かくして、浅草から特急スペーシアの個室を借り切るという贅沢をして、浅草から日光方面へ出発した私たち。行き先は日光かそれとも鬼怒川か(表題ですでにネタバレしていることはスルーするのが大人の正しい態度です)。
降りたのは
浅草からわずか30分。愛だらけさいたまの春日部。
アディオース、スペーシア(の個室)。まだしばらく乗っていたかったぜ。
こうして昭和の香ばしい薫りがプンプンしたスペーシアを降りて向かったのは
春日部駅構内・東武野田線ホームにある駅ラーメン。
そばじゃないです。ラーメンです。野田線のホームにある世にも珍しい駅のホームにある立ち食いラーメン屋さん。駅のホームにたくさんのに立ち食いそばのお店はあれど、ラーメンは珍しいのでは。
こういうとこって必ずと言っていいほどローカルルールが存在する。ここでは食券を買ったあとカウンター席をゲットして初めて食券をおばちゃんに渡せるらしいのだ。これがわからなかった。どこにも書いてなかった気がするし。
ローカルルールで思い出した。京王線利用者ならおそらくご存知だろうカレーショップ C&C。新宿駅にもあります…というか本店です。私、京王線を利用していた頃(90年代の話。8000系が最新型の頃でした)、このカレー屋さんの横をよく通過していた。なんだけど入ったことはなかった。なぜならその立ち食いスタイルのカレー屋さんはもうあからさまに「一見さんお断り」のオーラを出していたから。あの殺伐とした場所に足を踏み入れる蛮勇は当時の私にはなかった。
なのに、今回一緒にスペーシアに乗った悪友の一人に勧められてよせばいいのに行ってみた。しかも行くなら新宿本店だと。去年ではなく2019年の話ね。
まさにこの日(2019年11月30日)が埼京線が相鉄線に乗り入れ開始日だった。その筋の人が大挙して新宿の埼京線ホームに来ていた。
朝10時とかいう意味不明な時間帯なのにすでに剛のものが並んでいる。この時点で臆してやめておくべきだった。
回転は早く、朝カレーとやらを注文。会計を済ますと店内へ。どこに行っていいかわからずぼーっと立っていたらカレーを厨房から持ってきた店員さんが
「通してくださーい」
と言ってくる。ええええ?私、ここに立ってちゃダメだったの?どうするのが正解だったの?
こうなるともうだめです。ヲタ気質の私は誰も私のことなんか見ちゃいないとは頭で理解してるけど自意識過剰でわああアホなことしたと大後悔。結局すぐにカウンター席(いや、席じゃねえな)に案内されたのですが、美味しかった気がするけど、もうローカルルールに従えなかった記憶しかない。なので、ほうほうの体で撮影した写真も若干ぶれているのだ。
なんだかんだで、お持ち帰りでドイツまで持って帰ったカレー。家で味わうのがカレーショップ C&Cの正しい味わい方だということを学んだ貴重な経験でした。あとは未確認ですが、剛のもの御用達の新宿本店でなければたぶんもう少し優しいと思います。そう、レベル1でいきなりボスキャラを叩きに行った私の自爆というお話でした。
閑話休題。春日部の駅ラーメン屋さんに話を戻すがね。まごつきつつも出てきたのは
ほんとにそばじゃなくてラーメンに天ぷら乗ってるし。
もう突っ込みどころしかありません。でも美味しかったです。誰も聞いてないでしょうけど、私、家系ラーメンとか山盛り系ラーメンよりこういう町中華的なラーメンのほうが好きです好きです心から。その天ぷらはなんだと言われたら返す言葉もないですが。
ラーメンを待っているうちに見ると、東武野田線は10分に1本程度の運行がある模様。こうやって見ている限り、アーバンパークラインとかいうマヌケな愛称よりも野田線のほうがしっくり来るなあ…と勝手な個人の感想です。
野田線に揺られること数分。到着したのは南桜井駅。野田線に乗ったことも初めてなら、この駅に降り立つことも初めて。ここからタクシーで向かったのは
防災地下神殿(首都圏外郭放水路)。
