【思いつき提言】宅配便問題解決の秘訣はRyanairにあり

最近の日本のニュースを見てると、宅配便のシステムが破綻しつつあるらしいです。難しいことはわかりませんが、それでも傍から見ていて思うことは明快。そりゃ、最低の料金で最高のサービスを提供できるわけがない。

 

宅配便の最大手の業者が「お客のワガママ届けます」なる宣伝文句を使っていた時期もありましたけど、あの文句通り、時刻指定など、ヒコーキで言えばサービスがビジネスクラス並みに進化したのに料金はLCC並…というのが根本的な問題ではないかと。

もうシロート目にも解決方法は単純明快なんです。現在の最高のサービス水準の維持を希望する人には値上げという形で負担をお願いし、現在と同じ水準でのサービスを希望する人には値段相応のサービスのみを選択してもらうしかない。そしてもう一つは、あの複写式の送り状に見られるように、いまだに近代化ができていないのが問題だと愚考。この際、ガラガラポンの大改革が必要なんじゃないかなと思うわけです。

 

具体的には、再配達や時刻指定などを「付加サービス」として有料化、現在の配達日数を「特急便」扱いにして、それに対して「通常便」を設定する…などです。表題にもある通り、このあたりのやり口はLCCがかなり「先駆者」なんですよ。めちゃくちゃ大雑把には同じ「運輸業」なんだから、学べるところは多いのではないかと。やや唐突感がありますが、Ryanairがいちばん「進んだ」LCCだと思われるなので名前を借りました。ちょっとRyanairでの旅行を仮想体験してみます。

 

まず予約。予約はネットのみ。予約をします。もし、座席指定や荷物の預け入れをしたい場合は追加料金を払って行います。これ、宅配便で言えば、集荷依頼はネットのみ。時刻指定や再配達のような付加サービス扱いになるかと。

 

出発2週間前から搭乗券の発行がネット上でできます。自前のプリンターと紙を使って印刷します。これは「義務」です。自前の搭乗券無しで空港に行った場合、70ユーロの手数料という名の罰金を徴収されます。ここは、荷物伝票の廃止。QRコード化に対応。

 

空港では預託荷物があればカウンターで預けます(別料金)。ない場合は事前に印刷した搭乗券を使い保安検査場を通過して搭乗口へ。希望するなら追加料金を払って優先搭乗ができます。宅配便で言えば、日付指定とかになるのかな。

 

機内では希望するなら機内食なり飲み物を追加料金を払って何か買えます。ここは、クール便とかの付加サービス。

 

もう上の数行に宅配便業者さんが進むべき道が明示されているんです。

 

もうちょっと具体的に考えてみます。話の進め方としてこうです。某最大手の宅配便業者さんからマスコミ発表をするわけです。

 

「昨今の荷物扱い量の増大(うんぬん)などにより、弊社の経営努力のみではいかんともしがたく、やむなく料金を値上げさせていただくことになりました。翌年X月より、料金を一律2倍とさせていただきます」

 

…別に2倍に現実味がないなら1.5倍でもいいけど、それくらいのインパクトがないとダメな気がするんです。まあ、現場の方の声を集めれば、1.5倍はやむを得ないという空気は作れるんじゃないかなと。

 

これだけだと、当然大反発を喰らいます。ここで、なんですよ。宅配便のLCC化を宣言するわけです。

 

「ただし、送り主、お届け先様が双方弊社会員の場合は『会員割引』をご利用いただけます」

 

この会員というのは、スマホにアプリを入れてくれた個人、あるいはコンピューターにソフトを入れてくれた個人または法人のこと。会員はLCC的な新サービスをご利用いただけますと。

 

会員は集荷を頼みたい時は、このアプリを使って、荷物の大きさや相手先などを入力。ミソは再配達も時間指定もないような付加サービスのない会員宛の荷物は現在の水準よりも若干安くなる程度の価格設定にします。そう「確かに大幅値上げとなりますが、ご利用方法によっては値下げになります」という大義名分ができると。ECサイトなども同様。

