なんでも12月のアイルランドは「30年来の寒さ」だったそうな。なるほど。そういわれてみると毎日寒かった気がする。
1月3日。ダブリン空港に到着する予定だった私はうちのお抱えの運転手(別名ひでかす)に空港まで迎えに来るように頼んだが、ひでかすは
ひでかす:「やだ。雪が降ってるから運転したくない」
と拒否。
ダブリン空港に着いてみると、なるほど道路外の芝生とかには雪が積もっているが道路は平気。なにを大げさにと思いつつも、近所のバス停まで迎えに来てもらうことに。ところが、近所のバス停の周りの道は、一見何でもなさそうなのにつるんつるんに凍っている。なんじゃこりゃあ。
それ以降も毎日気温は氷点下のまま。ほんのうっすりと積もった雪がいつまでも解けそうにないのだ。そして迎えたは本日1月6日。
朝の出かけの気温は2℃。あ、これなら少しは雪は解け始めるかも…と思った私は甘かった。
気温は氷点下ではないとはいえ、路面、地上の気温はそれよりも低い。なので、このように池も凍ってしまっている。
状況が変化を始めたのは昼ごろから。雪が降り始めたと思ったら一気に吹雪に。ま、アイルランド名物のシャワーが雪になったと思えば納得ですが。
先ほどの写真の1時間後。一気に真っ白な世界に逆戻り。
午後1時過ぎに、総務からお達しが出る。
「天候が急変したので車通勤の者は退社してもよい。午後1時半のシャトルバスが最終となる恐れがあるので、バス通勤のものも退社を許可する」
会社から、社員が、半分ほど、消えた。
それ以降、雪がやんだと思ったら、晴れ間がさし、そうかと思ったらまた吹雪に。繰り返すけど、典型的なアイルランドの天気を雪にしただけの話。が、結果として、積雪は私の見た感じでは5センチほど。しかも、さらさらのスキーに行きたくなるようなパウダースノー。
が、「冬タイヤ」というものを知らないアイルランドでは、Q州と同様、この雪はパニックを呼ぶには充分すぎる量。午後2時の時点で、AA Roadwatch.ie(交通情報サイト)およびダブリンバスのサイトはダウン。会社の周りの道路も大渋滞。
ちょっと聞いてみたら、アイルランドやイギリスでは、下手したら「冬タイヤってなーに」って人もいるらしい。そりゃ年に1度か2度の雪のためにわざわざタイヤを交換する人はそうそういまい。ヨーロッパ大陸のやつらが聞いてあきれるぞ…と思ったら、実は、フランスやスペインでも「冬タイヤってなーに」って状況らしいのだ。ちなみにドイツでは、正確にどういう定義なのかは知らんが、冬に夏タイヤで事故を起こしたら保険会社が保険金の支払いを拒否するとかしないとか。
午後3時。再び総務からお達し。
「シャトルバスは近所のどうろが通行止めになったので運行を終了した。帰宅できないものは、近所のホテルへの緊急避難を許可する」
…ごめん。ウソはかけないから正直に書く。いい会社だよ。私の勤める会社。ほかは知らんけど、社員が帰宅できないからってホテル代を無条件で出すとかいう会社ってそうそうないんじゃないかな。時を同じくして、ホテルから「一泊59ユーロでいいよ」というメールが届く。ずいぶん社会奉仕への思いのあるホテルと思うか、この火事場ドロボーみたいなまねしやがってと思うかはあなた次第。が、そのころ会社は
…すでにもぬけの殻。
午後3時にはついにダブリンバスが運行停止(ダブリンバスのサイトの魚拓)。
ちなみに、そのころさっきの池は、もうどこからが池なのかよくわからん状態に。
午後4時。ほとんど誰もいない会社を退社。昼飯を食べ損ねたので、近所のチャイニーズテイクあウェイに寄って帰ることに。表通りに出ると、車道は雪が踏み固められて、シャーベット上になってる。すべる。両方向大渋滞。頭の悪いのがいて、なぜか窓を開けて、ずかじゃかと大音量で音楽をかけているやつがいる。前後のやつとかいい迷惑してるんだろうなあと思いつつ道を渡る。
で、10分後にダックをもって同じところに戻ると、なんのこたーない、さっきの車50メートルも進んでない。
そして現在午後5時。さあ、どうなったのかラジオのニュースでも聞いてみよう。皆様からのご報告もお願いします。