提案したのは私です。ここに数年前から行きたいと思っていたのだ。で、1ヶ月前に予約したら「インペラ探検コース」という人気コースが運良く予約できてしまったのだ。
知らない人は何を言ってるかさっぱりわからないだろうからざっくり説明すると、首都圏外郭放水路って、要するに地下にあるため池。大雨が降ったときに水を溜めておいて首都圏の浸水被害を防ぐ(あるいは軽減する)と。何がすごいのかまだわからん…というお方。そのうち写真が出てきますから。
最初に施設の説明を受け、長靴を履きます。
ばっちり決めた私の悪友にモデルさんになってもらいました。左の方がカレーショップ C&Cを勧めた張本人。…ってかこれ、長靴じゃねえ。太ももまでカバーするやつ。後で調べたらヒップウェーダーと呼ばれるものらしい。また、こんな大袈裟なものを履かせて(ヤレヤレ)…と正直思った。
まずは徒歩で立坑に移動。立坑は地下神殿とつながって入るものの別の場所。
深っ。それもそのはず深さは70メートルもある。
この後一度外に出て地下神殿へ。
この写真を見ればあるいはピンときた人もいるかも。
人物との対比でこの神殿の大きさを感じてください。大雨のときには河川から水をこちらに流し込み、首都圏が浸水することを防ぐのだ。…すげーもん作ったよなぁ。
地下神殿より先程見学した立坑を望む。ここの一番上から下を見下ろしたわけね。こんな場所だと知ってたら足がすくんでたわ。
で、私たちの参加したインペラ探検コースはここで終わらないのね。この先にある「インペラ」まで見に行こうと。インペラって何よ…って地下神殿の一番奥にあるポンプのこと。
ばしゃばしゃばしゃと、通常入れない地下神殿のさらに普段のコースでは入れない奥地へ。
いやはや、「こんな大袈裟なものを履かせて(ヤレヤレ)」とかほざいてすまんかった。とても長靴じゃ対応できない深さまで来てるよ。
徐々に深くなる水深。ついには膝上まで水に浸かる。ヒップウェーダーのおかげか冷たくはないけど確実に長靴ではすでに浸水している。そうして到着したのがこちらが
インペラ(ポンプ)の羽根の真下。川の水位が下がったらここから水を汲み上げて(その早さはなんと毎秒25メートルプール1杯分の水を排水するとか)江戸川に流すらしい。ちょいとちょいと、プールの水が1秒で排水…じゃないのよ、上方向に吸われるのよ。すげーもん作るよなぁ。
と、正直思った以上にはるかに「攻めた」見学コースでした。2時間ほどの見学会、4000円の価値はあります。確実に。
地上に戻るとすでに黄昏時。見学会の締めはヒップウェーダーの泥を落とします。
タクシーで今度は春日部駅へ。友人がこっちのほうが賢いだろうと。確かに4人分の電車賃を考えたら春日部までタクシーに乗るというのは理にかなっている。
さて、春日部駅。なんでも高架化工事が始まったらしくおそらくこの駅舎はもう見納めになったかもうすぐ見納めかと思われます。…ってあれ?さっきの野田線ホームにある駅ラーメン屋さんはどうなるんだ?
春日部といえば、クレヨンしんちゃんもそうですが、気になるのは某家具屋さん。行ってみたい気もするのですが店員さんが専任で接客してくださるというのは、冷やかしをするには申し訳無さすぎる。
また東武伊勢崎線の特急で浅草に戻ります。野岩鉄道の方からやってきた特急だったらしい。この頃はマスク着用はもちろん、座席を回転させての利用は禁止とかいう謎規則もありました。
本日の反省会は浅草の一丁目一番地神谷バー。考えてみたら浅草はかつて東京で一番栄えていた場所。そこの一丁目一番地ってのは私たちが今感じるよりもはるかに深い意味がある気がする。
前回書いたとおり、東武線の浅草駅って戦前に作られた由緒ある建物なのですが、営団地下鉄(あえて東京メトロと書かない)の浅草駅もなかなかのものですよ。だいたい、駅ビル真正面にあるこの階段からして怪しい。
こんな昭和としか思えない地下街が残されています。
次回はいよいよ東京を出発。変な片道切符の後半戦ですっ。