【そうだ京都行こう2】脱線。JR東日本のお話


地下鉄に乗って、京都駅からひとつ先の駅でおり、数分歩いて本日のホテルへ。元専修学校だかなんだかったというホテル。京都駅からも歩ける範囲にあるのに閑静な住宅街にありました。確かにリフォームはしていたとはいえ建物の古さとかは否定できないけど、宿泊費は安いし、アメニティは充実していたし、私は満足しました。


まだチェックイン前の時刻だったものの、ホテルのフロントで荷物を快く預かっていただき身軽になった私は歩いて京都駅へ。地下鉄のひと駅半の距離だったが身軽だったので15分くらいしかかからなかった。もう大通りに出た瞬間に直線の先に駅が見えていたし。ここで本日のスペシャルゲスト…というか実に強力な助っ人と合流。


ダブリンの男子寮元住人まっきー(♀)と、その妹さん。


どや、人生ずっと非モテ期だった私にも、若くてかわいい女性二人と出歩くような機会があるんやで。…まあ、それは冗談にせよ、偶然帰省していたまっきーは地元民。前回書いた通り、右も左も分からないようなところで地元民の案内があるというのはもうこれ以上ないほどのありがたいことだね。


まっきーが待ち合わせ場所に指定してきたのは…


京都ヨドバシのガチャガチャコーナー。確かに駅のナントカ改札前とかより100倍わかりやすいし何よりヨドバシ大好きだからありがたいよ。ただ、思わぬ散財をしてしまったことも事実。


駅ビル内のお蕎麦屋さんでお昼を食べた後、電車に乗る。


うおおおおおお。


…いや、正直知識としては知ってたよ。関西では未だに昭和の薫りがプンプンする103系が現役で走っていることを。だけどこうやって実際に見ると、驚きを禁じ得ない。


ちょうど頃合いが悪かったらしく、次の発車は快速電車で私達の行き先は快速電車は通過。なので、次々発の電車を待つことになったのだが(それが写真のカエル色の電車ね)、15分とか待つハメになったおかげで3人とも昭和の電車のロングシートに難なく座ることができた。


発車間際になってJRの駅員さんが車いすに乗ったおばあちゃんを連れてきた。あ、これは席を譲らなきゃ…とか思ってたら、駅員さんが


「すいませーん。つめてもらえますかぁ」


…私が行動するより早く、私の隣りに座った人たちが座席を詰めてくれた。


実はね(ここからこの日記は壮大なる脱線をする)、この数日後、私は東京でとんでもない任務を担う。それは…


90近いばあちゃんを多摩地区の某駅から山手線の某駅までエスコートせよ。


この時の情景を思い出してピコーンと来たんだわ。(JRにはご迷惑かもしれないけど)車いすで介助をお願いすればいいんだわと。


言い訳っぽいけど、制度を悪用したとは思わない。だって、歳相応に体にもいろいろ問題のあるばあちゃんだよ。実際介助がいても電車に乗ることはもはや冒険だと思う。言い方は悪いが万が一にもこけて骨でも折ったら寝たきりコース一直線だし、一人で電車に乗ることはとても無理。


中央線の某多摩地区のターミナル駅。なんとか駅までたどり着いて駅の有人改札へ。ホントにこの20年ほどの日本の状況を知らないんだけど、有人改札って部屋になってるのね。その中で数人の駅員さんたちの机があって忙しそうに駅近辺の案内や乗換案内なんかをされている。そんな忙しい中、車いすの手配をお願いすると、若い女性の駅員さんは慣れた様子で嫌な顔ひとつせず手配をしてくださった。


面白いなと思ったことは、私達の連絡先はおろか、名前すら聞かれなかったこと。その代わりに、行き先と「ベージュの上着になんちゃら」と私達の特徴をメモに記す。


「おばあちゃん、おかけになってお待ちくださいねー」と優しく言われ、素直に待つこと数分、ガードマンの制服を着たおじさんが空の車いすを押しながら迎えに来られた。


このおじさん、間違いなく人のいいおじさんだった。このおじさん、残念なことにやたらと早口でもごもごと話されるのよ。そのため言ってることの半分くらいしか理解できなかった。


おじさんの言うことのわからなかった部分を想像で補うと、どうも「特快(特別快速電車)は遅れてますのでのんびり行きましょう」と言われていた模様。言われた通りのんびりホームに移動して、遅れている特快を待つ。待っている間も待ち合わせの特急がどうのといろいろ私達を気遣ってか、はたまた単に話好きなのかいろいろ話しかけてくれる。返す返すおじさんの話すことの半分くらいしか理解できなかったことが残念。


