曇ったレンズで何が見える?視力検査のお話

日本ではどうかは知りませんが、私のお世話になっているSpecsaversという眼鏡・コンタクトレンズ店では2年に一度視力検査に来るように言われてます。…けどさあ、何も問題もなく、かつ、新しい眼鏡やコンタクトレンズが必要でなければ、わざわざ2年に一度視力検査をする意味はないような。


かくして、何度か「視力検査に来るように」というお手紙をもらいつつも放置。1年放置してたら、「もの」で釣って来ました。


お手紙:「視力検査、無料でやるから検査受けてね(はあと)」


…あっさり釣られる私。


私、今時珍しいのかもしれませんが、コンタクトレンズ、ハードレンズ使ってるのね。で、3年も使うと…さすがに買い替えの時期でしょ。まあ、いいかと。


とある土曜日の朝9時半。開店と同時にSpecsaversにはいる私。この日は、視力検査と、ついでにコンタクトレンズの定期検査(たぶん目に負担がかかっていないかなどの試験だと思う)。


私、視力検査に一つ苦手なことがあるんです。おそらく眼鏡を使っている人はこの検査を受けたことがあると思うけど、なんかさ、目にぶわっと空気鉄砲みたいなかぜを当てる検査あるの、ご存じないですか?あれが、嫌い…というか、怖いの。だってさあ、目になんか異物が入ろうとしたら目を閉じるのは当然の反応じゃないですか。なのにさあ、ぶわっと(個人的な感覚では)とんでもなく強い空気が当たるのに目を開けたままにしておくなんて一体なんの罰ゲームなんですか。


まあ、その検査はよかった。で、コンタクトレンズ専門の医師の診察。なんかさ、機械で診察するだけじゃなく、懐中電灯のついた拡大鏡みたいなもんで、人の目を覗きこむのね。それでさあ、顔が自分の彼女以外でこんな近くに来たこと無いぞってくらいまで近くに来るのね。運がいいのか悪いのか、担当の医師は若い女性(しかもけっこうきれい)。無意味にドキドキする小心者の私。


コンタクトレンズの検査は(ちょっとドキドキしたけど)別に何の問題もなく終わった。そして、お次は視力検査。こちらが大問題だったのだ。担当の医師は、私よりは若いだろうと思われる、キャラクター的にはサザエさんの花沢さんのような明るいおしゃべりな女性。


けっこう最近の機械なんだろうけど、なんか目のところに穴があいてて、そこを覗きこむとその中の文字や風景を見るやつあるでしょ。あれ。


最初は良かったのよ。


医師:「この赤が背景の絵と(絵柄を変えて)、緑色の背景とどちらが見やすいですか?」
私:「うーん、若干赤のほうが見やすいですかね」


…なんてね。


が、途中から異変が起きた。


なんか文字が滲んできた。…ほどなく、ほとんど何も見えなくなった。


医師:「この赤が背景の絵と(絵柄を変えて)、緑色の背景とどちらが見やすいですか?」
私:「……どっちも見えないんですけど…」


医師:「これらの文字、左から読めますか?」
私:「まったく読めません」
医師:「そんなわけないでしょう!」


…いや、怒られても、見えないものは見えないんだもん。


原因は程なくわかった。機械の覗き穴がなぜか完全に曇ってしまっていたのだ。冬に部屋の中でストーブを焚いた窓みたいに。私が機械から目を離して医師が拭いてくれたら、よく見えるようになった。


…が、それは長くは続かなかった。また、曇るのだ。


今、これを書きながら原因にあれこれ思いを巡らせるのだが、なぜ、レンズが曇りきってしまったのか、まったく思い当たるフシがない。例えば、汗をかいていたわけでも、風呂あがりで訪問したわけでもない。ましてや、前の若い女医さんにおかしな興奮を覚えたわけでは決してない(ないんだってば)。


医師:「はい、この行を上から…」
私:「読めません」


(ふきふき)


私:「C,L,P,D…だと思います」
医師:「はい、この行は?」
私:「全く読めません」


(ふきふき)


私:「ええっと…F,D,O,E…だと思います」
医師:「はい、最初の絵と次の絵、どっちが見やすい?」
私:「最初のほうが見やすいです」
医師:「えええ?最初?」
私:「…やっぱり後のほうが見やすいです」


…誘導尋問かい。


そんなこんなで検査終了。医師がおもむろに言うのだ。


医師:「会社でコンピューター使ってますか」
私:「はぁ。それが仕事ですから」
医師:「2台以上のモニターを使っていたりしますか?」
私:「はい。…あ、家でも2台以上のモニター使ってます」
医師:「一日、何時間くらいコンピューターを使ってますか?」
私:「会社で最低8時間。あとは家でも数時間は…」
医師:「食事と寝ている時以外はコンピューターを使っている感じですか?」
私:「まさか、トイレにいく時も使ってませんよ」


医師:「あなたの目は健康ですが疲れきっています」
私:「はあ?健康なんですか?」


コンピューターのモニターいっぱいに広がる私の眼球の写真…いつこんなもん撮ったんだ?…ってか、あんまり見ていて気分のいいものじゃないな。


医師:「ここに何とか線(注:日本語でも知らない単語、英語でわかるか)がちゃんと出ていて、これは健康な目の証拠です。だけど、目が疲れきっています」


そこに出てきたのは+0.8という数字。


医師:「あなたね、数値上で老眼が始まってるって出てるわよ。あなたの年齢で老眼になるわけないんだから。ちゃんと目を休めなさいっ」


いや、それはただ単に機械が曇っていただけだろ…と言いたかった。喉の先まででかかったけど言わなかった。


自分の名誉のために言わせて頂きますが、スマホの画面のとんでもなく小さな文字も問題なく見えてます。私は絶対に老眼なんかじゃありません(ど近眼ですが)。ちなみに、近視の方の度数は変わらずだったので…まあ、いいんじゃないか、結果オーライではないかと。