新提案。「完成3車線」

本日のニュース。


東九州道、ミカン園の一部を強制収用 未開通区間の用地
(朝日新聞記事。魚拓


簡単にまとめると、北九州と大分(そして宮崎ほか九州の東海岸)を結ぶ東九州自動車道の福岡県内の一区間がみかん農家が立ち退かないおかげで開通せず、本日行政代執行(強制収容)に至った…というお話。


このわがままなアホタレみかん農家のおかげで東九州道の開通は遅れ、福岡や大分県民が大きな迷惑を被った。実にけしからん…と批判するのは簡単なんですが、話はそう単純じゃないのです。


実はみかん農家のおじさん、「うちの土地に高速が来るのは気に入らん」と自己中に反対をしていたわけではない。「いくつかの集落の真ん中を通るルートに疑問をもった。なぜ工事も楽で金もかからない『山裾側』を通らないのか」という素朴な疑問を持たれて独自に研究もされたらしい。


結果、「東九州自動車道の椎田南-宇佐間の28キロは現在1030億円の総工費だが、『山裾ルート』であれば460億円に削減出来る。」(出典:某政治家さんのブログ。以下水色の部分は同じ。引用させていただきましたが、だからと言ってこの方を支持するつもりも批判するつもりもないです)という結論に至ったと。


こう書くと、今度は日本のお役人様の硬い脳みそを今度は批判したくなるんだけど、私はもうちょっと考えを進めてこのみかん農家のおじさん案に大きな疑問を持っていた。


「コスト削減のポイントは、現在の計画が『暫定2車線』(4車線分の用地を取得して、とりあえず2車線分を先に建設して行く方式)なのに対して、山裾ルートでは初めから2車線(『完成2車線』)でつくるという点にある。」


この暫定2車線というの、いかにも日本的な玉虫色の解決方法というかなんというか。私に言わせればアホなやり方。「将来は片側2車線(計4車線)にするけど、今は交通量も少ないからとりあえず2車線(対面通行)で開通させましょう」というやり方なのだが、この方法だと、用地買収は4車線分行うからその分の経費削減はできない。削減できるのは、例えば橋梁だとかトンネルの建設費がとりあえず半分で済む。これをみかん農家のおじさん案では最初から2車線にしちゃおうと。


この意見、ど素人の私でもおかしいと気がついた。この揉めている区間のすぐ先にある椎田道路(東九州道の一部となった)、暫定2車線で開通したのだが、例の政権交代の時に起きた高速道路無料化社会実験時に一日あたり、19000台の交通量を記録したわけ。で、暫定2車線の交通容量は最大でも14000台だから完成2車線だと東九州道が全線開通して通行料が増えることまで見越すと、この交通容量を超えてしまう可能性がある。…つまり完成2車線は無理のある案だと私には思えるわけ。


だったらこの暫定2車線で、「いくつかの集落の真ん中を通るルート」が正しかったかというと、それもまた疑問。


私は交通政策を学んだわけじゃなし、おそらくその筋の人がこれを読まれたら鼻で笑うことになると思うんだけど、私が知るかぎり誰もこの案を出してないから出してみたんだ。「完成3車線」案。


よーするにね、例えば2キロとかの一定区間で進行方向に対して1車線の区間と追い越し車線がついた2車線区間が交互に現れるような道。中央分離帯まで設ければ今までの日本の前例からしても70キロ制限ではなく80キロまでは出せるだろうし、大型車などの遅い車も追い越すことができるので、交通容量も少しは上がる。トンネルや橋梁などの建設費のかかる区間は完成2車線にする。この方法なら、明らかに建設費は圧縮できますし、東九州道程度の交通量ならさばけると思うんですよね。この案と山裾ルートを組み合わせれば、かなり説得力のある案が出せたのではないかと素人ながらに思うのです。



(この動画の9分辺りから「完成3車線」の道路が出てきます。これに中央分離帯をつけるという案を提案したいのです)


…ま、こんなことを言っても後の祭り。みかん農家のおじさんの必死の訴えは退けられて、1000億を超える金を使ってこの区間に来年高速道路が完成するらしいです。