アイルランド、好きです(たまに行く分には)。
…と、わけのわからん、しかも私が言うとは信じられんことを言ってますが、でも事実。たまに(月に一度ほどですが)訪れるには本当にいいところですよ。
ドイツにかれこれ2年ほど住んでますが、まだまだドイツはアウェー感が強いです。そもそもドイツ語が怪しいのでそこから問題。例えば自分の日本語能力を100とすると、英語が7-80、ドイツ語は2-30なんじゃないだろうか。それを引き算に入れても、アイルランド人とは話がしやすい。たとえば、アイルランドからドイツに戻った日。それが今日のお話。
ダブリン郊外の某隠れ家よりダブリンバスではない私営バスで空港へ。バスに乗るなり運転手さんに
「おはようございます。空港まで片道お願いします」と言うと
「学生さん?」と聞かれる。わが耳を疑う。
「いやいやいやいや。違いますよ。うわー、10年以上ぶりですよ。そんなこと聞かれたの」とすっかりご機嫌になり饒舌になる単純バカな私。そこから乗車券の発行が終わるまで無駄話をしてしまう。
車内は私を含めてわずか数人の乗客しかおらず、全員バスの前方に座っている。土砂降りの通り雨の中、空港への高速道路を運転中に運転手さんが突然大声で
「ターミナル1に行きますか?2に行きますか」と聞いてくる。最前列のおっちゃんが「ターミナル1」と答えると、運転手さん
「あー、だったらターミナル2で降りて、連絡通路を通れば濡れませんよ。終点のターミナル1のバスターミナルまで行くと屋根がなくて濡れちゃいますね」
と私が考えていたことを話し始める。で、最前列のおっちゃんとどーでもいい無駄話を始める。おいおい、「運転中は運転手に話しかけるな」ってのは常識のはずなのに、やっぱりアイルランドは緩い。たまにダブリンに戻ると改めて新鮮に感じてしまう。ちなみに運転手さんの助言に従い、全員がターミナル2で降車した。
そして空港。いつもは預け入れの荷物はないのだが、今回はちょっと液体があったので機内持ち込みができる大きさのスーツケースを預け入れる。もちろん、ダブリン空港に自動の機械などまだ導入されていないので、係のお姉さんにお願いする。
「お荷物はハノーファーまでお預かりします」といつもの会話の後、係のお姉さん、スーツケースに取り付けるタグを発行する。
印刷されたタグを取り出し、私のカバンに取り付けるのではなく、ゴミ箱に捨てる。
次のタグが印刷される。ゴミ箱へ。
次のタグも、ゴミ箱へ。
ここで私が耐えられなくなった。「なにやってんですか」と思わず聞いてしまう。
「間違って、タグ、9枚発行しちゃった(てへぺろ)」…と言いながら、また新しく発行されたタグをゴミ箱へ。
…どっかに発行中止ボタンとかないのかよ。
結局最後の9枚目のタグをスーツケースに取り付けて手続完了。その間も無駄話を思わずしてまして。そんなことをしてるから行列が長くなる…と怒られそうなのですが、もうアイルランドはそんなもんだと思うしかない。
そして、スマホの搭乗券のため、紙の搭乗券を持ってないのでタグの控えを私のパスポートの裏にペタッと貼ってくれる。私のパスポートのケースはこれのおかげでいつもベタベタしているが、これもアイルランド、諦めるしかない。モバイル搭乗券で紙をムダにしないようにしている私の努力など、無意味だとか言っても仕方ない。
そして、コペンハーゲン行きの機内。本日は完全に満席でエコノミープラス席も中央席まで完全に埋まっている状態。もう前にも書いてるからこのあたりは突っ込まないけど、日本の国内線のようなプレミアムクラスを想像してはいけません。座席はエコノミーとまったく同じで、ちょっと食事が出るのが違い。
というわけで、最前列の通路席に私、右隣には70代の女性、そして窓際にはそのダンナさんと思われるやはり70代の男性が座る。
離陸後、このダンナさんが、奥さんとメニューカードを見ながら話しているのだ。
「サンドイッチ買って、ビールも頼もうかな。うむ。クレジットカードで支払いできるんだな」
「私はお茶だけいただこうかしら」
