【お知らせ】いきなりですが、短くまとめようとかいう箍を外したので、長いぞぉ。原稿用紙なら11枚分。写真は約40枚。通常なら2回に分ける分量を一気に掲載しているのでどうぞお時間のある時にごゆっくりお読みください。
9月19日(日曜日)午前5時40分。
夜明け前の完全無人のガソリンスタンドでガソリンを満タンにした私はそのままA7(アウトバーン7号線)に乗る。ひとたびA7に乗ってしまえばなんとフュッセン (Füssen)までの600キロの道のりは何も考えなくていい。このドイツを完全に南北に貫くA7をただひたすらに南に走れば着いてしまう。ミチコさん(ナビ)は「しばらく道なりです」と単純明快。前車追従機能のある車ならホントに楽だったろうなぁ。
これは偶然の産物なんだけど、出発日を日曜日にしたのは大正解だった。というのも、ドイツのアウトバーン、基本的に日曜日は大型車は通行禁止なのよ。は?という人のためにもう1回書いておきますが、日曜日は休息日です。なので、お仕事に使っていると思われる大型車はアウトバーンを通っちゃダメ。もし通りたければ許可が必要らしいです。この日本でやったらおそらくブーイングじゃ済まない厳しい規制のおかげで大型車があらかた排除されているので、乗用車目線では日曜日のアウトバーンはすごく運転しやすい。
この弊害として、日曜日の間大型車は「休憩」となり、サービスエリアやパーキングエリアに待機中の大型車が溢れかえる。日本でも深夜割引開始・終了直前にトラックがSAやPAを占拠することがあるらしいですが、同じようなことがこちらでも起こる。乗用車用のスペースまで大型車で埋まっていたおかげで一度SAで休憩しそこねる。なんか変なところで日本とドイツの共通点を見つけることがあるのよね。
この迷惑な(物流を支えてくださっている方たちの文句は言いたくないけど、この指定マス以外での長時間駐車は迷惑と断じても怒られないよね)大型車のおかげでトイレに寄れず、次のインターで降りて最寄りのマクドナルドへ。日本と違って簡単に高速道路外に出られるのはアウトバーンのいいところかも。社会通念上トイレだけ使うのはどうよ…とか思うから、ついと食べたくもないフローズンアイスを買ってしまう。…なんだかんだで美味しくいただきましたが。
もう一つ想定外だったことは南に行くにつれて増えてゆく道路工事。なんか感覚的には工事区間のほうが長かったんじゃないかというくらいA7は道路工事の連続だった。それでも大型車がいなかったことで工事区間もだいたい時速80キロで駆け抜け、それ以外では時速100キロ前後の経済運転に徹してのんびりと。車が少ないのでクルーズコントロールで自分のペースを設定してその速度のまま他車に迷惑をかけずに走れる。ありがたや。
ガソリン代は国境を超えただけで環境税などの違いで一気にリッター25セントも下がる。もっと言えば高速道路のSA上にあるガソスタと比較すると5-60セント安とかいうとんでもない違いになる。そう、SAにあるガソスタが高いってところまで日本と似ているのよね。35リッター入れたから朝の私の住む地域最安値のガソスタと比較しても€9ほど安く済んだ計算になる。こうしてセコく喜びつつオーストリアでの滞在時間10分でドイツに戻る。
こちらはオーストリアからドイツに入る国境。最初のドイツからオーストリアの国境はA7から直結したトンネル(長さ1300メートル)の中。対向車線側ではなにかしていたものの、私の進行方向では国境は完全に通常営業。特に検問などは行われていませんでした。
フュッセン (Füssen)でのホテルは街の中心のHotel Ludwigsを選んだ。こんなコロナ禍の下、外国人観光客なんていなくなっているはずなのにドイツ国内の客がそれを補ってあまりあるのかホテルの稼働率は高そうで(あるいは休業中のホテルが多かったとかいうオチがあるのかは知らない)、選択肢があまりなかったというのが実際。
