【2011年日本帰省記(1)】まずは別府

ごぶさたをしております。日本の帰省から一路ダブリンに戻っているSnigelです。10周年記念企画の更新も日本から続ける予定でしたが、…忙しかったです。ごめんなさい。

さて、何がそんなに忙しかったのか…それを説明し始めると、実はお前忙しくなんかないじゃないか…と怒られそうなんですが、まあ、今回より数回に分けまして、恒例の日本帰省記を。

今回特筆すべきことが二つあります。そのうちの一つは言わずもがなの東日本大震災。こいつのおかげで、そもそもこんな時期に帰省をすべきかどうかという疑問が。

そりゃ、日本に住んでいる人に言わせるとなにすっとぼけたこと言ってるんだとお叱りを受けそうですが、でも、特に震災後1週間後あたりのヨーロッパでの報道は本当に悲観的で、特に福島第一原発の報道は、もう今にも破局的な事態が起こるぞといわんばかりでして、私はともかく周りが、こんな状況下で本気で帰省するのかと聞かれまして。

それに追い討ちをかけるように、航空会社からは例外として無償で航空券の変更、払い戻しに応じてくれるとやらで、うーむと私も考え始めてしまった。

同じような考えを持っていた人は私だけではなかったようで、日本からガイジンさんがうわーっと逃げ出した後、ヒコーキはがらがらに。結果間引き運行となり、私のヒコーキが運行されるかどうかも謎の状況に。

そして、第二の問題は、私自身の問題。誕生日以来、右ひざを痛めてしまった。人生初。階段を下りようとすると右ひざが痛い。特に転んだとかひねったとかそーゆー直接的な原因はない。なんか知らんが痛い。この件に関しては本人はまったく気に病んでなかったのだけど、まったく良くならないどころかむしろ日に日に悪化している気がする。

そんななんか一抹の不安があったのだが、幸い私のヒコーキは予定通り運行されまして、4月9日に成田に到着。…いや、予定通りじゃなかった。2時間以上遅れやがった。なんでも「コペンハーゲン空港および上空にての記録的な強風」に襲われたらしい。本来の出発予定時刻から1時間半以上経ってゲートに行ってみたら、なんとゲートにまだヒコーキが着いていない。

あとで聞いた話によると、あまりに強烈な風のせいで、機内食などの積み込みができなかったために、わざわざヒコーキを格納庫に一度移動して、風のないA340という大型機だったにも拘らず、左に地面が見えた次の瞬間に右に地面が見えるような状況になりましたとさ(それだけ大揺れになったのね)。

震災の…いや、原発の事故の影響で、当然といえば当然機内は空いており、エコノミーエクストラクラス(エコノミーとビジネスの中間。シートがやや広い)の中央3列を独り占めして楽に帰る…いや、楽だったんだけど、ひざの状況は確実に悪化した。今までは階段の上り下りなどひざに負担がかかるときだけ痛かったんだけど、ついにはふつーに歩くときも痛くなってしまった。成田空港に着くなり、おかしな歩き方をする私…情けない。

数日東京に滞在しまして、とりあえず向かったのは、アキバ。あ、私自身の名誉のために言っておきますけど、冥土カフェとかわけのわからんフィギアとかには興味はありません(ないんだってば)。アキバのヨドバシとかあとはコンピューターの周辺機器の投売りを探しにいったのね。

震災のおかげで外国人旅行者が減ったと聞いていたが…

ごらんいただけるでしょうか。右側のマニアックな店の前に人だかりができているのに対して、中国人をはじめ外国人旅行者をアテにしている店は閑散としています。早く原発が落ち着いた状況になってくれないとこんな状況はしばらく続くんじゃないだろうか。なお、原発については後ほど書く予定。