…いや、こちらエコノミープラス席なのでそれ、無料ですぜ。機内放送聞いてなかったんですか…と思わずツッコミそうになるが、見ず知らずの人です。耐える。
しばらくして、なぜか飲み物からではなく、食べ物が配られる。この時点でこのダンナさん、「あれ、俺、サンドイッチ頼むつもりだったのにな」
そしてしばらくすると、飲み物は何がいいかと聞かれる。ここで、私が「スパークリングワインとスパークリングウォーターください。スパークリングでねっ」(相変わらずひとこと余計)と頼むと、窓際のダンナさんが突然「おお、それはいい考えだ!」と、私に言ったのか、隣の奥さんに言ったのかは知らんが言う。思わず私も「でしょー。先にいい例を示したでしょ」と笑う。
で、奥さんは炭酸水だけ、ダンナさんは私の真似をしてスパークリングワインと炭酸水を注文。
ダンナさん、ご機嫌に突然私に向かって
「slainte(スロンチャ)」とグラスを向けてくる。あ、乾杯ですか。はいはい。
奥さんは「いくらホリデーとはいえ朝から何やってんですか」と呆れ顔。私は私で
「お言葉ですが、奥さん、確かにアイルランドではまだ午前中ですが、デンマークは1時間時計が進んでいるんですよ。なので、現在午後12時40分。問題ありません」
この時点ですっかり意気投合してしまった。もう止まらない雑談。身の上話。昔やっていたお仕事で東京や横浜とつながりがあり、日本とのビジネスにはなんの問題もなかったこと、いつか日本に行きたいこととかまあ、リップサービスもあるだろうけど色々話してくれた。そのうち
「君、スッチーさんが通りがかったらもう1本頼んでくれ」
などと言われる始末。私も調子こいて、おつきあいでスパークリングワインを2本飲んでしまう。ついには私達に挟まれていた奥さんまで1本飲んでしまう羽目に。ちなみに、私がいきなりスパークリングワインを頼んだせいか、後ろの席の人達も注文してた。さすがっすのスカンジナビア航空さん、すいませんでした。
そんな感じで、普段は退屈なコペンハーゲンまでの2時間が文字通り飛ぶように過ぎてしまいました。やっぱり、このアイルランド人の緩さ…好きだわ。
ふふふ、ほんとにいい感じですね!目に見えるようだなあ。
楽しいお話、ありがとうございました。
直球のご感想ありがとうございます。ホントにこんな感じだったんですよ。
10か月ぶりのアイルランドから戻ってきました。私にとってもまだまだアイルランドが「ホーム」な感じがハンパなかったですが。
そしてナントAER LINGUS が手荷物預かりを自動化してました。まぁ人件費削減が目的なんでしょうけど。おかげでチェックインの行列に並ばずに済みました。
おかえりなさいませ。
なんというか、アイルランドに「帰ってきた」っておかしなことなんですけどね。それでもおっしゃりたいことはわかります。
それにしても自分の注意力のなさに呆れます。というのも、この日記に書いてあるとおり、ダブリン空港のターミナル2を素通りしたので、つまり、この自動の機械に気がついてしかるべきでした。次回、気をつけてみてみます。
ほんま、ええ人多いですよねアイルランド人。きっとそうじゃない人も居るんでしょうけど、幸運にもあまりお会いしませんでした。
ダブリンでの1年半の生活は子育てに追われあっという間に過ぎ(Snigelさんをお見かけすることなく終わってしまいました。涙)帰国して半年、大阪も涼しくなって気候が似てきたせいか近頃ダブリンが無性に恋しくなります。恋しく、、なるほど居たんかい?ってくらい短い間でしたが。。
いらっしゃいませ。
いやー、ダブリンでも嫌なやつ、たくさん会いましたよ。ただ、(いい人)-(嫌な人)=っていう単純な引き算をすると、確実にプラスになったと思います。まだ月に一度ほどダブリンに行っているので遠い目で「アイルランドは良かったなあ」なんて言うには至っていませんけど。
なんとまあ、ダブリンに一年半もいらしたのですか。もしかしたら町ですれ違っていたくらいはするかもしれませんね。