理。すなわち、明日、どうにかしてダブリンに行くにはどうすればいいか。幸か不幸かダブリンからハノーファーの帰りの航空券は持っていて、今回の乗り遅れとは一切無関係なので片道だけ買えばいい。(意味がわからんという人。通常航空券は予約の順序どおりに使わないとダメです。例えば、ハノーファーからダブリンの単純往復の航空券を持っていて、行きのヒコーキに乗らなかったら、帰りのヒコーキは自動的に取り消されます)。あとは、旅行保険に入っていればよかった…という説もあるのですが、使ったことがないのでつい最近解約したんですよねぇ。
ともあれ。直前の航空券って高いのよ。1時間も電車を待つうちにいろいろ調べ上げて、一番安いのは月曜日の朝6時にハノーファーを出る、SASがっすのスカンジナビア航空の片道券が片道200ユーロちょいで一番安いという結論に。即購入。
その後は、トボトボと家に戻る。途中で検札があり、ふと気がつくと帰りの乗車券など買っていない。万が一にも不正乗車などと言われて罰金などという話になった日には大喧嘩してやろうと思つつ、優しそうな車掌さんにスマホの乗車券を見せると…
「ブレーメンに行けませんでした」
「そうでした。それは大変でしたね~」
以上。しつこくいろいろ聞かれるまでもなく。
帰宅後ラジオで「今日のドイツ国鉄の乗車券をお持ちの方は後日同じ権で利用ができる」とかいう感じの放送をしていた気がするが、ブレーメンに戻らないのだから私には何の役にも立たない話。
翌日曜日。午後遅くに家を出発。ヒコーキは月曜早朝発なのになぜ…かというと、そう、朝の6時10分という何を血迷ったかというSASがっすのスカンジナビア航空のダイヤ設定のお陰で前泊する羽目になったわけ。当日朝の3時半に出発して空港に車を停めるのも可能だったが、駐車場代と安ホテル代+電車代を比較してもほとんど同じだったので、だったら試しに前泊してみるか…となったわけ。
空港近所のホテル。
お、値段相当…というのが正直。一晩寝るためだけならなんの問題もないがそれ以上のものを何も期待してはいけない…という感じですね。
まあ、このあとは特に問題なくダブリンに到着しましたよ。結局、コスト削減どころか、いつもの倍の費用がかかったのですけどね。
結論:Ryanairはクソ
…という明らかにRyanairのせいじゃないところで文句を言ってます。これで乗れなかったRyanairのヒコーキが大幅に遅延とかしてたらざまぁー…と性格悪く嗤えたのですが、もちろん定刻通りの運行だったようです。