ハノーファーの安ホテルの凶器攻撃について


SASがっすのスカンジナビア航空さん、ハノーファー発コペンハーゲン行きの朝一便は午前6時10分発です。

 

…誰がこんな早朝の時間帯のヒコーキに乗るねん。

 

…なんですが、まあ、マイル貯めてなんとか金色のカードを保持するためにこんなヒコーキにも乗らないといけないんですよ。なんか最近「そこまでする価値あるのかな」とか思い始めたけど…まあ、そーゆーことです。

 

この時刻のヒコーキに乗るためには車で空港まで行くか、はたまた空港付近に前泊するかの二択になるんですが(公共交通機関を使うとか、ましてや「村の近所しか運転ない!」と使えない宣言をしている嫁に空港まで送ってもらうという選択肢はない)、今回は帰りはフランクフルト経由で、フランクフルトからは陸路…という実に珍しいパターンなので、ハノーファー空港には戻ってこない。なので、空港まで車という選択肢も消えるので、おのずと前泊のみの可能性が残る。

 

そんなわけで、前泊への予算はほとんどない。空港近くで最安…という条件で出てくるホテルがここPremiere Classe

 

素直に読む限り、これはサイト側の設定エラーっぽい。

 

すでに何度か泊まったことがあるので、ぱぱぱとオンライン予約を…しようとした。ところが、何度やってもこんなエラーメッセージが返ってくるのだ。日を改めてもダメ。

 

数日後、諦めて、ホテルの(チェーン店全体の)予約センターではなく、フロントに電話した。

 

電話の向こうのお姉さん、なんか「大丈夫なのかなぁ」と思わせるのだ。例えて言えば、中学生の職場体験の「自分はできる」と思い込んでいる生徒が間違って電話をとっちゃった…という感じ。声も若そうだったし、もしかするとそうだった…わけはないか。

 

なんとか予約は完了した。値段もウェブと同額の32ユーロで良いとのこと(安いよね。日本のイナカのビジホかという値段)。クレジットカード番号を伝え「じゃあ、メールで予約確認送りますね」ということで電話を切る。

 

ところが、案の定と言えば案の定、予約確認メールなど、待てど暮らせどやってこない。翌日に改めて電話。同じ中学生(?)が電話に出て、メールアドレスなどを確認。メールを送って貰う約束をして電話を切る。

 

…やはりメールは来なかった。

 

さらに翌日に電話すすると、やはり同じ中学生が電話に出て、

 

「ええ?着いてませんか?今すぐ送ります。…ええ、予約は間違いなく入ってます。…あれ?インターネットが落ちてるみたい(てへぺろ)」

 

ホントに日本語なら「てへぺろ」と言いそうな勢いで言われ脱力し電話を切る。もういいや、予約が入ってるなら。もう知らん。と一抹の不安を抱えたまま放置。そして当日がやってきた。

 

日曜日の夕方、S-Bahnで空港駅一つ手前のホテル最寄り駅(Langenhagen Pferdemarkt)へ。降りた瞬間にすごい違和感を覚える。「あれ、この駅じゃ、ない?」そう思った私はとっさの判断で車内に戻ってしまった。振り向けばドアは閉まり発車。で、ぱっと確認すると…この駅で正しかった。アホや。俺。

 

そんな信じられないミスを犯し、空港駅に到着。そのまま折り返しても良かったのだが、正確には折り返し乗車は不正乗車になるし(空港までは同じ運賃なので問題はなかった)、駅からけっこうホテルまで距離がある。そこで、ふと思いついてホテルの前に停車する空港から出る路線バスに乗る。

 

もう、なんというか、ダメな日ってほんとにダメ。ここでもミスを犯す。ホテルまん前のバス停ではなく、一つ手前のバス停で降りてしまった。ああ、とことんマヌケ。

 

写真は翌朝出発時に撮影。

 

数百メートル歩いてようやくホテルに到着。なんか違和感を覚える。

 

 

 

自動ドアの前に立つ。…ドア、開かない。

 

なんか張り紙があるな。

 

 

「本日受付が急病のため、フロンド業務は午後2時で終了します。鍵は1.5キロ離れた提携ホテルにあるから取りに来てください」(意訳)

 

…なんじゃそりゃ~。

 

