第3回にぼそっと書いた通り、東京で新しいノートパソコンを買いました。最近流行の「ネットブック」とかいうやつ。あるいは「5万円パソコン」という人もいるようですが。要するに低価格で小さなノートパソコン。いろんな機種を調べたのだが、結局最後まで候補として残ったのはネットブックの火付け役になったASUSの数機種。最新のSSDというテクノロジーを使ったS901というのがよく思えたのだが、ディスクの容量が12Gと余りに小さいのだ。
これ、いろんなレビューとかを見てもやはりいろんな工夫が必要らしい。ふーむと思っていたところに出てきたのが今回買った1000Hというモデル。ハードディスク利用で160G という必要にして十分な容量を備えつつ、なぜか競合する機種の倍近い6.8時間の長時間利用に耐えるバッテリー。これだっ!と思ったわけ。実際よく売れているらしい(…で実はその後継機種がもう出てきているのですが。この移り変わりの早さには驚くばかり)
かくして、みねまいに会いに行ったときに博多駅前のヨドバシへ。税込み59,800円ポイント還元10%なり。後日アキバのヨドバシに行っても同じ価格。価格ドットコムでもオンラインの店でちょうどこの59,800円から10%のポイント分を引いたくらいの金額での販売となっている。こりゃ売れ筋だし、挙句に、店が力を入れて売りたい機種じゃなさそうだし、値引きは期待できそうにないなあ。
店に行くと変なところばかり気になるのだ。あ、この人はメーカーからの派遣社員だから別の人に話を聞いてみようとか、あ、今店頭に商品の搬入があって応援を求める暗号の放送があったなとか(なんてイヤな客だろう)。
さらに状況をややこしくすることには最近ノートパソコンは昔のケータイみたいに100円とかで販売を始めた。もちろん、ネットへの加入が条件とかで結局その分は基本料とかそういう名の下に回収されるようにできているみたいだけど。で、私なんかそんなネットに加入するわけじゃあないんだからそこの派遣社員さんとは話をしたくないんだけど、このネットブックの売り場の前にはネットのプロバイダの派遣社員さんしかいないのだ。
そんな中で数人の店員さんと話しをして心は決まった。この1000H にしよう。あとは価格が問題。
ふと数ヶ月前に読んだ新聞記事を思い出した。
家電戦争勃発?!ヤマダ電機、ビックカメラの本拠地池袋に進出(うる覚え)
要するにビックカメラの本拠地たる♪不思議な不思議な池袋♪にヤマダ電機が進出してケンカを仕掛けてきた…ってわけ。ってことはここが激戦地としてより安い値段になっているんじゃないか…とにらんだわけ。かくして、行ってきました。池袋。
ヤマダ電機。ありましたよ。54,800円でしかもポイントは15%ポイント還元。すげー、5000円も安い上にポイント還元率も5%も高いこりゃ決まりだ。が、しかし、世の中そんなに甘くない。
品切れ。
さすが人気機種。売り切れ。…ってあさってダブリンに戻る私としては再入荷を待っているヒマはない。しょうがないからヤマダ電機の向かいにあるビックパソコン館へ。
54,800円…価格は一緒。が、ポイント還元率は10%。
やむなく社員さんと価格交渉開始。
社員:「あ、あれはヤマダモデルなんですよ。bluetooth(通信のための装置)とstarsuite(マイクロソフトオフィスみたいなもん)がついてないんですよ」
はい?と思いつつも
私:「いや、そんなもんはいらない。Starsuiteならネットから落とせばいいだけの話だし」
社員:「いずれにしましても、同じ商品ではないのでポイント還元率をヤマダさんにあわせることはできません」
…やはりな。「他店より1円でも高い商品があればご相談ください。必ずお安くいたします」ってのは確かに本当なんだけど、一部条件があってそれは「売りたい商品なら」。この商品のように、ほっといても勝手に売れて、かつ、根拠なき憶測だけどメーカーからの販売報奨金も少ない(あるいはない)商品は、しょせん売りたくないのだろうと思う。
私はパソコン館からてくてく通りを渡って本館へ。本館にもちゃんとパソコンの階がある。そこでは…
59,800円。ポイント還元率10%。
うーん、厳しい価格交渉になりそうだ。…ってか同じ店なのに通り一つ挟むだけで値段が違うってどうよ?
