ちょうど日も暮れかけた頃に長崎市内に到着。夕方の渋滞に巻き込まれつつもお宿に到着。本日から二連泊するお宿はJRホテル長崎。はい、駅ビル直結のホテルです。なぜここにしたか、それはですね、新しくなった大分駅にもできたJR九州ホテルブラッサム大分というのがあって、ちょっと気になっていたのです。なので、長崎で試してみようかと。
嫁は駅直結のホテルと聞いていい顔をしなかった。あとで理由を聞いてわかった。ドイツの大都市の駅って夜遅くまで店が開いていたりして便利な反面、行き場のない酔っぱらいとかあまり歓迎されない面々がたむろしていたり、騒いでいたりとあまりいい印象は受けないのよね。そこに車なのに好き好んで泊まるって莫迦なの…って話。
結果から言えば、正直大正解だった。当たり前の話交通至便…なのです。だって駅ビル直結だもん。
駅ビルにはアミュプラザ長崎というJR九州が経営するショッピングモールも入居しており、中には西友から、メトロ書店という本屋さんから東急ハンズに至るまでいろんな店が入っている。
当然のことながらドイツの中央駅のように治安にいらぬ不安を抱く必要があるはずもなく、良かったです。
強いて難を言えば、その便利な場所故に駐車場がやや面倒だった。ホテル専用の駐車場はなく駅ビルの駐車場を共用。駐車場は混雑しており停めるのはやや面倒。一泊1000円と有料で、かつ、途中出庫のためには駐車券をホテル受付に持参し一時精算が必要でした。
夕飯は、件のアミュプラザのレストラン街の中にある定食屋百菜 旬というお店。個人的にはJRが経営して上海にも支店があるといううまやが気になっていたのだが、嫁がこのなんともつまらなそうなお店に行きたいというのだから仕方がない。
ごめんなさい。つまらなそうなお店とか書いて。普段白ご飯など食べつけていない私にとってはまあまあ美味しかったです。非常にお財布に優しいお店で、確か飲み物までついて3,000円しなかったんじゃないかな。ちなみに、このレストラン街とホテルを直結する「抜け道」があり便利でした。
そののち、嫁が部屋で一休みしたいのをいいことに、一人でゆっくり本屋さんを物色。ついでに東急ハンズで午後9時の閉店まで粘る。今回一人になれる時間はほとんどなかったのに、わずかな一人になれた時間に本屋さんとハンズとはまさに至福のひととき。
部屋は、まさか私たちがクレーマーに見えた…というわけじゃないんだろうけど、今治に続いて広い「デラックスツイン」にアップグレードされまして、たいそう快適に過ごすことができました。今回の帰省、宿についてはすべて当たりでした。
翌朝。朝食付きのプランにしても良かったのだけれども、駅前でなんでもありそうなので、この日は素泊まりに。
ところが。朝食をやっているお店って意外と少なかった。駅構内にロイヤルホストがあるのだけど、そこはホテル指定の朝食会場。つまり、明日の朝食は否応なしにそこになる。駅前の大通りを歩道橋で渡り、繁華街…と思しきところに行ってみるが、ほとんどすべての店が閉まっている。
そんな中で見つけた喫茶店。点燈夢詩。もうこの当て字からして昭和臭がぷんぷん向こう半径50メートルに匂ってます。
店内は…名前から推察される通り完全に昭和の喫茶店でした。今日び見かけなくなったピンク電話まであるし。昭和枯れすすきの私としては、落ち着きます。この雰囲気。
お店を切り盛りしていたおばあちゃんというと失礼な、でもおばちゃんというには無理がある年齢の女性、実に気さくに話しかけてきてくださいまして、何の変哲もないながらも満足できるモーニングをいただく。
さあ、充電完了。長崎一日観光に出発進行。
長崎の公共交通機関と言えば路面電車です。当たり前の話、長崎駅前は路面電車に乗るのに至便な場所。路面電車の1番から5番に乗り換えてグラバー園へ。
この路面電車。築町で降車時に申し出れば乗り換え券というものがもらえる。これを呈示すると乗り換えた路面電車での運賃は免除される。つまり、路面電車に2本乗って運賃はわずか120円というとんでもない安さ。
大浦天主堂下駅にて下車。ここから徒歩でグラバー坂へ。修学旅行生がカステラ屋さんに大挙しているのを見ていたら試食どうぞと勧められ、そのままカステラを数本購入。持って帰って気がついた。ちっちゃい。ただし、かなりの量を試食したので文句は言えないと思う。
