嫁母(義母)の趣味はサウナ。週に一度、女性専用日にサウナに行く。たまに仕事がない日は嫁も参加する。
本題とは無関係なんだけど、こちらも世知辛い世の中でしてこちらのサウナも例の光熱費高騰のあおりをもろに受けて、昔は朝から開いていたのに現在は午後3時からとかしか開いてないらしい。まあ、朝からサウナとか「朝寝朝酒朝湯が大好きで」って感じで贅沢がすぎるわよね。
それはそうと。金曜日の夜になって嫁母が風邪を引いたと言い出した。当然コロナを疑うからテストキットで検査してみるが陰性。寒気がするとか鼻水が出るとか言ってたのではいはいおだいじにーということに。
で、翌日は土曜日。これまた本編とはあんまり関係ないのでさらっと流すけど、地元主催の「歩こう会」的なイベントがありましてねこれに参加。100人近くの人と7-8キロ歩いてそのあと食事会的なイベントに参加。
日曜日の朝。嫁が風邪を引いたと言い出した。熱が出ただのリンパ腺がどうだの言ってる。はいはいはい。嫁母からもらいましたね。おだいじにー。
すると嫁父(義父)も「俺も体調が悪い」と言い出す。ただし、この人はくしゃみ3回したら不治の病だと言い出しかねないような心配性の人だし特段体調も悪くなさそうなので「はいはい」と聞き流していた。
新しい週が始まった月曜日。嫁母は相変わらず体調がすぐれない。嫁も声が中村あゆみさんになってる。…たとえが古い?いわゆるハスキーボイスになっている。これはこれでおもしろ…って面白がっても仕方ないな。とりあえず仕事も休んで寝込んでる。私は休みだったので家中掃除機かけてとかして過ごす。
午後になって嫁が言う。
「コロナテストしたら陽性だった」
なんですと。
嫁父から確実に受け継いだ心配性というDNAのおかげでなんとなくテストしてみたら陽性だったと。もう1回テストしてみると…うん。陽性。嫁に言われるまま私もやってみる。
(私は)陰性ですね。
これはこれはということで。嫁父母(義両親)に報告してこいと陰性の私が駆り出される。階が分かれているとは言え同じ家の中だというのに例のドナルドダックみたいなマスクつけてついでにゴムマスクまで(すべて嫁の命令)。そしてリビンクの端から反対側の端にいる嫁父母に報告。
私の報告を聞きあからさまにうろたえた一家の大黒柱はいてもいられなくなったらしく「今すぐ検査に行く」と嫁母を連れて近所の村にあるテストセンターへ。午後5時までしか開いていないらしく、閉まるギリギリの時間だったのであたふたと出発。
ここがまたいわくつきなんだわ。ここでテストすると陰性になるらしいの。「ここで陰性が出たけど他で検査したら陽性になった」とか結構聞く。んなアホなと私も思うし、単なる噂あるいは偶然にすぎないんだろうけど。
程なく戻ってきた嫁父母。嫁父は不機嫌極まりない声で「ふたりとも陽性だった」とひとこと。あんれまあ。
実は月曜日からリフォーム業者が入って階下の廊下の床の張替え、壁の塗り直しなどが始まっていた。家人がコロナ陽性となれば当然この工事は中止になる。そうなると忙しい職人さんたちの日程を押さえ直すのは至難の業。どうするんだか…と思ってみていたら翌日になっても作業は続行。
聞いたところによると、嫁父はコロナ陽性になったという現状をきちんと報告。だけど職人さんたちにとってコロナは作業を中止する理由にはならないらしい。
結局ね、職人さんたちはこのあと毎日作業に来られたけどコロナに罹らなかった。感染対策をきっちりしていたからなのか運なのかは神のみぞが知る。ただ、もしかしたらコロナが持ち込まれたのは嫁母のサウナからではなく職人さんからだったのではないかという仮説も成り立つ。だとすればなぜ職人さんたちが感染しなかったかの説明がつく(すでに感染してたから)。どうにも証明のしようがないのであくまで可能性のお話。
ここまでの流れを整理すると、嫁母が火曜日にサウナに行く。そこでの裸の付き合いでコロナをもらってきた。で、金曜日に発症(ただし、検査結果は陰性)。月曜日に嫁が検査で陽性。嫁父母も検査の結果陽性。
私はといえば…やっぱり陰性。翌日火曜日になってもやっぱり陰性。なんだけど、なんか喉が痛いしやたらと喉が渇くし風邪っぽい症状が出ている。たぶん私が罹患するのも時間の問題よね。
そして翌水曜日。
これは、まごうことなく陽性ですな。
日頃体温の低い私にとって38度はとんでもない高熱。結局喉の痛みと悪寒、ついでに二日酔いのような頭痛。なんのことはなかった、義両親より6日遅れ、嫁より3日遅れで後追い感染(そんな言葉があるかは知らんが)してるだけ。
義両親と一緒くたにしたけど、嫁母と嫁は私と同程度発症して寝込んだのだが、運良く嫁父の症状は軽く、寝込むことはなかった。
結局私は嫁と同様3日間寝込んで土曜日にようやくのそのそと起き上がる。熱こそ下がったものの、喉は痛いし頭も痛い。外に出て誰かに感染させるのも悪いし、そもそもそんな元気もなかったので家で無為に過ごす。
そう。日本もそうなんだろうけど、コロナだからと自己隔離をする義務などもはやない。別に行きたければスーパーに買い物に行ったっていい。これで思ったのはもしかしてたまにスーパーとかにいる未だにマスクをしている人はコロナに現在感染している人の可能性もあるんだなと。