 

希望する人には再配達オプション、時間指定プションなどを相応の値段を払ってつけてもらうと。当然、時間指定も午後7時以降や週末などはさらに追加料金の対象です。「私は勤め人なんだから、その時間じゃないと家にいない!」という方、そんな時間に配達員さんに家で夕飯を食べてもらうのではなく配達していただいていることに対してその対価を払うべきだと私は思います。逆に、トラックのスペースが空いている時のみに扱う「のんびり便」割引とか新設してもいいかも。

 

さっきから会員がどーこー言い続けてますけど、こんだけスマホが普及しているんだから、また日本的なガラパゴスサービスを普及させるいい機会だと思うんですよ。

 

まず、日本人はなぜかポイント大好きです。ここで、たとえば、再配達オプションを選択したのに再配達しなくて良くなった場合には全額じゃないまでも、ポイント付与。で、そのポイントは貯めれば次回以降の時間指定などに利用可…などとします。そう、会員アプリの利用で、今まで送り主または受取人どちらかしか払えなかった配送料を、双方が払えるようにできるようになるわけ。この方法で、例えば、オンラインの業者さんは基本料金のみを払い、もし受取人が配達時刻指定をしたければ自分で追加料金を払う…というような利用も可能になります。サービスそのものにもポイント付与で顧客の囲い込みを狙いつつ、再配達の有料化への文句を減らします。

 

そんなこすい使い方だけじゃなくて、このアプリ上で送り状を作り、送り状はQRコードかなにかにします。あの、お金のかかっていそうな昭和的な複写式の送り状は廃止。そのコードを使えば、送り主、お届け先双方が荷物の場所を逐一確認可…とします。

 

で、ここが最大のアプリのウリ…なんですが、配達員さんが、自宅、またはマンションの前に「荷物を下ろす前に」「ピンポン」ボタンを押します。ドアベルの代わり。この時点でたとえばアプリ上でカウントダウンが始まって一定時間以内に反応がない場合は不在扱い。ドアの前まで行き不在票を書くこともなくアプリ上に「不在連絡」を出しておしまい。これで配達員さんの苦労が半分とかになるんじゃないだろうか。ついで、「家にいたのに配達に来なかった」とかいうクレームを撃退できます。

 

このアプリのおかげで、たとえ時刻していない荷物でも、プラスマイナス1時間位の精度で「配達時刻指定追加料金を払っていただいていない限り保証はないものの」おおよそこの時間に配達しますよ…と配達状況により配達予定時刻が逐一アプリ上に更新され、ついでに、家のドアベルは迷惑セールスかマルチまがいかわからんから出たくない…という人も、スマホのアプリなら相手がはっきりしていますから居留守を使う必要もなくなる。同様に、配達員さんから電話連絡があったとしても「知らん電話番号には出ない」という人も、アプリ上なら安心して応答ができる。そもそもアプリ上で自動で配達予定時刻がわかっていれば連絡する必要もないし。

 

ここで問題になるのは、老人などの「スマホアプリなど使えん」という人たち。こーゆー人たちには旧来のサービスを残す必要は確かにあると思いますが、ここでLCCの割り切りが重要になってくるわけです。

 

最初に書いたとおり、某Ryanairなど空港に搭乗券を持ってこなかった場合70ユーロですよ。もう搭乗券を持ってこない客など切り捨てているわけです。同様に、スマホを持っていない旧来のサービス利用希望者は料金2倍にしてしまっていいと思います。実際料金2倍にしてもおかしくないようなことを今の料金でやっているのが根本的な問題だと思いますので。もしあんまりだというなら、経過措置として2倍となった従来サービスに「シルバー割引」(ただし「ゆっくり便」のみ)などを新設してもいいかもしれません。

 

…以上、「こんなこと現実にできるわけ無いだろ」と現場の方には鼻で嗤われそうですが、これくらいの改革が必要な気がするんですけどねえ。知らんけど。