「マイクロソフト」から電話がかかってきた…の巻

ある日の早朝…と言ってももう8時を過ぎていて私はすでに仕事中なのだが、階下の義両親はそろそろ起きる頃…という時間帯。

家の電話が鳴った。

私は無視を決め込むことにする。だって、仕事の電話は家にはかかってこないし、もし義両親あての電話だと寝室まで起こしに行くのは躊躇する。

ちょっとすると、パジャマ姿、数秒前まで確実に寝てました…という趣の義母が電話を持ってやってきた。私あての電話だという。はぁ?と思いつつ電話に出ると、モロにインド訛の英語で

「こちらはマイクロソフトのサービスセンターです。お客様の家のコンピューターからウィルスが検出されました」

…朝から莫迦なの。そんな数年前にアイルランドで聞いた覚えのある詐欺電話をなんでいまさらかけてくるの。

私:「は?マイクロソフト?なに、本当にマイクロソフトなの?それとも、『マイクロソフトとして』(on behalf of)電話かけてきてるの?」

相手:「マイクロソフトです」

そっか。この言い方、職場でのセールス電話撃退には有効だけど、完全な詐欺電話には使えないのか。一つ勉強になったわ。

私:「電話番号いただけますか?」

相手:「0800-XXXXXXです」

…ほう、これは詐欺師のマニュアルに載ってるのか?この電話番号が本当にマイクロソフトかどうかは知らんが(ってか、あそこは電話サポートの番号を表に出していない気がする)立て板に水で電話番号が出てきたことは評価しよう。

私:「お名前もいただけますか」

相手:「Kevin Johnstonと申します」

確かに中国人とか、ニックネームでこちら風の名前をつけている人は多い。James Wongさんとかね(他意なくテキトーにつけた名前です)。それはいいんだけど、なんだろう、このまるわかりのインド英語でイギリス人ふうの名前を名乗られても…ねえ…。

私:「それで、こんなに朝早くからご用件は何でしょう」

相手:「お客様の自宅のコンピューターからウィルスが検出されました。ただいまから削除方法を申し上げますのでコンピューターを操作していただけますか」

ここは遊んでやろうかと思ったのだが、ふと見ると義母が心配そうな顔で部屋の入口からこっちを見てるし、挙句の果てにこの日は休みで遅起きだった嫁まで何だなんだと出てきてる。…やめた。

私:「はい。よくできましたー。でも、こんな古い手口の詐欺電話、引っかかるやつはいねえよ。それにさ、ドイツに詐欺電話かけてくるならドイツ語でやらないとだめだと思うよ。じゃあね」

と電話を切った。

切った後に後悔した。しまった。もっと遊べばブログのネタになったのに。とりあえず、観衆の皆様(義母と嫁)に状況を説明。

「わかりやすく詐欺電話です。今後こんな電話がかかってきたらガチャ切りでいいからね」

義母いわく、英語だったからとりあえず私に渡したとのこと。もしかしたら仕事関係かと思ったと。まあ、その心遣いはありがたいのだが、家の固定電話の電話番号は仕事関係には一切知らせてないし、それ以外も全部スマホの番号だから気にしなくていいよと伝える。

それから1週間後。またかかってきた。懲りもせずにインド訛の英語で。そして、今度は義父が電話を持って私の事務所までやってきた。キターと思って私は慌てて録音の準備をする。

ところが、準備に時間がかかりすぎた。私が電話口に出たときにはすでに事切れて…じゃなかった電話は切れていた。

その後、何度か懲りもせず電話はかかってきたらしいが、必ず私よりも誰かが先に電話に出てガチャ切りすることを学んでしまったので、この詐欺師をおちょくる機会には恵まれていない。

さらに、どうもご近所さんや、嫁の同僚宅など、いろんなところにこの電話がかかっているらしい。イナカのことゆえ未だに電話帳に電話番号を掲載している人は多いし、それを使っているのか、ひたすらに絨毯爆撃で電話をかけ続けているのかは謎。たださあ、この辺のイナカ、日中に電話にでるのなんて、ジジババばっかだよ。そのジジババで英語を話せる人などほとんどいない気がする。