ここで、安いガソリンをオーストリアで求めたことが思わぬ仇となって返ってくる。というのもフュッセン (Füssen)を車で訪問する約8割の人がA9のインター、つまり街の西側からやってくるのだが(8割というのはもちろん口から出任せですが、あながち間違っていないと思う)、オーストリアのガソスタを経由したことで、私はフュッセン (Füssen)の街の南側から街に接近。
ところが、ホテルのある街の中心は歩行者専用道路になっており、南側の橋(Lechhalde)経由では予約したホテルにアクセスできない!Google大先生もこの事実を把握していないらしくGoogle Mapは完全に役立たず。歩行者専用道路の路上のカフェをなぎ倒して進めってかいっ。
実は事前にホテルに一度別件で電話をしたのだ(次回に詳述)。その時に車で来るならナビの目的地をホテルの住所ではなく裏通りにセットするように教えてもらう。…ってかさあ、それを教えてくれるなら、その裏通りまでのアクセス方法も教えてほしかった。おかげで国境のガソリンスタンドからほんの数キロの移動に30分以上を要してしまう。
こうしてフュッセン (Füssen)という街だけでなく、ホテルにも裏から到着した私たち。思えば、フュッセン (Füssen)から去るときもこの裏道をわざわざ使ったな。裏から入って裏から出る裏技披露のああ人生裏街道。
ホテルの部屋は…広い。町中にあるホテルということを考えると規格外の広さ(30平米超え)。ソファーまで設置されてる。ただ、かなり変なホテルでして、私たちの部屋は歩行者専用道路になっている表通りではなく並行した裏通りに面している。そして、裏通りに面している側の部屋は中庭を経由してたどり着ける。…と書くと、中庭とはきれいな庭園でも思い浮かべそうだけどなんのことなはない…
私が得意としている日本語ではこれを中庭というよりはむしろ駐車場と言います。雨の日も風の日も私たちの部屋から「本館」へ行くにはこの駐車場を経由しなければならないと。ちなみにこの駐車場、有料で1日€5.9なり。問題は予約をしても車を停められない場合があるということ。実際毎晩満車になっていた。ホテルのレセプション氏いわく、「予約無しで車を駐める人がいるんですよね」とのこと。そんな傾向があるなら対策しいや。ちなみにその場合は駐車料金はいただかない…とのこと。
ふと思ったけど、こんなところにもコロナの影響があるのかもね。このホテルの客が外国人観光客ならその多くは駅にほど近いこのホテルに鉄道でやってくると思う。なんだけど現状ではドイツ国内やヨーロッパの隣国の客ばかりだから車での客も増えると。かくいう私たちもその組なんですけどね。
こうして駐車場(あるいは中庭)に車を停めて表通り側の「本館」にある受付へ。受付ではコロナワクチンの接種証明書を求められたのでスマホの画面を見せる。それで終わり。
チェックインを済ませて裏通りに面した私たちの部屋へ。日本的に言えば3階の部屋。エレベーターなどという文明の利器はないので、スーツケースを抱えて階段で移動。裏通りに面しているというのはメリットしかない。そう。静か。ん?ベッドの上になにかあるぞ。
こ、これって、日本で言えば高速道路のインター近く、あるいは渋谷の円山町あたりのホテルにあるような(ちなみにどちらも行ったことはない)大人の身だしなみ的なあれですかね…と一人でドキドキしたが
コーヒー豆をチョコレートでコーティングされたものでした。まったく紛らわしいっ。なお、後でスタッフがおいs(略)
この部屋、広さはすごい。ついでにいうとエアコン完備。使うことはなかったけど。なんだけど、ほかがダメ。まず、冷蔵庫があったと思われる場所は
…空洞。
よく見ると、ワードロープも扉がない。そんな思いで見ると、ペン1つすら置いてない。なんやこれ。バスルームに至っては使い捨てのボディソープ兼シャンプー兼コンディショナーらしきものが置いてあるだけ。ある意味ものすごく潔い切り捨て方。
