【更新強化月間】ドイツ住民の義務、自転車に乗る

昨日の日記の続きです。


実を言うと、うちの3年ほど前に亡くなった祖父、自転車屋でした。私はこのじいさんばあさんが大好きで春夏冬の休みごとに遊びに行ってました。東京の下町にあった自転車屋です。


ずーっと細々と営業していたのですが、転機が訪れたのは80年代。よくある話なんでしょうけど、近くにダイエー系列の店ができて、そこで9800円の自転車が当たり前のように売られるようになると、裏通りにあるやってるかやってないんだかわからない自転車屋で3万円も出して自転車を買う人がいるわけもなく、元から鳴いていた閑古鳥が250羽位に増えて、まあ、見事に開店休業状態になりました。


いや、末期の頃はある意味すごかったんですよ。昭和の趣がそのまま残った自転車屋だということで、テレビ局が撮影に来たりとかまでして(それだけ時代から取り残されていたわけね)。まあ、じーさんがよく言ってたのは


じーさん:「ダイエー嫌いっ」


なんか、そのダイエーもいつの間にかイオンの子会社になったりとか、こう、時代を感じるわけです。なんちゅーのか、うちの自転車屋を潰した大きな店が、さらに大きな店に飲み込まれたという。今じゃ、そんなイオンなどの大規模店もネット通販に追われているとか何とかで。


あれ、何の話だっけ。あ、そうだ、自転車買ったんだ。とにかくさ、私、自転車屋の孫なのね。その自転車屋の孫がドイツのダイエーのようなRealで自転車を買うなど、じーさんは草葉の陰で泣いているかもしれませんが、まあ、そこは論点じゃなく…あれ、論点、どこなんだ?


そうだ、思い出した。Real(なんだかグダグダですな。今日の日記は)。そんなわけで、整備どころか、ペダルさえ取り付けてない自転車をRealで渡された私。いやいやいやいやいや、うちのじーさん、こんないい加減な仕事しなかったぞ。件のダイエー系列の店ですら、9,800円の自転車にもペダルくらいつけて売るよね。きっと。


なんか文句を言う隙すら与えられず自転車を渡された私。良かったわ。実は天気が良ければ自転車に乗って帰ろうとか思ってたのだが、なんだかんだで片道30キロもあるし、天気も悪いしでCさん父のワゴン車を借りてきていたのだ。おとなしくワゴン車に載せて帰る。


うちに持って帰るといきなりCさん父に笑われた。


父:「なんで26インチの自転車なんか買うんだよ」


Cさん父の意見を私なりに解釈すると、どうもドイツの成人男子は28インチの自転車に乗るらしい。26インチなんてコドモが乗る自転車らしい。えええ?日本では28インチの自転車って確かに存在するけど乗ってる人なんてほとんど見たことないぞ。逆に22とか24インチの自転車もフツーに走っているような。

この自転車、やたらめったらMade in Germanyを強調している。ちなみに変速機は日本のシマノ製。


日本のトヨタとかが高評価なのはまあ、フツーとして、なんちゅーのか、マイナーなところで高評価をもらっている日本の製品ってけっこうある。たとえば、マキタの電動工具。ドイツにも「Makitaが一番」とベタほめしている人は多い(当社調べ)。同様にシマノの変速機もかなりの高評価。


ともあれ、自転車は週末まで放置。さあ、ペダルを取り付けようかと思っていると、…すでについている。Cさん父、いつの間に取りつけたんだ?


で、Cさん父、ちょっと近所まで行ってみようと言い出す。ほいほいとついていこうとする私。CさんはCさんで、自転車に乗るならヘルメットをかぶれとうるさい。そういえば、とんでもないイナカ出身の私、 中学は白いヘルメットかぶって通学してたなあ。


そりゃ慢心といわれれば返す言葉もないけど、自転車でその辺を走るくらいでヘルメットはいらんだろ…と思ったのだが、Cさんがかぶれとしつこいので、ヘルメットを借りることに。


私:「…きついかも」
C父:「大丈夫、ここをこうすれば大きくなるから」
私:「…まだきついんですけど」
C父:「…これ以上大きくならんぞ」


うーむ、ドイツの自転車は大きすぎ、ドイツのヘルメットは小さすぎる。これが意味するところって何なの?


ともあれ、出発。ペダルを漕ごうとして気がついた。…ペダルが回らない。軽くペダルを戻すと何事もなかったように回り始めた。Cさん父、早いんだ。一生懸命ついていこうとしないと離れてしまう。…って待て待て、なんか変だぞ。


ほどなくその違和感の原因に気がついた。変速ギアが変。7x3の21段変速なんだけど、一番重い(速い)ギアに入れても上り坂を登るギアのように軽いのだ。ゆえに、Cさん父についていこうとすると、かなりの速さで軽すぎるペダルを漕がないといけないのだ。


私:「はぁはぁ。ちょっと待ってー」


降りてシマノの変速機を確認すると、問題はすぐにわかった。ハンドルの変速装置では一番重い7を選んでいるのに、実際に使われているギアは4。カンの良い方ならもうお気づきですね。ギアの調節を店でしていないからおかしなことになっていると。で、出発前にギアを一番軽い1に入れたから、ペダルが動かなくなったというオチ。


おいReal。日本で同じように自転車売ったら間違いなくクレームもんだぞ。いいのか、これで?


とりあえず、隣町の自転車屋さんにちかいうち持っていきます。たぶん往復60キロも走ってRealにに行くよりはマシではないかと。しかも、行っても自転車の資格のある整備士さんがいるかどうかも怪しいし。

それにしても、たった10キロほどですが、久々に自転車に乗って気持ちよかったですよ。


うちに帰って気がついた。見もしなかった取説を開いてみたのね。

Shanghai APSE Machinery Co. Ltd


…Made in Germanyの化けの皮が剥がれるの巻。…え?そーゆー名前のドイツの会社だ?んなこたーねーだろ(ドイツの会社でドイツ語で書くならCo. LtdではなくAGになるはず)。 


うん、たぶんMade in Germanyはウソじゃない。ドイツで組み立てたんだろう。だけどその部品のすべてかほとんどが中国から来てるんだろうなあ。どうせ中国で作っているのはわかりきっているんだから、Made in Germanyとか書かなきゃいいのに。やれやれ。