ってかさ、そーゆーことがあるならフツー事前に連絡してこないか?(いや、連絡してきたところで日本だったら「ふざけんな」で終わりだよね)人間を40年超やってきたけどこんなアホなこと初めてだわ。

 

地図上で提携ホテルとやらの位置を確認の上、電話。そこの受付のおっちゃんに

 

「鍵を取りに来てくださいねー」

 

機内持ち込みサイズとは言えスーツケースをごろごろ転がしながら歩くのは結構面倒。一瞬階下のギリシャレストランにスーツケースを置いていこうかという名案が頭をよぎるが、もしかすると、別のホテルで「今日はこっちに泊まっていいですよ」と言われる可能性がないとは言い切れない…という思いに至り、引っ張っていくことに。考えてみたら、誰も常駐してないホテルって…怖くないですか?ちなみに夜間はいつでもフロントは不在。安全面で大いに難ありなホテルだよな(だから安いのか)。

 

なんともイラつくことに、件の1.5キロ離れた提携ホテルはさっき降りたバスの通り道。つまり、さっきのバスに乗り続けていたらその提携ホテルの前で降りられたのだ。なんてマヌケな話なんだと自分のマヌケさのさらに斜め上に起こったマヌケな事態に呆れ果てつつ、15分ほどかけて提携ホテルとやらへ。

 

15分歩いてたどり着いた同じ通りの1.5キロ先にあった提携ホテル。

 

提携ホテルとやらも、ぱっと見た限りでは同程度の格式のホテル…つまり、格式などない安ホテル。なのだが、目くそ鼻くそ論理で行くとたぶんこっちのほうがまだマシだろうな。

 

そんなホテルのフロントの男性、すでに鍵を用意して待っていてくれた。名前は電話をした瞬間に名乗っただけだったのだが。…あ、それ以前にあの中学生はちゃんと予約だけはしてくれてたんだな。

 

とりあえず、まだ私は信用してなかった。というのも、クレジットカードの番号はすでに渡してある。なので、何かの手違いで二重で宿泊料を取られるんじゃないかと。万一そうなった場合、同じクレジットカードで払っておけば話は単純かな…と。ところが、フロントの男性は申し訳なさそうに

 

「できれば現金でお願いできませんか。あちらのホテルのクレジットカードの端末をご用意しないといけないのでお時間がかかるんですよ」

 

仕方なく現金で払おうとするが…

 

「それでは€40頂戴します」

 

ちょっと待てい。中学生は「オンラインと同じ€32」と言ってたぞ。

 

「ええっと、こちらの(私が泊まるホテルが用意した)用紙には€40と書いてありまして…」

 

数分後、€50を出して€18のお釣りとともに領収書と鍵をもらい終了。帰りはもう歩く気にならずわずか1.5キロの距離ながらバスに乗ってしまう。ホテルの部屋についたは本来の予定から1時間半以上遅れた午後8時過ぎ。ああ恐ろしきかなヨーロッパの夏時間。こんな時刻なのにまだ太陽は高い位置にある。

 

 

ちなみにお部屋はこんなです。広さはそこそこあるのだが…調度品は80年代から更新していないとしか思えない。€32で何を期待しているんだと言われると返す言葉もないんだけど、洗面所にアメニティなど存在しない(石鹸と使い切りのボディソープが置いてあるだけ)。冷蔵庫などという三種の神器など望むべくもなく…。

 

翌朝は午前4時過ぎ起きの予定なので、さっさと寝ようとするのだが、そりゃお天道様がそんな高い位置にあるうちから眠れるはずもなく、スマホなどをポチポチして過ごす。

 

そして、私は決して線が細いわけではない。いつどこででも寝られる人なのだが、翌日に早起きをしないといけないとなるとあまり眠れなくなるのだ。案の定午前2時前に目が醒めて、それから寝たかよくわからないままに午前4時半。目覚ましが鳴る前に起きる。

 

それから自前のアメニティを使いシャワーを浴び、ホテルの真ん前にあるバス停より午前5時21分発の空港行きバスを待つ。このバスだと空港バス停に5時30分ちょうどに到着。そこからターミナルまで徒歩10分。出発30分前に空港に着く計算。もしバスがちょっとでも遅れたり来なかったりしたら完全にアウトだが、かと言ってこの前のバスは1時間前だし、S-bahnの駅まで歩くのは面倒だしと、これで行くことにする。