洒落たテレビのプラグは抜いてあり…ということはもちろんなく、韓国メーカーのテレビがどどんと鎮座。テンキーが付いていない新しいタイプのリモコンは使い方がよくわからずもともとテレビなど見ないこともあり、ほぼ放置。あ、ホテル備え付けのWifiは残念な速度。
こうして3日間滞在するホテルの部屋の検分の後、フュッセン (Füssen)観光へ。…と言ってもレストランに目星をつけていた以外正直何も計画してなかった。この日はあくまでフュッセン (Füssen)までの移動を目的としていただけなので。
ドイツあるあるで日曜日は一部の観光客向けの店やカフェなどを除けばほとんどすべての店が閉まっている。なので、私たちのホテル到着をさんざん妨げた歩行者専用道路の店も大概は閉まっている。そこをてくてく歩いていると当然の帰結として歩行者専用道路の終わりにあるホーエス城(Hohes Schloss)に到着する。
お城の入口にあるのが聖マング教会(Kirche St. Mang)ここが個人的には謎の教会でして。というのも、教会の扉を開けると普通「下座」にあたる部分につながってますよね。ところがここは「上座」のすぐ脇に出てくるのだ。一瞬方向音痴になった。
お城に向かう途中に市民庭(Burggarten…あまりに直訳)へ行ってみた。
…いまいち花壇の整備ができていない。ちょっと残念。
お城の入口に戻りさらに坂を登ると
中庭に到着。
この地方の特徴と言っていいのか、壁や窓に絵が描かれている。こちらではいわばだまし絵のように窓が出窓のように描かれていたりする。このセンスは好き。
ちょっとした高さの塔(たぶんビルの4-5階に相当)があったので登ってみた。
このような階段をてくてく登ると
数人でいっぱいになるような場所がありまして、
そこからフュッセン (Füssen)の街が一望できました。写真は数枚を合成してます。写真右の近くの小山がなければノイシュヴァンシュタイン城が見えたはず。
お城の中は美術館になっているらしいのですが、ここで時間切れ。そう、午後5時の閉館時間が迫っており断念。
街に戻り夕飯。
旅の掟:食事はテラス(外)で食べるものとする。室内はダメ。
言うまでもなく嫁が決めた謎ルールです。コロナ対策のために屋内ではなく換気が良い外で食べると。そんなに寒くないからいいけどさ。
そんなわけで、目星をつけておいたイタリアンレストランへ。テラス席は不人気で空いていたので予約なしでも大丈夫だった。ちなみに私たちのあとに予約無しでやってきた人たちは満席で断られていたから運が良かったと言っていいかも。
運が良かったと言えば、席についてしばらくしたら夕立のような雨がどしゃーっと降ってきた。到着が数分遅れていたらびしょ濡れになっていた。私たちが席を立つ頃には雨は上がっていた。実に運がいい。
天気の話をすると、出発前から滞在中の天気は全く期待できそうになかった。まあ、この話はおいおい。
私の夕飯、ペンネアラビアータ。せっかくドイツ南部に来ているのに地のものを食べない天の邪鬼。まあ、それを言い出したらイタリアンレストランなんかを選ぶんじゃねえ…という話になる。ビールじゃなくてワインなのはどうよ…ってご意見はあるかもだけど、ドイツはワインの一大産地なのでこれは地のものと主張しておきます。
嫁はキノコのパスタ。これは季節感があるので地のものと認めよう。
この調子で行ったらこの10日ほどの旅行記の完結はいつになるのだろうといささかの不安を抱えつつ次回に続く。もしあなたが読み飛ばさずにここまで読んでくださったのならもう感謝しかないありませんっ。
ドイツもここまで来ると7分の1くらいはイタリアが混ざっていると思われる(ハノーファーよりミラノやヴェネツィアのほうが近い)ので、イタリアンは地のものと認めます。
知らんけど。
これ、あとで本文中に書くかもですが、同じドイツでもこちらバイエルン地方の皆様と私の住むニーダーザクセン州の皆様は気質がだいぶ異なるなぁ…と今回感じました。一言で言えば、バイエルン地方は陽気、ラテン系。間違いなく「7分の1くらいはイタリアが混ざっていると思われ」ますね。
知らんけどw