ピーターさんが突如ストライキを起こす…の巻

夜10時半。何気なく台所に行く。嫁が食洗機を回しているらしく、真っ暗闇の中残り時間のデジタル文字が煌々と点滅しているのが 嫌でも目につく。


…あれ?これ、普段、点灯はしてても点滅はしてないんじゃなかったっけ。あれ、これ、20って残り時間じゃなくてエラー番号じゃん。


ソファーでだらしなくテレビを見ていた嫁に何気なく聞いたら


嫁が飛び起きた。


何だなんだと思って見ていたら、台所の私が触ったことすらない棚から紙束を取り出す。よく見ると全部取扱説明書。その中から、懸命に食洗機の取説を探している。見れば、冷蔵庫はもちろん、オーブン、さらには、電気ケトル、トースターの取説まで保管してある。思わず唖然としてしまう。まあ、食洗機とかはともかく、トースターの取説なんて見返す必要あるのか?トースターなんて、「焼き加減をダイヤルで選んでノブを押し下げます」…これ以外に必要な知識などあるのか?


私も初期対応を間違った。嫁に余計なことを言わずに自分の方法で解決すればよかったのだ。私の対応は以下の通り。


まず、食洗機を開けてみる。特に目につく異常がなければ、食洗機の電源を切り、もう一度回してみる。


それでうまく行かなかった場合、フィルターの確認。


それでうまく行かなかった場合、メーカーの型番でググってみる。


それで対処法が見つからなかった場合、もうこのこと自体なかったことにして寝る。きっと時が解決してくれる。


嫁は…と言えば、取説を最初のページから該当しそうなページを探している。…あのさ、洋の東西を問わず、こんな時には取説の最後の方を見れば「故障かなと思ったら」っていうページがあるんだよ…とよほど言おうかと思ったがこーゆー時に話しかけると地雷を踏むということを理解している賢い私(当社基準による)は黙って成り行きを見守ることにした。と言ってもヒマなので、型番とエラー番号をググろうかと思ったら型番が表の目立つところに書いてないや。


数分後、ようやく「故障かなと思ったら」までたどり着いた嫁は、エラー20の意味を知る。「排水がうまく行きませんでした」


はいはい。フィルターを確認。正直ダブリンの男子寮では「よくあること」でしたから。


ちなみに男子寮では食洗機はなぜかピーターと呼ばれていて、その慣例に習い、うちでも食洗機はピーターと呼ばれている。


私が何気なく食洗機の底にあるフィルターを取り出すと、嫁は驚いた顔をしている。聞けば、フィルターの掃除など一度もしたことがないらしい。


フィルターは…もうびっくりするくらいきれい。まったくゴミが入っていない。


ああそうかと驚いたというか感動したというか。嫁は食洗機に皿を突っ込む前に水道水ですすぐのだ。もうそれ洗ったってことにしていいじゃん…という状態にしてから食洗機に皿を入れるんだからフィルターが汚れるはずがない。嫁の教育のお陰で私もそうする癖がついていたので(そうしないと怒られる)私が使っても問題なしと。


私が全く汚れていないフィルターをそれでも水で洗いでいたら…あれ、嫁がいない。と思ったら、アホ嫁、階下から父親を連れてきやがった。そしたら、何だなんだと母親までついてくる。…なんで無意味に話を大きくするんだよ。あとで聞けば、「父親なら対処法を知っているかもしれない」と。すいませんね。私に信用がなくて。


大の大人4人が雁首揃えて数分後に出た結論。


「もう1回食洗機を回して様子を見よう」


…やっぱり自分で対応すればよかった。自分で対応したときと結論は同じじゃねえか。


うちの食洗機、他は知らんが回すのに1時間以上かかる。途中で嫁が


「私寝るから、食洗機が最後まで回るか見届けてね」


ふざけんな(もっともしばらく寝る予定はなかったから問題はないのだが)。


ちなみに、12時過ぎに台所に行ったら食洗機は何事もなかったかのようにサイクルを完了していましたとさ。


今日の教訓:嫁に無駄に相談するのはやめよう。