あの坂を登れば…カフェがある

ドイツがワールドカップの準々決勝でフランスとの死闘を繰り広げていたその頃、ドイツ某所の森の中で傍から見るとほとんど遭難しているアホな東洋人がおりました。…ま、言わずもがな私ですけど。


あたしゃ非国民と言われようとサッカーなんぞを応援する気にはついぞなりません。…って、よく考えたらドイツに住んでるけどドイツ人じゃないんだから文字通り「非国民」だし。ちなみに、これを書いているまさに今、準決勝の対ブラジル戦が行われています。前半30分で5-0(ドイツーブラジル)って何?サッカーのことは全くわからんけど、歴史的な試合になりそうなことはわかったわ)おかげで試合を見る羽目になってこの日記を載せるのが遅れたがな…)。


とにかく最近毎日じゃないにせよ一日置きくらいに自転車に乗ろうと。まだ三日坊主レベルなんですけどとにもかくにも運動をしないのは良くないと、愚鈍な体に鞭打って外にでるわけです。


そもそもなんで自転車かというと、人生でほとんどやったことないけどジョギングって退屈じゃないですか。移動できる距離だってたかが知れている。村一周ジョギングなんて3日で飽きる自信があります。まあ、自転車だって移動距離はたかが知れてるけど、それでも村の外まで考えるとけっこうな数の知らない道があって、そこをテキトーに走るのなら数週間、よければ数ヶ月は続くかなと。そういう発想。


ところが、数日で気がついてしまった。村を出て、畑の方に出ると退屈なのよ。


前。


後ろ。


…地平線の彼方まで自転車走らせろってのかよ。これまた退屈だわ。


というわけで、ペダルは自然と森に向かうわけですわ。鬱蒼とした森の中、正直気味が悪くないとは言わないよ。だけど、少なくとも、退屈は…しない。


そしてね、森の中を10キロちょい進んだところにカフェがあるらしいのね。そこに到達するには森の中の迷路を抜けないといけないの。あ、フツーの人は森を突き抜ける幹線道路からそのカフェに行くわけね。いくらドイツでも森の中をさまよった挙句にじゃないとたどり着かないカフェなんて経営が成り立たないだろうし。で、苦労してたどり着いたカフェで小さな瓶ビールをクィッとやるっていいじゃないですかー。まあ、そんなことしたらせっかく燃やした脂肪も無駄になるし、なによりいくら自転車でも飲酒運転はいけないだろうから、あくまで戯言ということで。


森の中の迷路というのは、ホントなんですよ。そもそも地図上に幹線道路以外にそのカフェにたどり着ける道はない。それ以外の、日本の地図で言えば破線…あるんだかないんだかわからない道は何本かあるんだけど、どれもカフェには辿り着かない。前回の日記のようにいつの間にか麓に戻されたりする。というわけで、けっこう楽しいわけよ。勝手に「幻のカフェを探して」という企画になってるわけね。脳内では。


幻のカフェ探しの旅(その2)開始。森に入ります。


地図上で破線の道、倒木があって雲行きが怪しいと思ったら…


…道はどこですかー。


この森の中を無理矢理上に行けば上の破線の道に出られるはずと、森の中を自転車を押して登ります。写真ではそうは見えないでしょうが、けっこうな急斜面です。間違っても自転車に乗って登ったりできません。もうサイクリングじゃないです。半分遭難です。


ハイカー向けの看板もある上の道に出てきました。森のカフェまで3キロ。


…え、ここ登るの?これ、もう登山道の世界じゃん。


…えっほっ。えっほっ。もう自転車はひたすらに邪魔なお荷物です。


山頂に到着。なんか地元では有名な岩みたい。ただし、樹木のお陰で視界が遮られており、開放的な雰囲気は絶無。


んじゃあカフェに向かって出発…と自転車に乗って出発した瞬間…


…崖じゃねえかよ!細かい説明は省きますが、カフェ方向への道は徒歩じゃないと無理と判断。おとなしく下山の道を選びます。登ってきた急斜面ではなく、無理なく下れそうな斜面を降りて行くと…


この隙間を通れってんかい!隙間は人ひとりがようやく通れるかどうかのもの。自転車は無理(強いて言えばハンドルをゆるめて縦にすれば…というレベルだが、そもそも工具なんて持ってきてない。で、ちょっと回りこむと


…こんな崖になってまして、ここから自転車を投げ落とすことも一瞬考えたのですが、いやマテ、いくら安物とはいえまだ数回しか乗っていない自転車にそんな扱いをしていいとも思えず…結局きた道を戻りましたよ。途中まで。


以下、斜面を駆け下ります。


ようやく下りてきたのは山の反対側でした。


…ごめん、オチもなにもないけどこの話後1回だけさせて。今度は森の中のカフェにようやく辿り着いたお話ね。