ドイツのお役所仕事にまた泣かされる

車、買うんです。


この話はまとめてますからそのうち詳しくお話させていただきますが、ここ数年のこのホムペのダメな傾向として、「いつか書こうと思っていつまでも書かない」というアホな事実がありますので、話が前後してでも、現在進行形ででも書いてやる。


とりあえず、怒ってるんです。激おこぷんすか丸(誤用)なんです。ドイツという国に。


車を乗るにあたって、必要なものといえば…当然免許証があげられるわけですが、もう一つ大事なものが。そう、保険。保険がないと、車、乗れません。


…っていきなり話はズレるんですけど、この話を書くにあたって調べてみると、実は、アイルランド、車の保険なしで乗れるんですって。なんでもね、交通大臣の許可のもと、高裁に15000アイリッシュプント(260万円くらい)の預け金を預ければいいんだって。この金額、1933年に決められた金額らしいですが…。まあ、当時は大金だったとしても2015年の今、人身事故でも起こせばこんな預け金はすぐに吹っ飛ぶわけでこんなことをしている人はいるとは思えませんけどね。


まあ、問題はドイツ。


日本やアイルランドと同様に自動車保険に「等級」みたいなものがあるんですよ。で、一定期間の無事故の期間があると保険の掛け金が下がりますと。私の場合、車が一度盗まれるという大事件はありましたが、1回の盗難はアイルランドでもドイツでもノーカウント扱いらしいです(まあ、私に重大な過失があるわけじゃないしね)。でも、その等級を引き継ぐためにはアイルランドからの無事故の証明がないといけないと。自分で書いてて理にかなっていると思います…ここまでは。


それで、まあ、近所の保険屋さんに行ったわけね。前回の保険の更新時にアイルランドの保険会社からもらった無事故証明と今年の掛け金の案内持って。すると、英語とドイツ語で書かれた「無事故証明書」のひな形出してきて、これをアイルランドの保険会社に書いてもらい、ハンコを押してもらえという。ウチで定められた書式のものじゃないと受けつけられないという。めんどくせー。


まあ、文句を言っても勝てませんから、それをおとなしくアイルランドの保険会社に提出しましたと。以外にもすんなりそのひな形を受け付けてくれまして、あっさり必要事項を書いて、ハンコまで押してさっさと送り返してきてくれた。


ただ、アイルランドでそんなにすんなり事が運ぶわけがない。よーくそのひな形が埋められた書類を見ると、盗難の記録が書かれていることはやむを得ないとしても、12年の無事故記録ではなく3年になっている。


アイルランドの保険会社に連絡。


「弊社の保険は3年の契約しかありませんが…」


よくよく調べると、3年前の更新時に、ナントカ保険会社から、ナントカダイレクトとかいうネット直販の会社にほぼ勝手に切り替えられたの。そのほうが保険料が安くなるとかで。ナントカ保険もナントカダイレクト保険も同じ会社だろうが!と私は思うのだが、別会社だとのたまう。


仕方ないので、ナントカ保険会社にも同じものをお願いする。ほどなく、ナントカ保険会社からも手紙が届いた。ただしこちらは、ひな形を使わずに、通常のアイルランドでの無事故証明書。9年無事故ですってはっきり書いてるし、ふむ、いいんじゃないかな。


それ持ってドイツの近所の保険会社に行きましたよ。そこで言われたこと。


「フォームが正しく埋められていないので、この書類は受けつけられません」


ひな形にCompulsory third party motor insurance(kfz-haftpflichtversicherung)とかいう部分と、Comprehensive motor Insurance(Vollkaskoversicherung)という二箇所の部分があって、アイルランドのナントカダイレクト保険が、前者の部分を空欄にして、後者の部分だけ埋めてたの。これ自体はアイルランドの常識では理解できる(ちなみに、上のドイツ語の単語を書こうとして指がつりそうになったのはここだけの秘密である)。


アイルランドにはね、基本2種類の自動車保険があって、Third partyというのとComprehensiveってのがあるの。前者は文字通り、事故の時、第三者(同乗者や相手方)のみ補償してくれるの。壊れた自分の車は保険対象外。それに対し、Comprehensiveは文字通り、日本的に言えば自車の車両保険も含めて全体をカバーしてくれると(そのぶん保険料は割高になる)。なので、ナントカダイレクト保険の人は、私がComprehensiveに入っていたのでそっちだけ埋めてくれたと。


ちなみに、このhird partyとComprehensiveの中間にThird party, fire and theftってのもあって、これだと、第三者と、火災と盗難での自車の被害も補償してくれるというのもある。まあ、別にアイルランドの自動車保険の説明がこの文章の目的じゃないからこれ以上はカット。


ところが、同じEUのくせして、ドイツの保険はまた事情が違うの。kfz-haftpflichtversicherungは強制保険…日本で言えば自賠責みたいなもん。で、Vollkaskoversicherungは車両保険…と言えばわかりやすいかも。若干違うんだけど、わかりやすいからもうこの際そーゆーことでいいや。ドイツの保険会社としては、「自賠責の欄が空欄で車両保険の欄だけ埋まっているこの書類は受けつけられません」という理屈らしい。アイルランドの事情を説明したが、「規則は規則です」の一点張り。


そして、ナントカダイレクト保険じゃなくて、ナントカ保険からやってきた無事故証明書にもダメ出しをしてくる。いわく、


「保険の満了日は書いてますけど、開始日が書いてないから受け入れられません」と。


…いやいやいや、待ってよ。ここに「9年間無事故」って書いてるじゃん。9年間無事故ってことは、保険の開始日が計算できるでしょ?


「いえ。そういう規則ですから」


…うわー。日本のお役所もびっくりのお役所仕事だわ。


もういい。別の会社に聞く!と私は別の保険会社へ。あ、よく考えたら、この会社アイルランドの保険会社の系列会社だわ。もともとスイスかどっかの保険会社なんだからドイツに支店があって当たり前。最初からこっちに聞けばよかった。系列会社の書類だから受け付けてもらえるに違いない。


ところが。…言われたことはまったく同じ。裏で最初の保険会社とこの会社がつながっているんじゃないかと勘ぐりたくなるレベル。


かくして、本日泣きながらアイルランドの保険会社とナントカダイレクト保険にお願いの手紙を書きました。…書いてくれるかなあ。これがあるなしで、年間の掛け金が7万か12万かの違いになるらしいのでけっこうでかいんですよねえ。ふと思ったんだけど、同じEU内のアイルランドの書類でこんな騒ぎになるんだから、日本からの無事故証明なんかを提出した日にはどんな騒ぎになるのだろう…。おそらく受けつけてくれないんだろうな。日本から輸入した車を登録しようとして失敗した身として言わせてもらうと、たぶんそうなんじゃないかと思う。


誰だよ。ドイツが住みやすい国だとか言ったやつ。