 

 

早朝の時間帯ということもあってか、バスは定刻から1分違わずにやってきた。ひと安心。そしてバスは定刻どおりに空港バス停に到着。

 

この日はアイルランドはバンクホリデーで祭日なのに対し、ドイツはフツーの月曜日。これから出張だ出勤だというビジネスマンが多いのか、空港の保安検査が想定外に混んでいた。

 

 

困ったことには優先レーンも混んでいたこと。15人以上の人が優先レーンに並んでいる。通常の方は列が3回折り返しているからさらに3倍の人が並んでいる感じか。優先レーンに並んで気がついた。失敗した。というのも、確かに通常レーンは3倍の人が並んでいるのだが、保安検査場が4か所開いているのだ。それに対し、優先レーンは一つしか開いてない…。そう、むしろ通常レーンのほうが早い感じ。うう、同僚にお酒を買うように頼まれてるのにあまり時間がないなぁ。

 

10分近く並んで私の荷物を保安検査のX線検査に並べ始めた頃自動音声で「コペンハーゲン行き最終の搭乗案内」が流れる。えええ?まだ定刻まで20分以上あるじゃん。気は焦るが保安検査を受けないわけには行かないのでそのまま荷物を並べる。再検査になどなってたまるかと、カバンからほとんどのものを取り出す。いや、日本の使い捨てのフェイシャルタオル(濡れティッシュみたいなやつね)が入っていただけで再検査になったことが何度もあるのだ。そーゆー無駄な時間は避けないと。

 

…と、荷物を並べていると、今度は機械ではない女性の声で…

 

「コペンハーゲン行き、お客様のお呼び出しです…」と3人ほどの名前が呼ばれる。3人目に発音しづらそうに私の名前も。いやだから、まだ個人呼び出しには早すぎる時間でしょうが。

 

まあ、お約束ですね。あれだけ気をつけて荷物を取り出したにも拘らず、私のスーツケースは再検査へ回される。

 

「このスーツケースはあなたのですか」

 

「そうです。あのー、個人呼び出しかかってるんで、できれば、急いでいただけると…」

 

…と無駄と知りつつ言ってみる。保安検査の係の仕事は危険物を見つけることで私がヒコーキに乗り遅れようが知ったことじゃないもんね。

 

「無作為に選ばれた再検査です」

 

…なんかその無作為にいつも選ばれる栄誉に預かっている気がするんですけどね。

 

なんだかんだで、搭乗口に着いたのは15分前。係の人は完全におかんむりで…

 

「今まさに、ゲートを閉めるところでした」

 

私はヘタな言い訳をする余裕がなかった。というのも…あれ、スマホが、ないっ。保安検査場で慌てていたので無意識のうちに搭乗券の入ったスマホをスーツケースに放り込んでいたのだ。数秒で見つけたものの、ちょっと焦った。

 

搭乗口でスマホのバーコードを読み取らせるとエラー音。ええ?ここで無意味なインボラアップグレードですか?と思いきや、Wrong Flightとか書いてる。え?別のフライトのバーコードを読ませた?と思いきや、おかんむりの係氏、そのまま行っていいという。ああ、ホントにゲート、閉めちゃってたんだ。…もしかして、脅しじゃなくて本当に間一髪でした?

 

こうして定刻15分前に私が乗り込むなりにドアクローズ。ATR72という変なヒコーキは後ろから搭乗。私はいつもの最前列の非常口席だったのだが、いや、このヒコーキの良いところに一つ気がついたわ。こんなふうに遅れて乗り込むと、他の人の視線が痛かったりするのだが、後ろから乗り込むからそんな視線が気にならない。

 

定刻の6時10分にはすでに滑走路上で離陸開始してまして、コペンハーゲン着は定刻の15分前。…何をそんなに焦っていたんだろう。

 

うちに帰ってきてふとホテルで貰った領収書を見てみた。そこに書かれた名前を見て絶句。

 

 

メールが届かなかったことからしてスペルミスがあることは明らかだった。でももはやスペルミス…とかいう次元の問題じゃないな。ここまで気持ちよくテキトーな名前を書かれたのは初めてです。あれだけ何回も確認したのに…。