パンケーキデー

本日はパンケーキデーでした。


…と、書けば、まあ、察しのいい人は私が現在アイルランドにいることがわかってしまうわけですが。パンケーキデーについて詳しく知りたい方はWikiでも見ていただくとして、まあ、「パンケーキを食べる日」くらいに思ってくださればいいです。


この日の朝。同僚の一人が真後ろの席からメールを送ってくるのだ。


「パンケーキ、食べに行こっ(はあと)」


なんで振り向いて手を伸ばせば届く距離からメールを送ってくるのか21世紀の世は謎ばかりだが、私もしっかりメールで断る。それでも押してくるので、仕方なくつきあうことに。


社員食堂。いちおう朝食のサービスをしているのだが、客はほとんどいない。カウンターに作りおきのソーセージとかペストリー系の食べ物が置いてあるのを選んで持ってく人がたまにいる程度。そこにずかずかと入り込むアイチー土方3人組。正確にはアイルランド人の女性二人と私。


まあ、パンケーキデーだし、パンケーキくらい作っているのではないかと思ったのだが…


シェフ:「パンケーキ?あ、作るよ」


…あ、特にパンケーキデーを意識して準備してたりしないのね。


シェフ:「何枚?」


顔を見合わせる私達3人。するとそのうちのひとりが2枚というので、そうする。


社員食堂、よく言えば「オープンキッチン」なの。厨房で何をしているか一目瞭然なのね。で、そりゃもう立派な厨房なのよ。なのに、パンケーキに使えるようなフライパンがひとつしかない。しかも、これまたよく言えば実にプロ仕様のフライパンでして…テフロンってなに?と言わんばかりの鉄のフライパン。


まず、そのフライパンを熱します。まあ、そりゃそうだ。そこに油をドボドボ注ぐの。いやいやいやいやいや、それ、もはやパンケーキじゃなくてフライだよ…と思っていると、油を軽く切った。それでもけっこうな量の油が残っているぞ。


それから1枚1枚焼き始めた。シェフもいい加減だから…


シェフ:「何かける?チョコレートならそこのやつ勝手に使っていいよ」


と業務用チョコレートのペットボトルをこっちに渡してくる。いくら社員食堂とはいえ、いい加減だわ。私はヨーグルトの脇においてあったフルーツにする。


完成っ。


パンケーキ1枚1ユーロ。2枚で2ユーロなり。安いといえば安いかも。


私のは最初にできていたのでけっこう冷めてるかなあとか思いつつ食べてみると、冷めてるとかそーゆー問題じゃないことに気がついた。問題は…ものすごい量の油。しかも、鉄のフライパンでやってるから、なんちゅうの、やや焦げているような味がするの。つまりさあ、ハムと玉ねぎとかのトッピングだったらまだ良かったかもしれないが、とてもとても甘いフルーツといただくシロモノじゃなかった。そして、味以前の素朴な疑問として…これ、何カロリーあるのよ?


ふだん食べ残すことなどめったにない私なのだが…こればっかりは無理だった。少し残した。そして、夜まで何も食べることができなかった。そして、軽く気持ち悪くなった脇で、私達がパンケーキを注文したことを真似して注文した同僚は4枚をぺろっと平らげていた。