車検の前の車の整備

2年に一度の車検の季節がやってきました。日本から6年前に輸入した私の車、もう御年15歳とどー考えてもおじいちゃんなのだが、まあ、ほとんどまったく問題なく走り続けている。なので、たとえ新車購入の補助金制度があっても、ちょっと燃費が悪くても、まったく買い換える気になりません。というわけで、今回も車検を受けてあと2年は乗ってやろうという魂胆。

こちらの車検、日本的に言えば、ユーザー車検が基本。つまり、車検場に自分で車を持っていって検査をしてもらう。ただし、検査機器の使用は専門の係がやってくれるので、こちらは窓越しにその様子を見守って見ればいいわけ。

そして、車検場に持っていく前に車を点検するかどうかは個人の自由。まずは点検をして万全の状態にして車を車検に持っていくのもいいし、不合格になってから、問題箇所を修理してもらってもいい。ちなみにこちらの車検の一発での合格率はざっくり半分の50%。つまり、二台に一台は不合格になっている。だったら最初は不合格になるつもりでぶっつけ本番で持っていくのも一考。

だけどさ、車を長持ちさせたいのなら、転ばぬ先の杖で、車検のときについでに車を整備してもらうって決して悪い考えじゃあないと思うんだよね。ほかは知らんが、私は少なくともそうしようと決めた。

かくして、前回修理をしてくれた謎のじーちゃんに連絡すると

じーちゃん:「わしはもうひざが悪くて修理はできん。ぐふっ」(友人を通じてそう聞いた)

あらま。

というわけで、再び知り合いの知り合いを当たることに。なーんか前にも書いたような気がするけど、アイルランドは日本のそれ以上にコネ社会な気がする。つまり、知り合いの紹介とかだと、話が案外あっさりと進むけど、飛び込みで何かをやろうとしてもたいがいうまくいかない。実際、前回の車の修理のときも、飛び込みで大手の修理工場に持ち込んだら大失敗した。

かくして、同僚のお父さん(タクシー運転手…つまりプロ…だよね)が全幅の信頼を置いているという修理工場にお願いすることに。

私:「車検が来週で、その前に検査をお願いしたいんですけど」
相手:「いいですよー」
私:「できれば来週の月曜日にお願いしたいんですけど。ちなみにおいくらですか?」
相手:「40ユーロ」

…意外と安いな。

私:「あ、ついでに、オイル交換、オイルフィルターにスパークプラグ(以下略)も交換してもらいたいんですけど」
相手:「あー、だったら、『フルサービス』というパッケージプランがあるから、それでやったらいいと思いますよ。そのようなことをすべて行って160ユーロです」
私:「んじゃ、それでお願いします」

で、月曜日の朝、実はこの日は会社のサーバーのひとつがお亡くなりになってしまい、とんでもないパニック状態になっていたのだが、そんな中に車を引き取りに来てくれた。私は話に行き違いなどがあると嫌なので、メモを用意しておいた。

「修理してほしいところや交換してほしい部品は以下のとおり。追加の費用が発生した場合は必ず連絡をしてください」

午後4時。電話が鳴る。

相手:「いま終わりました。今から車を納車に行きます」
私:「で、どうだったの?」
相手:「おおむね良好でしたが、ブレーキ液の補充など若干の追加の作業が必要となりました。全部で200ユーロです」

…連絡してと言っておいたのに、やっぱり無視しやがったな。

10分後、納車に表れたのは別の男性。

私:「結局、どーだったの?」
相手:「私はただの運転手ですからわかりません。ご質問は、上司までどーぞ」

200ユーロを手渡すと、その男性はそそくさと去っていった。

…領収書はどこですか?

ぶっちゃけ、これ、アイルランドでは当たり前のことらしい。以前、別の修理工場で領収書を出せと言ったら、

「え?領収書?出すなら別料金ですよ」

と真顔で言われてしまった。そう、はえー話が、領収書なしで脱税をしているわけ。そして、その利益はこちらにも還元されているので(少なくともそーゆー設定)、私もどうやら脱税の共犯者らしいのだ。そんなことがわかっているから、私は領収書を出せとか言わなかった。こーゆーこともあるから、知り合いの知り合いとかじゃないと、ことがうまく運ばない、下手をすればぼったくられたりとかされる可能性だってあるわけ。ああ、なんて面倒くさい国なんだ。

その数日後、車検場に車を持っていく。
結果は、あっさり合格。しかも、ありえないくらいのいい結果で。

これであと2年この車に乗れることになりました。けっこう気に入ってる車なので、このまま大事に乗りたいと思っています…と小学生の日記の作文のような優等生のまとめをしてみる。