月曜日になり、私以外の「コロナ先行三人組」が自己検査をしてみると陰性。ということは私もあと3日もすれば陰性になるなということになる。そして実際そうなった。なんだか軽い空咳が続いてはいるけど体調はもとに戻った。
数日間寝込んで嫁のありがたさを実感した。自分が先に罹ったものだから正しい(と思われる)薬がピンポイントで出てくる。
寝込んでいるときに飲んだ嫁の作ってくれたこのはちみつレモンが涙がでるくらい美味しかった。…ん?はちみつレモン?私が子供の頃一時期流行ったな。冷たいはちみつレモンソーダも自販機で売ってて一時期買っていた記憶がある。ブームが去ったのかそういえば日本では全く見かけないわね。そのうちブーム再来するんじゃないかしら。
こうして、新型コロナが人類を襲って3年後、もう逃げ切ったと思っていて安心しかかってたら一家で罹患してしまった。なんとも間抜けな話ではある。
ごく正直なことを言わせてもらうと、初のコロナが嫁母由来で良かった。ほら、例えば私が日本だアイルランドから持ち込んだとかじゃなくて良かったと。
寝込んでいて思ったんだけど、このコロナってカタカナで書かなければ「新型肺炎」よね。つまり新しい型の肺炎。で、私の脳内にある「家庭の医療辞典」(昭和64年改訂版)を開いてみた。私の子供の時の記憶をたどると…
「肺炎。風邪をこじらせたらなるやつ。入院しないとあかんやつ」と書いてあった。そうだよ。肺炎って大変な病気のはずじゃん。それ言い出したら、三浦綾子さんとか肺の病気でサナトリウムから九死に一生を得て生還したとか…とにかく肺の病気って怖いんじゃなかったっけ。なのにこの新型肺炎はいつの間にか入院どころか家で寝てろってことになってる。それどころか人によっては無自覚とか。私の記憶では肺炎とは入院するような大変な病気なのに無自覚ってなんなんだ。
体調不良だった頃、病床で臥せりながら(注:嘘は書いてませんがかなり誇大な表現となっております)嫁と話したのだ。
「体調が良くなったら、いつものレストランに行こうね」
ここ、以前に話のネタにしたかどうか記憶が無いのだけど、うちからさほど遠くない場所にあるイタリアンレストラン、嫁のお気に入りなのだ。ここに行くと嫁は一つ覚えでピザハワイを頼む。
なにそれって、見ての通りとにかくパイナップルがでででででんと乗っかってるピザ。ドイツではよく見るけど、イタリアでは見なかった気がするし…アイルランドではどうだっけ。個人的には一度ハワイに行ってピザハワイが存在するか見てみたいと思っている。まあ、イタリア人に言わせれば「邪道だ!」とかバカにし始めるやつよね。たぶん。
私のこのレストランの評価は「安い」。以上。とにかくね、ピザもパスタも€10を切っているというお財布に優しいレストラン。これに飲み物ほかを頼んでも二人で€30ちょい。いかにドイツの田舎とは言えお一人様2000円で食べられるというのは非常にありがたい。見方を変えると、なぜ嫁がマクドナルドほかファーストフードを好まないのかも説明がつく。似たような値段だったら落ち着いて食べられるこっちのほうがいいに決まっている。
味はといえば、値段からすれば秀逸。ピザ窯は石焼きだし。ただし、パスタは市販のものを使っている。確かにお値段以上なんだけど、もともとの値段が安いので期待値も低いという。つまり私の性に合ってるのよね。なのでよく行く。体調がもとに戻ったらまた行こうと嫁と話しをして、実際に良くなった。陰性の証明書もある。そうだ。このイタリアンレストランに行こう。と思ったら
△ 閉業
嫁と二人でほんとにがっくりと肩を落とした。いや、コロナ前から閉業の噂はあったの。なんだけど、コロナ禍を乗り切ったしきっと噂はガセネタだったんだなと決めてかかっていたらこの知らせ。念のためにと電話してみたら留守番電話で「長年のご愛顧ありがとうございました」と流れた。がーん。
こうなると、すでに脳内がピザモードになっていた嫁、ピザを食べると言い出して聞かない。仕方ないのでピザを自作することに。
やってみてわかったが何の技術もいらないアホでもできることだとわかった。そりゃ記事からこねこねすればある程度の手間ひまかかるかもだけど、ドイツにはこんな便利なできあいのピザ生地があるのだ(きっと日本にもあるだろうけど…少なくとも私は自作したことがない)。
広げるだけ。あとはお好みの具材を乗っけてくださいと。
一つ覚えの嫁はパイナップル。まあ、見事なくらい隙間なく敷き詰めましたな。残りの陣地を得た私は特売のサラミ約1/4(1本€2.99)と使いかけのスイートコーンとオリーブ乗っけて
嫁が大胆としか言いようのない量のチーズを遠慮なく乗っけて
このできあいピザ生地の、トマトソースまで一緒に入って€1.59(特売)、チーズが€1.5(こちらも特売)とかでそのほか具材が数ユーロ…まあ、1000円かからずに二人分のピザが完成。こうしてまた外食をする理由が一つ減りました。
ああそうだ。このイタリアンレストランがありがたかったもう一つの理由。ほかのレストランで下手にシュニッツェルとか頼むと量が多すぎるのよ。食べきれない。その点ピザならなんとかなったというのもありまして。
近所のレストランの例。この半量で私に十分です。