そして到着したのが大浦天主堂。入場料だか拝観料だか600円を払って中に入る。
ふーん。
…予習も何もしてなかったのでそれで終わり。なにせある意味教会の「本場」であるヨーロッパに住んでるからすごい教会はいくつも見てる。いや待て、あれは日本に現存する最古の教会なんだ…とか言うんなら、もうこんな感じで和洋折衷になっていればそれはそれで印象に残ったかもしれない。
というわけで、誠に遺憾ではございますがもうこの教会のことは忘れました。ただ「入場料が高かった」とだけ記憶されております。
この「入場料が高い」という印象をさらに強くしたのが、次のグラバー園訪問。狙ったのか偶然なのかは知らんけど、大浦天主堂からそのまま入れるグラバー園も入場料600円なのよね。同じ600円ながらこちらは見どころたくさんで、市内各所から移築されてきたという建築物も興味深かった。
それにしてもさあ、どんだけ怠け者なの。丘の中腹にあるグラバー園を楽に回るために、エスカレーターにベルトコンベアにと、人間をダメにする設備が整っており、施設の一番上までなんの苦労もなく登れてしまった。それだけ言うなら自力で登ったんだろうな…とかいうツッコミは不要です。
ええっと、グラバー園の内部にもちょっと触れたほうがいいのかしら。
こんな感じの江戸末期から明治の頃に建てられた建物が移築されてます。
ただ建物よりも、市内の眺めのほうが良かった気がします。
そののち、オランダ通りからオランダ坂通りへ。
こんな感じの生活感のある通りを抜け、中華街へ。
そして、例のさだまさし氏御用達の江山楼へ。
お昼時だったこともあってか20分以上待たされる。待った挙句に向かいの新館に案内される。
私は名物の王さんの特上ちゃんぽんと、嫁は
…たぶんパンメンだと思われます。ちゃんぽんは間違いなくおいしかった。嫁のも一口もらった感じではおいしかった。なんだけど、店員さんが持ってきてくれた時に
「こちらがフカヒレ入りちゃんぽんです。こちらにフカヒレが乗っております」
とやたらめったらフカヒレを強調される。フカヒレって、そんなに高級品なの?我々庶民はフカヒレと聞いたら「ははー」っとひれ伏さないといけないの?食べてみると…なんだろ。なんかコリコリしたキノコでもこんなのなかったかしら(さして美味しいとは思わなかったらしい)。
そののち徒歩で商店街へ。商店街の中にある浜屋百貨店にすーっと吸い込まれてしまった。その理由は…
…デパートのキラーコンテンツ、北海道物産展をやっていたから。ほしかったものはマルセイバターサンド。案の定売っていたので買う。
こんなこと言ったら百貨店勤務の方に石を投げられそうだけど、私にとってのデパートの存在意義はデパ地下と北海道物産展のみ。例えばデパートが2階建てに縮小されて、1階が北海道物産店の常設、そしてデパ地下…とかになっても困らない。家電ほかならヨドバシカメラに行けばいいし、服ならユニクロで充分。最近のデパートの不振を見るに、同じように考えている人は結構多いんじゃないかと思う。
そんなわけで、デパートとしては北海道物産展をやっている最上階の催事場からエスカレーターで各階を買いまわってほしかったんだろうけど、エレベーターで催事場へ行き、エレベーターで降りてきてしまいました。
催事場がある階にはこんな昭和なものがありました。看板のファミリーレストランのフォントからしてもう昭和です。
ところで、このアーケードつきの商店街、実はちょっとした特徴があるのです。
…そう、なぜか国道だったりするんですよね。階段国道とかが有名にだったりするけど、この日本にたった二箇所しかない「アーケード国道」ってのもごく一部の人には有名だったりするんですよね。並行して路面電車も走る広い道があるのになぜこちらが国道指定され続けているのか謎です。
そして、八坂神社に崇福寺と見学。思えば、さっきの大浦天主堂に始まり、教会から神社、寺と、日本人的宗教ごった煮状態。
八坂神社の境内は、ゴミどころか枯れ葉1つ落ちていない美しさで、この辺はもう「さすが日本」と感心するばかり。
八坂神社に行ったのは単純な理由。ここから引き続き崇福寺にアクセスできると思ったから。なので、この階段を登ったのだが、実はつながってなかった。この階段をまた降りて、大回りして崇福寺へ。