遅れること数分、オレンジ色の特快電車が遅れを取り戻すためかえらい勢いで入線してきた。この係員さん、もちろん優先席がどこにあるか知っているので優先席があるドア位置前で待機。ドアが開くなりスロープをセットしてさっと車椅子ごと車内に乗せてくれた。係のおじさんは…


係員氏:「おばあちゃーん、ゆっくり立ってくださいねー。…では私はこれで」


…ここで私は困り果ててしまう。この車両、車端部に優先席があるんだけど車椅子スペースなのか片側には座席が配置されてない。つまり、優先席が片側のみたった3席あるんだけど、その3席は全員私より若い男性が陣取っており、かつ、全員寝たふり(か本当に寝ていたのか)。あるいは何らかの理由で優先席が必要だった人なのかもしれんが…三人が三人ともそうだったとは正直思えない。ともかく優先席を本当に必要としているばーさんが一人乗ってきたのに全員無視。


この時にさ、関西と関東の違いを実感した。いや、たった1回の経験でわかったような顔をするなと言われればそのとおりだけど、関西はやっぱり人懐っこいところがあるわ。それに比べて関東は…有り体に言えば冷たい印象を受けた。


係員さんはすでに電車から降りてしまった。これは困ったなと、多分時間にすればほんの1-2秒だけど私は立ち尽くしてしまった。するとさ、やっぱり神はいるのね。背後から私の方をとんとんとたたく人がいる。見れば30代くらいの男性が優先席ではない一般の席を譲ってくださった。本当にありがたかった。もちろんその方がこのサイトをご覧になっている可能性はほぼないんだけど、この場を借りてお礼を申し上げたいです。本当にありがとうございました。


そして、とある駅で(って可能性は3駅しかないわけですが)山手線に乗り換え。この乗換駅ではJRの制服を着た駅員さん二人が一人は車いす、もうひとりはスロープを持って待機してくださっていた。…ちょっと、普通に運賃しか払ってない私達に大してこんな人件費を使ってもらって良いんですかね。エレベーターで移動して何の苦労もなく山手線に乗り換え。


駅員さんてマイク持って歩いてるのね。電車が着くなりさっさとスロープを用意しながらマイクで


「業務放送ー。業務放送ー。X号車、お客様ご案内中でーす」


これって意訳すると、「まだごちゃごちゃやってるから発車しないでね」と車掌さんに連絡しているんだと思う。そのアナウンスの後ろではもう発車メロディが流れている。


それからホントに早業で優先席にばーさんを座らせて空になった車いすとともに電車から降りると…


「業務放送ー。業務放送ー。お客様ご案内終了でーす」


たぶんだけど、ほんの数秒ながらこの電車私達のせいで遅れたと思う。まあ、人件費をかけ、かつ、電車の遅れの原因ともなりかねない私たちはどう考えても歓迎されるべき客とは思えない。なのに嫌な顔ひとつせずお手伝いをしてくださったJRは感謝している。


正直これだけのことをしてくれたのだから、倍の運賃を請求されても喜んで払ったと思う。実際、行きは移動に自信がなかったからタクシー使ったのよ。ざっと2万円。それに比して、電車の運賃は二人で1500円もしない。うん。倍でもなんの問題もない。


そして、目的地の山手線の某駅に到着。ここでも係員さんがしっかり待機してくださっていて、駅から少し離れたタクシー乗り場まで送ってくださった。考えてみたら、駅の外まで案内する義務がJRの駅員さんにあるとは思えないからご厚意でやってくださったんだと思う。ありがたい。


この時に通りを渡ったりして時間があったのでこの駅員さんに聞いてみたの。ちょっとモヤモヤした多摩地区の某駅でのできごと…つまり車いすで車内まで案内してくださったけど座席の案内まではしてくださらなかった件について。「文句じゃなくて興味本位でお尋ねするんですが…」という枕詞とともに。


この駅員さん。「個人的見解ですが」という前提で、某多摩地区の駅の係の人は座席まで案内する必要があったと思う。私だったら優先席の(優先席を必要とされていなかった)人に席を譲るように頼んだ。今までそんなふうにお願いして「ダメ」と言われたことはただの一度もない。


ただ、関連会社まで含めると。相当な数の駅員・係員がおり、その末端まで社員教育が行き届いているかどうかは自信がなく、申し訳ない
…というようなことを話されていた。


…いつまで寄り道してるんだ…って自分でも思いますが、次回はいよいよ京都一の観光地(らしい)あそこへ行きます。最後に重ねまして、JR。東日本の皆様、座席を譲ってくださった方、ありがとうございました。