【更新強化月間1】久々のコバンザメタクシー

3月になりました。突然ですが、今月は再び更新強化月間です。なんとかほぼ毎日更新します。


3月2日。実はですね、この日は私にとってちょっとした記念日なんですよ。まず、1996年に初めてアイルランドの地を踏んだ日。いやはや、まさかこんなに長く住むことになるとは夢にも思っていませんでした。


そして、偶然なんですけど、この日は実は2002年に現在の会社に転職した日でもあるのです。ははは…勤続10年。石の上にも3年といいますが、よくもまあ、10年も勤めたもんだと思います。そして、それよりも何よりも、よくもまあ、10年も進歩がないまま過ごしているもんだと思います。


それはともかく、今月はなんだか落ち着かない月になりそうです。なんと合計12回もヒコーキに乗ることになりそうです。…って、ダブリンからフランクフルトを経由してHannover往復するのを4回と数えてのことなんですけど。そうは言ってもなかなかすごいことになりそうです(平均したら週に3回近くヒコーキに乗ることになるって…)。そんなこともあるので、今月は勝手に更新強化月間にした次第。


さてさて。実は私、現在ダブリン空港にいます(そして、フランクフルトに向かう機内で原稿を仕上げてフランクフルト空港の数分の滞在で無理やりアップロード…なんて書くと、どっかの売れっ子作家みたいだけどそれはまったくの妄想)。朝の6時から出社して、午後3時に退社して、市中心から747(ダブリン空港行き急行バス)で空港に行こうとバス停でバスを待ってたんです。そしたら来ましたよ。おっちゃんがてくてくバス停に歩いてきて


「ダブリン空港まで乗りませんか。バスと同じ6ユーロでいいよ」


…出ました。久々のコバンザメタクシー。


コバンザメタクシーをご存じない方、ここ見てきてください。ぶっちゃけ違法です。どう考えてもダブリンバスに対する妨害行為です。だけどさあ、空港に直行してくれるから早く着くし、こちらとしては別に不満はないんですよねえ。


ほんで、女性3人(それぞれ見知らぬ人)と私の計4人が捕獲される。初めて乗ったレクサスで空港へ。車内の空気はやや微妙。なにせ、運転手さんを含め見知らぬ5人が狭い車内に詰め込まれているわけで。客では男は私一人だからと当たり前の顔をして助手席をしっかり確保した私は運が良かったと思う。


違法コバンザメタクシーは市内のあちこちでお客を拾うバスと違いそのまま空港へ。運転手さん、ぽつりぽつりと話をするのだ。いちばん面白かったのは移動オービスの話。アイルランドにもね、移動式のオービスってあるのよ。何それという人、スピード違反の取締りのことね。ものすごく古典的なパターンでは、警官が道路脇にスピードガンを持って立っている。考えてみたら、三脚も立てずに手でカメラ抱えていたらブレるだろうし、それはひいては測定の正確さに疑義を差し挟むことになると思うのだが、そんな文句を言っている人をついと聞いたことがない。


それ以外では、道路脇にね、バンを一晩なり一定の時間駐車しておいて、後部座席の窓越しにカメラを仕掛けている場合。これだって、道路脇にバンが止まってたらなんとなく見るから、あまり賢いやり方とは思えない。


だけど、まあ、設置の方法によってはいい「狩り場」になるところもあるわけで。例えば、国道1号線のダブリン空港トンネルとの分岐の直後のカーブ。ここね、左側の塀のお陰で完全に死角になっている左カーブがあるの。ここ、お約束の取り締まりポイントでして、確かに「あ、カメラがある!」と気がついた時には完全に手遅れなのよねん。しかも、分岐から80キロ制限が60キロ制限に変わったばかりで、かなりの車が高速で突っ込んでくるの。まったく、取り締まりやすい場所じゃなくて、もっと危険な事故多発いポイントで取締をやれよ…と悪態をつきたくなるのは、日本もアイルランドも同じ。


まあ、そこを通りがかったわけ。そしたら、運転手さんが語り始めたの。会話調にするとめんどくさいので要約すると…


この左カーブはお約束の取り締まりポイント。ここはちょうど速度制限が厳しくなるところだから(上に書いたとおりね)どんどん捕まるんだよ。ここはまだ60キロだからまだいいけど、市中心部のParnell Squareなんかでやられたらたまらないね。ほら、あそこ30キロ制限だし。ある日ね、あそこにバンを停めてまたろくでもない取り締まりを始めたんだよ。そしたら、タクシードライバー二人がそのバンの直後に自分たちのタクシーを停めてまずカメラの視界を妨害したあとに、手作りのプラカードを持って一晩中立ってたんだよ。「スピード落とせ」って。


…ホントかウソかは知りません。だけど、アイルランド人ならやりかねない気がする。


それでさ、タクシー運転手たちは小銭をカンパしたんだ。一台1ユーロだとしても何百台も払えばいい収入になるし、なにより、違反一台につき80ユーロだから、何千ユーロも運転手仲間から守ったことになるね。その二台のタクシーの運転手の一人はもう78なんだよ。ひどいと思わないか?いくら不景気でも78にもなってまだ働かなきゃいけないなんて。


うん。ひどい。だけど、いくら不景気でもダブリンバスの収入6ユーロかける4人分24ユーロを横取りしたあんたもひどい…とは言えなかった。


しかもこの運転手さん、私が助手席で「これをやったら図々しいなあ」と脳内で想像した運転をひとつ残らずことごとくやってくれた。幅寄せ、割り込み、急な車線変更等々。関西弁で言うところの「イラチな」運転手さんだったわけね。私が他の車を運転してたらこの運転にはかなり怒ってたと思う。というわけで、当然チップなど払わずに降りましたとさ。


とはいえ、空港に30分以上早く着いたことはありがたかった。そして、回したメーターが24.1ユーロだったのは見事だと思った(おそらくエントツ=メーターを回してない状態=で警察に捕まったらまずいことになるので、やむなくメーターを回したのではないかと推察)。


コバンザメタクシーの後ろ姿をしっかり記念撮影。あはっ、タクシー番号写ってるけど…知らねっ。そんなことするお前が悪い(←をい)。