地図で見る限り、隣り合っていそうなこの2つの施設、なんでつながってないのかはよくわかった。崇福寺の門をくぐったところにヒマそうにテレビを見ている守衛室みたいなものがあり、そこを通過しようとしたら「おいっ」と怒られる。拝観料を払うらしい。その旨明示してないし、あんたが私たちが来てもこっちを見ようともしないからわかんなかったんだよ。…逆ギレと言われれば返す言葉もございませんが、この御仁のお陰で崇福寺の印象はよろしくない。
このお寺、入口の門にびっくりしたのだが、中もびっくり。
この写真だけ見れば、中国のお寺…と言っても信じてくれるでしょ。
だいぶ歩き疲れたので路面電車に乗り、お次の観光名所、眼鏡橋へ。
この橋、私の記憶が正しければ、私がコドモの頃に洪水で流されていると思う。そんなニュースを見た覚えがある。それはともかく、なるほど、水面にキレイに反射して眼鏡になってますな。
一度ホテルに戻り、日が暮れるのを待って車で稲佐山へ。稲佐山から夜景を見ようという魂胆。駅ビルの駐車場から車を出し、稲佐山へ。ホントはロープウェイを使ったほうが趣があると思ったのだが、ロープウェイまでのバスの本数が少なく、また、市内のホテルからシャトルバスも出ているらしいのだが、時間に制約が出るわ、車で行ったほうがはるかに安いわ(駐車場代が200円とかに対し、ロープウェイやバスを使うと二人で2500円とかかかる)で、車で行くことに。
日本三大夜景とかなんとかいうだけのことはある。キレイでした。
で、ホテルに戻り、朝直を食べた駅前の通りに。朝通った時は飲み屋さんがたくさんあったので夜はさぞかし賑わっているかと思いきや…なんだか寂しい。まあ、月曜日の夜から飲み歩かないか…。なんかどの店もぱっとせず、消去法的に長崎港という居酒屋さんに入ろうとするが、「準備中」の札が下がっている。だけど、中にはお客さんがいる。どーなってんだ?
「すいません。いいですか」と聞くと、「どうぞ」とのこと。入る。ふと見ると、唯一いたグループのお客さんはアジア系の外国人。表に出ていた店員さんもやはりアジア系の外国人。別に今日び外国人の店員さんも外国人客も珍しくはないのだろうけど(しかも自分の嫁は外国人)、なんか不思議な感じがした。その店員さんに準備中の札のことを指摘したのだがいまいち要領を得ない。
嫁はなぜかエビフライ定食を食べ、私はおつまみセットを注文。安い居酒屋さんのこと、文句を言うのが間違っているんだろうけど…嫁は明らかに不満顔をしている。私だって、おつまみセット以外追加の注文したいと全く思わなかった。もちろん日本のこと、冷えた生ビールは美味しかたけどね。
しょうがないから、ホテルの階下のアミュプラザのレストラン街でお茶でもするかと提案すると、ぱっと輝く嫁の顔。わかりやすい。
…あーあ、夜にケーキなど食っちゃってまあ。
それにしてもお隣のインド料理店が謎だった。
インド料理、ミラノ。長崎市民は疑問に思わないのだろうか。そしてよく見るとカツカレーって。…もうこうなると狙っているとしか思えない(はいはい、豚肉を食べるインド人だっていますよね)。
翌日はホテルの朝食会場に指定されているロイヤルホストへ。ハッシュブラウンとトーストなる朝食を食べている嫁を横目に、調子に乗って朝カレーなどを食べるアホな私。かなり奇異な目で見られましたが…美味しかったからいいや。
朝食の後、有田町へ。この日はありがとうゲイ祭り(打ち間違いによる誤変換なんだけど、おもわず噴いたから残しておく)有田陶芸祭りが開催されているという有田へ。ちなみに正しくは「第13回秋の有田陶磁器祭り」らしいです…ぜんぜん違うやん。
ちなみに、途中から一般道を使ったんだけど、高速を使った場合は一昨日と同じ波佐見有田インター利用になる。インターが峠のてっぺんにあり、南に山を降りたら波佐見で北に降りたら有田。つまり同じようなところに戻ってきたわけです。
この日、今回の帰省で最初で最後の雨の日だった。しかもけっこう本降り。そんな中、向かったのは自称「有田焼のショッピングモール」有田陶磁の里プラザ (有田焼卸団地)へ。
その名の通り、卸売の店が並んでまして、ゆっくり見て回りました。そして散財させられました。
こののち有田の街の中の探索…と行っても良かったのだけどなにせ天気が悪かったので、そのまま大分に戻りました。ちなみに600キロ以上走ったのですが、高速道路で安定走行していたせいか燃料の消費が少なく、なんとか給油無しでうちまでたどり着くことが出来ました。