んで、九州へ。そうそう、羽田空港のANAのラウンジでビール以外にもハイボールなるものがあったので飲んでみる。

ちょっと薄かったけど、ぐいぐい飲めるのう(←真昼間からなにやってんだか)。

九州に着き、まともに歩けない私を見るに見かねた親が、鍼灸師にかかることを提案してくれる。なるほど。いい考えだ。

私、誰が何と言おうと日本人です(当たり前)。ところが、国民の三大義務の一つである納税の義務を果たしていない私は、日本の医療保険を使うことができません。もっとも、「あること」をすれば医療保険を使うことは可能なんですけど、あまり感心することじゃないし、まともに税金を払っている人に対して公平じゃないしね。んで、鍼灸師は保険がきかないので、ちょうどいいと考えたわけ。

コドモの時からその存在は知っていたうちのすぐ近所の住宅街にあるナントカ治療院。だけど、そこが何をしているかこの日まで知らなかった。行ってみると全盲のおっちゃんが一人で経営していた。

鍼灸師さん、私の話を一通り聞くと、ひざを曲げたり伸ばしたり、触ったり。で、

鍼灸師さん:「ひざに水がたまってるねえ。熱を持ってるから、ほら、熱いでしょ」

私はこれの意味するとこが恥ずかしながらわからなかった。うちに帰って親に話したら、「それは60過ぎたようなじーさんばーさんがかかる病気だ」と大笑いされた。本人にはまったくをもって笑いごとじゃないんだけどね。

一時間半ほど、針を刺してもらったり、マッサージをしてもらったりして「水を散らす」治療をしてもらう。で、帰るころになって、鍼灸師さんが

鍼灸師:「うーん、これは明日整形外科にかかったほうがいいねえ」
私:「ダメ、(上に書いたような理由で)保険がきかないから」
鍼灸師:「えっ、効かないの。うーん、自費だと数万円の出費になるねえ。じゃあ、もう少しがんばってみるか。数日後にまた来て」
私:「はーい」

今回九州では、仲の良い数人の友人と別府温泉で会うことに(このサイトのオフ会ではないので、公募はしてませんでした。それから「別府温泉」というのはあまり適切な表現ではありません。何せ、別府八湯と言って別府には少なくとも8つの温泉がありますから)。男二人(私含む)、女二人のグループ。

まず向かったのは、ビーコンプラザのグローバルタワー(←クリックしていただけると、どんなタワーか写真ですぐにお分かりいただけるかと)。別府に存在することは知っていた。だけど、ほら、東京タワーに行ったことがない東京の人が多いように、地元なのでこのタワーに私は一度も足を運んだことがなかった。

下から見上げた図。地上100メートル上空ということで…高い。

どこか昭和を感じさせる扇風機つきのエレベーターに乗り、地上100メートルの高さの展望室へ。

あれっ。想像していたのと違う。思いのほか、狭いぞ。しかも、天井がなくて吹きさらしになっている。私はこの時点でこの展望台の恐怖に気がついていなかった。

お分かりいただけるでしょうか。この華奢な展望台、実は床が抜けると地面まで一直線なんですよ。もちろん床なんて抜けっこない。だけどさあ、東日本大震災の直後のお話。うわあ、直下型地震が起きたらこのタワー、ぽきっと折れちゃうんじゃないだろうかとか、寝ぼけたヒコーキが突っ込んできたらどーなるんだろうとか考え始めると、もうダメ。高所恐怖症が爆発。

涙目で撮った別府市街。ご賢察のとおり、たぶん夜景はきれいですよ(上のリンク先に夜景のパノラマ写真がありますが…きれいです)。間違いなく。高所恐怖症ではなく、彼氏、彼女といい雰囲気を味わいたい方はぜひどうぞ。私はもう二度と行きません。あ、恐怖感なく夜景を楽しみたいと言う片は、十文字原の展望台へどうぞ。ここは地面に足をしっかりつけたまま、別府の夜景を楽しめます。しかも、「光の詩」というカフェがあり、ここがまたいい感じなのです。ちなみに経営しているのは私の友人ですので、このサイトを見たと経営者に言っていただけたら、もれなく「ふーん」と言ってもらえます。

続く。