【2022日本帰省-9】昭和的なものだらけの浅草


東京最終日は土曜日。この日は友人たちと「大人の社会見学」を画策。中心イベントは私が提案したのだが、その前後にいろんなオプションを付けてくれてとっても楽しいものとなった。

まず。浅草駅に午前10時の約束…だったんだけど、楽しみにしすぎて早く着きすぎた。松屋(浅草駅ビル)の前に佇む私。思えば浅草駅(と駅ビルの松屋)もこんなふうに外からまじまじと眺めたことがない気がする。東武線の乗り換え客は地下鉄からの通路に直行するだろうし、そもそも半蔵門線の直通か北千住経由で浅草を利用しない気すらする。

時間つぶしに浅草駅直上にある松屋の屋上へ。

なにげにスペーシアが写っているところが俺様GJ。

スカイツリーがよく見えます。特等席の一つじゃないかな。だけど、朝早くだからか、この場所がマイナーだからか私以外の人はだれもいなかった。

このビルは東武線の浅草駅開業とともにできたらしい。調べたら1931(昭和6)年…90年以上前の建物かいっ(Wikiには東京大空襲で「東武鉄道の駅舎が焼失」ってあるけどビルそのものは残ったのね)。もしかするとだけど、浅草駅と完全に一体化しているから建て直すと言っても容易じゃないし、建て直すとしたらホームの延伸…いやそんな場所ないな、予算だって…とか言う感じなのではないかと勝手に東武の内部事情を妄想。

上野の松坂屋は1929年完成らしい。ほぼ同時期。戦前の東京の中心は上野・浅草だったんだろうね。

このあと合流した東武沿線で生まれ育った友人の案内で階段に行ってみた。普通にお客さんが使える階段ね。なんだけど、階段を使う人なんていないのか、完全に昭和のタイムカプセル化していた。

すごいね。これ。

デパートの屋上で何故かよく見る神社。ここにもありました。バカにしちゃいけない。沿革を見るとなかなかのものよ。

スカイツリーまで建って。浅草のこの100年の変化を見守ってきたのねん。

(引用)正一位出世稲荷大明神縁起

当神社、正一位出世稲荷大明神は、古く京都伏見稲荷大社より御分霊を勸請し長らく当敷地内の一祠にお祀りしておりましたが昭和六年十一月、浅草駅ビル開業に際し、改めて屋上に奉安申し上げ、お客様並びに当ビルの守護神として、あがめ敬ってまいりました。(以下略)

ほえー。ここで伏見神社の名前を聞くとは思わなかったよ。

このあと浅草の探索開始。言わずとしれた仲見世にも人が戻りつつありました。…というか充分人はいた気がする。ちょうど外国人観光客が戻り始めた頃でした。

仲見世を横切って新仲見世を更に進みやってきたのはマルベル堂。ここ、上の写真からご賢察のとおり、なんと「日本唯一」スターのブロマイド写真の専門店です。平成生まれの人には通じない気がする。アイドルから映画俳優から歌手まで、ありとあらゆるスターの生写真が売られているわけ。生写真…という言葉ももはや通じないですか。そうですか。

店内は入ると半地下と、その上の層となる二層構造で、各フロアはせいぜい6畳とか8畳とか。半地下の方には箱に入った男女別のスターの写真がずらり。ちなみに撮影禁止だったのでこうやって説明をせざるをえないわけです。気になるお方はオフィシャルサイトに行けば中の様子をうかがうことができます。

吟味に吟味を重ねて山口百恵さん、堀ちえみさんと研ナオコさんの写真を一枚づつ購入。ずっと気になっていたお店なので訪問できてよかったわっ。

さに公園六区の方に進み、ロック座の前を通過。

入り口を共用するネカフェ…ちょっと入るのに勇気がいる?

ロック座(←注意:18歳未満の良い子たちはクリックしたらあかんやつ)とは…入ったこともないのに語るのはおこがましいのですが、なんというか、きれいなお姉さんが艶めかしく、柔肌もあらわに踊る劇場らしいです。大人にならないと入れないところ。問題はこれ。

どうも踊り子さんの熱心なファンの皆さまが朝から場所取りをしているらしい。入場料6000円。安いんだか高いんだか私には判断がつかない。

花やしきの裏。昭和のかほりしかしなくて好ましい。

そこからなぜか花やしき…の裏手に向かう変な人たち(私たち)。浅草には何十回あるいは何百回来た気がするけど未だに花やしきの中に入ったことがない。そりゃそうだ。男一人で1000円払って入るところじゃない(気がする)。だからといって裏に行くというのも変な話だけどね。

おお、前日に東京駅で見たはとバスがいっぱい。そりゃそうよね。浅草観光は誰がどう考えても鉄板よね。

さらに進むと、素晴らしい旅荘が。残念ながらもはや営業されてなさそうでしたが。

ご商談・お二人様 ¥3.000より

お泊り・お二人様 ¥4.000より

「次の間」までついてこのお値段?!や、安っ。いや「より」と小さく書かれているから実はもっと高いとかいうオチはあるかもだけど。それよりも「ご休憩」ではなく「ご商談」なのね。「ご商談」…穿った見方をしてしまう心が穢れきった大人の文章を皆様にお読みいただいております。

ぐるっと時計回りに一周して浅草駅に戻ってきました。上は私が2022年10月に撮影した写真。下はGoogle Street Viewの2010年版。何が違うか一目瞭然と思われるのですが、この10年のうちに白い化粧板を外したようです。これにより、建築当時により近い駅ビルの姿が見られるようになったようです。どう見ても化粧板がないほうがいいよね。駅の動輪を見立てたような意匠が素晴らしい。

さらに別の友人も合流し、4人になりました。さあ、浅草駅よりスペーシアに乗ってお出かけです。

また無理やり合成してます。

特急スペーシア。人生で乗るのは二度目です。前回は嫁と日光へ行きました。今回はなんと個室利用!

座って思ったんですけど、思い出したよ。クラウンのロイヤルサルーン。昭和の時代の高級車の代表格だった「いつかはクラウン」の高級グレードのロイヤルサルーン、あのシートとなんか似ている。それもそうで、このもうすぐ新型車が投入されるスペーシア、現行の車両はまさに昭和のバブルの頃の遺物なのです。

ほらっ。このカーテンが昭和の車の後部についてたやつそのもの。
JRならグリーン車と主張しそうな普通席。

実際ね、通常席でもシートピッチが広く快適。なんですが、3号車の半室を使っている売店はすでに使われていなかったり(つまり完全なるデッドスペース)、トイレが和式だったり、いささかの問題があるのも事実。

昔は売店があったらしい。JR九州は同じような場所を通常席に改造して運行してるなあ。

かくして、男4人で楽しく個室利用です。ちなみに個室料金は一室(どこまで乗っても)3770円…と意外とお安い。4人で割れば一人1000円かからないとなればありな気がする(JRの首都圏のグリーン車よりコスパはいい気がする)。というわけで個室に乗った以上は行きましょう。鬼怒川でも日光でも。

さあ出発。向かったのは…すまん。一気に最後まで書くつもりだったけどロック座だのマルベル堂だので寄り道しすぎた。次回に続く。