で、フロアーを見回すと…メーカーからの派遣社員しかいないし。フロアーの責任者と思われる社員さんはレジの向こうでずっと作業をしている。数分間物陰から様子をうかがうも(完全に通報モノの挙動不審者)レジカウンターから出てくる気配なし。
いや、そりゃその辺のメーカーからの派遣の店員さんに頼めばいい話なんだけど、どうせ目をつけている人のところに相談に行くことになるだろうし、無駄な二度手間だなあとか実に実にくだらないことを考えてしまったのだ。考えてみると、物陰から様子をうかがうことのほうがはるかに時間の無駄なのだが。
ようやく、目をつけていた人がカウンターから出てきた。呼び止める。考えてみると、そのパソコンを展示してある場所からかなり離れている。うん、誰がどう見ても変な客だわ。
私:「すいません。そこにあるASUSの1000Hなんですけど、お隣さんで54,800円のポイント還元15%だったんですけど…」
その店員さん、明らかに「あ、きたっ」という感じの顔をした。
店員:「…少々お待ちください」
何をやっているか知らないが、レジの向こうでほかの店員さんを含めぼそぼそ話をしている。「少々」待たされること10分…。
店員:「お待たせいたしました。確認が取れましたので、54,800円、ポイント15%還元にて対応させていただきます」
やったっ!
かくして、価格.comに載っていた最低価格と同じだったものの、ポイントが15%つくという非常においしい買い物となる。レジにて…
店員:「それではお客様、お会計のほう失礼します」
…なんだよその、「~のほう」って(とか言いつつ、自分も去年自分の家の手伝いで店員もどきをやっている時にうっかり使っていたのだが)。ともあれ、レジのおねえさん(ちなみにこちらも社員さんながら、レジ打ちのみを担当)は、バーコードをスキャンして
レジ:「59,800円でーす」
すかさず、相手をしてくれた店員さんが、
店員:「ワイタイ、54,800円。ポイント15%で」
という。なるほど、ワイタイとはY対策、つまりヤマダ対策なのだな。一つ隠語を知ってしまったよ。…ってか昔はヨドバシ対策だったんじゃなかったっけ(じゃ知ってるんじゃねえか)。
ここまで書いたのだからバラしてしまおう。某家電量販店に勤めていた時によく価格調査に駆り出されました。下っ端の私はほとんど毎朝、目と鼻の先にあるライバル店に価格調査に行ってました。
でね、ちゃんと知識のある店員なら自店の一つ一つの価格を覚えているはずで、ライバル店と値段が違ったらすぐに気がつくわけ。つまり、価格調査はわずか数分で終わるわけよ。が、私のようななんちゃって知識なしとりあえず口八丁で店員やってます…というアホタレの場合、一つ一つの商品の値段なんて覚えているはずがない。
かといって店先で目もメモ帳を広げて価格を書きうつしたりできるはずがないから10個くらいの商品の価格を「XXXはよんきゅっぱ。YYYはさんごー」なんてお経のごとく唱えながら暗記しては店の外に出てそれをメモる。
そして、担当の全部の商品の価格を書きだすまで店の出入りを続けるという、気の遠くなるような、そしてあまりに怪しい行動をしておりました。今にして思えば、バレバレだったろうけどね。それでもやってる本人大マジメだったわけよ。私が待っている間に、誰かがお隣に斥候に出されたのだろうか。私にはわかりませんが。
後日談なのですが、本当にヤマダモデルとやらがあるのか調べてみた。結果、本当にあった。つまり、ちょっと機能が落ちる商品と価格を合わせてもらえたわけ。いや、運が良かったです。
そして、いよいよ、次回は全米が泣いた感動の最終回…ってか、まだ書いてないことあるのか?不安を覚えつつ次回に続く。