雪の朝に考える。アイルランド、大丈夫なのか?

おはようございます。アイルランドは日曜日の朝の9時です。寒いです。それもそのはず、ただいまの気温、マイナス7度。しかも外は雪。積雪量はたいしたことはないのですが、外気温が低いせいか融ける様子がありません。どう見ても、見慣れたアイルランドとは様子が違います。これが週末じゃなくて、平日だったら、通勤でパニックになっていたことは間違いないかと。

まあ、寒いのは、気温だけじゃないようです。アイルランドが経済危機だそうです。やばいそうです。日本円にして10兆円もの緊急融資を受けるらしいです。はい、すべて伝聞系です。なぜなら、私のように、のほほんとガイジンとして暮らしている身の上には、すべてがまさに遠い異国で起きていることのようにしか聞こえてこないんですよ。会社の周りの人たちを見ても、状況はさほど違わない気がする。

それにもっともな理由をつけてみようとすると、例年、この時期に来年度の予算が発表されます。この発表で、自分にかかる税金の控除額とか課税額だとかがわかるわけ。これがまだ発表されていない。

つまり、今回の「緊急融資」とやらを受けて自分が住んでいる「アイルランド」という国がどうやら大変だということは連日連夜のニュースから十分伝わってくるんだけど、それが「私の生活」にどうかかわってくるかがいまいち実感として沸いてきていないんですよ。

付加価値税(VAT)を段階的に23%に引き上げるって言われたって、21%が23%になるとそんな暮らしに大きな影響が出るのかさっぱりわからないし(今まで12.1ユーロだったもんが12.3ユーロになったって大した差はない気がする)、公務員が2万5千人削減されるって言っても、自分は公務員じゃないし、銀行が国営化されたら、それが自分の預けている金にどう影響するかもさっぱりわからない。

それにさ、自分の会社が経営危機だ!ってわかったら、ほかの会社に転職することも考えてよさそうだけど、国がつぶれそうって時は、いったいどーすればいいんだろ?ことガイジンの私にとってはこの国を出ることはほかの人よりはたやすいかもしれませんが、一般論としては、そうそう容易なことではないはず。なので、今日のマイナス6度の窓の外を見ながら、「寒いなあ。大変だなあ」と言いつつ、実はなーんもできないというのが、私はもちろん、おおかたのアイルランド人の状況なのではないかと思います。

今回の決定でアイルランド政府が守り抜いたことは、他国に比べてめっちゃ安い(らしい)12.5%の法人税。これがあったから90年代のアイルランドに空前の好景気が訪れたんですよね。やっすい税金に、やっすい賃金、挙句に国民は英語を話す…となると、この国に多くの外国からの企業がなだれを打って進出してきても何も驚くには値しないわけで。

で、人や金が入ってきて不動産バブルが訪れ、このケルティックタイガーは永遠に終わらないとか真顔で語るアホまで出てきて、だから、この景気が続くようにと無駄なことをして状況をさらに悪化させ、ふと気がつくと、にっちもさっちもいかない状況になった…という認識で大雑把に間違ってないと思います。

とにもかくにも、この低税率の法人税がなくなったら、この国にいる必然性のない外資系の会社は出て行くと思いますよ。すでに、人件費はとんでもなく高くなってしまったわけだし(このへんと最低賃金の引き下げ決定はおそらく密接につながっていると思います)。

こんなふうに、解説者を気取って書いてますけど、私の勤める会社だってそうですよ。完全な外資で、法人税が上がった暁には、この会社もおそらくアイルランドを出て行く決断をすると思います。なので、この政府の決定は正しいとは思いますが、さあ、果たして、4年で財政が再建できるかどうか、見ものです。

アイルランドの財政赤字は対GDP比で32%だそうな。年収の4割の借金を返すことって、決して不可能じゃないと思います。ちなみに日本は180%。数字には異論があり、単純比較できるのかどうか知らんけど、日本って大丈夫なの?