【どこよりも詳しいリューゲン島ガイド23】Bistro Arkona(パンケーキハウス)

突然ですけど、パンケーキ、好きですか?私は別に嫌いじゃないけど、かと言って大好物というわけじゃないです。なんちゅーか、あまり優先度の高い食べ物じゃないことは確かです。で、パンケーキと聞くと、ほら、ホットケーキを思い浮かべませんか?他は知らんけど、ドイツではその認識はちょっと違うんですよ。はい、こちら、パンケーキです。


まあ、これはいいでしょう。お次、これもパンケーキです。


ハムと玉ねぎ。


…どっかのパテシェさんあたりが椅子を蹴って怒り出しそうな気もしますが、はい、これもパンケーキでございます。…少なくともドイツでは。ドイツのあちこちで見るんですよ。パンケーキレストラン。私たちがリューゲン島で泊まっていたアパート(だかホテルだか)に併設されていたレストランがまさにそれでした。


で、正直なところ、ハムと玉ねぎなんてパンケーキとしては邪道、人の道、いや、パンケーキの道を外れたシロモノだと思います。だけど私は敢えてハムと玉ねぎを頼んだ。その理由はこれ。


ビール。


どー考えても、甘ったるいパンケーキとビールって、ありえない取り合わせでしょ。そう、ビールを中心に考えると、おのずとこっちになるわけ。


実は上の写真は、Hiddensee島に行った日の夜に撮ったんじゃなくて、その前々日。そして、この日も、動向のCさんが、またパンケーキハウスに行こうというわけ。もちろん私は反対。同じ所に1週間で2度も行くのはなんかアホらしいし、他にも行ってみたいレストランはたくさんある。だけど、毎日毎日重いものは食べていられないというごもっともな意見と、それ以上に「どっかに行くのはだるい」という非常に非建設的な意見のもとに再びパンケーキハウスに行くことに。


あ、Cさんからの殺し文句があったんだ。


Cさん:「パンケーキ以外にも、何種類か食べ物あったでしょ」


私の立場なんて弱いもんですから、折れます。


かくして、パンケーキハウス。…時間が遅いこともあって(と言っても午後8時半くらい)誰もいません。とりあえずビール。同じ所に行くのはアホらしいとか言いながら、同じビールを頼んでいるのはいかがなものかという意見は甘んじてお受けしますが、どーせ人間なんて矛盾した生き物なんです。


ちなみに、ここのウェイトレスさんと、シェフさんは20代半ばくらいの男女なのだが、お付き合いされている模様。カウンターの向こうでなんかいちゃいちゃしてる。別にやるべき仕事はしてるから文句はないのだが。


さっきの写真、ビールの向こうに水が見て取れると思う。実はこれにもちょっとしたお話がありまして。このビールを頼む時に、Cさん、パイナップルジュースを注文。かしこまりましたとカウンターの奥に戻るウェイトレスさん。


まあ、ここまではいいのだが、カウンターの下の方から、パイナップルジュースの容器を取り出して、こともあろうに、くんくんと匂いをかぐ。小声でCさんは私に向かって…


Cさん:「ねえ、あれ、なにしてるの?」
私:「さあ?」


そのパイナップルジュースの容器を持ってドアの向こうのキッチンに行くウェイトレスさん(写真でもドア、見えてますよね)。ところが、ドアの窓から向こうの二人が丸見えなのだ。ウェイトレスさんに言われるままパイナップルジュースをくんくんするシェフさん。


Cさん:「ええ、あれ、大丈夫なの?」
私:「いらないなら、いらないと言えばいいじゃん」


まったく変なところで日本人ぽい謎のドイツ人。あ、ウェイトレスさん、戻ってきた。


ウェイトレスさん:「申しわけございません。本日、パイナップルジュースは切らせております」


…Cさん、なんでそこでほっとした顔してんだよ。


ひとつ先程の発言に訂正があります。


いちゃいちゃもくんくんも、見えないところでやれ。


数分後飲み物を持ってきてくれたウェイトレスさんになんか肉料理を頼もうとすると…


ウェイトレス:「申し訳ありません。本日、パンケーキ以外のものはご用意できません」


私が怖い顔して、Cさんを睨んだことは御想像に難くないかと。


結局、こうなった。

(なんかシナモンかかってた。誰も聞いてないでしょうが、私、シナモンがあんまり好きじゃないんです。かかっていても食べますけどね)。

飾りにもなっていないどう見ても朝のビュッフェの残りのトマトときゅうりが印象的なペスト入りパンケーキ。…最大の妥協の産物。


ちなみに、パンケーキですから、お値段は良心的です。ひとつ6-7ユーロ程度。ドイツに行かれたら話のネタにパンケーキハウスに行ってみるのもいいかも知れません。