突然愛用のデスクトップコンピューターが壊れました。電源を入れようとしてもうんともすんとも言わない。いや、正確に言えば、中から、おそらくプロセッサー周りから小さなきゅいーんきゅいーんという電子的な異音がして、前面のパネルの3番が点滅してる。
会社でもDellのコンピューターを使っている…ってか管理をしている私、ほかは知らぬがDellのコンピューターに関しては語れます。3番が点滅している場合はプロセッサーの異常だ。わーい。原因がわかったぞ。オレって天才?ばんざーい、ばんざーい。
…って問題はぜんぜん解決してないな。
私が清水の舞台から投身自殺をしたつもりで買ったこのマシン。忘れもしないあれは1年前の2月だった(とDellのサイトに書いてあった)。Quad coreのプロセッサーに8Gのメモリという構成は当時としてはけっこう高性能だったし、今だって決して悪くないもんだろう。なにせあの評判の悪いVistaがさくさくストレスなく動くんだから。
そりゃ16ヶ月に渡りほとんど電源入れっぱなしで酷使してきたよ。だけどさ、まだ壊れるには早いだろう。ましてや、マシンの心臓部ともいえるプロセッサーが壊れるなんて。
幸いにして3年の長期保障を選択していた私は早速Dellのテクニカルサポートに電話。私が見る限りでは日本でのDellのテクニカルサポートの評判は散々のようですね。だけど、少なくともアイルランドではそんなに悪くないですよ。まあ、私のように完全にマニュアル化された対応が気になる人はあまりいい印象を持たないかもしれませんが。
もう100回はいかにも大袈裟だけどそれに準ずる回数ここに電話している私、向こうの聞いてくることはわかってます。電話をかけるなり先制攻撃。
私:「かくかくしかじかで3番が点灯して電源が入らないの。すでにメモリーを全部はずして再起動したり、USBケーブルを全部外したり(中略)したけどダメでした。いったいどうしたら、よいのでしょーか?」
ちなみに上のたった三行で電話での所要時間を20分くらい短縮してます。先んじて言わないと永遠に終わらないと思われるテストに永遠つきあされます。私の中では初めに結論ありきなのです。どーせマザーボードとプロセッサー交換なんでしょ。
私の中ではDellはLegoブロックの感覚で部品を交換します。つまりね、Dellはどっか壊れたときに、その原因を追究することなしに、問題と思われるあたりの部品をレゴのブロックよろしくごっそり換えてしまうのです。それが正しいかは知らんけど、この方法なら熟練した技術者は要らない。
なんかいまいちピンと来ないという人のために別の言いかたをすると、たとえばコンピューターが機械的な理由で動かなくなったとするじゃないですか。で、一日費やして原因となっている部品を見つけることはおそらく可能です。だけどさ、一日高度な技術者の人件費費やして壊れた部分を探すくらいなら、壊れていると思われる部分を周辺まで含めていっぺんに換えてしまえば時間はかからないし、熟練した技術者もいらない。この考え方にDellは立っているわけ。
おそらくその考え方に立って、マシン前面の自己診断のランプも作られているんだと思う。3番が点滅してるんだからプロセッサー。ああ、なんてわかりやすい。
かくして20分程度で通話完了。通常は翌日に交換部品を送ってきたり、技術者を送ってくるのだが、この日は退社後の夕方ということもあり、翌日は無理で翌々日に会社が技術者が来ることに。マザーボードの交換くらい自分でできるけど(しつこいけどレゴブロックと同レベル)来てくれるというんだからありがたくその提案を受け入れることにしましょう。厳密に言えば就業時間中に自分の個人用のマシンの修理したらまずいもんね。
そして翌々日、Dellから委託されたおっちゃんがやってきた。忙しい私はおっちゃんに場所を提供して「後は任せた」状態に。数十分後、おっちゃんがやってきた。
「マザーボード、およびプロセッサーの交換が終わりました。動作確認をしていただきたいのでいっしょに確認してもらっていいでしょうか」
はいよ。というわけで、一緒に電源を入れるおっちゃんと私。
…
しーん。無反応。
いや、無反応なんじゃない。電源を入れるとプロセッサーのあたりから小さなきゅいーんきゅいーんという電子音が聞こえる。つまり、前と同じ。状況は一向に改善されていない。
顔を見合わせる二人。
おっちゃん、音の出所を探し始める。そして…
「これって、PSUの異常じゃないですかね」
私も確認してみると、ホントだ、音はPSUから来てるぞ。
(参考画像。これがPSUね。壊れているので、見分けがつくように私から思いっきりバツ印つけられてます)。
PSU、略さず書くとPower Supply Unit、つまり電源ユニット。やられたー。3番の点滅に騙された。そう、電話受けの技術者も私もこの3番の点滅に幻惑されて、まったく的外れな結論に至って、その間違いに気がつかないまま、マザーボードを持った別の技術者が送られてきた次第。
おっちゃん:「どっかに同じモデルはないの?」
なるほど。ほかの動いているマシンから電源ユニットを移植すれば元に戻るな。だけどすいません。そのマシン、何を隠そう私の私物なんです。会社内には同じマシンはございません。いや、どうせレゴブロックの集大成のDellのマシン、電源ユニットもおそらく会社内にある別のマシンと互換性があるだろう。だけど、それはあえて言わなかった。
おっちゃん:「それじゃ、月曜日にまた帰って来ますんで」
あれ?交換したマザーボードやプロセッサーはどーすんのよ?
おっちゃん:「もうそのままで」
うそっ。不良でもなんでもなかった、マザーボードにプロセッサーも無償で交換してくれるってこと?めっちゃラッキーでね?
こうして、いい加減王国のデタラメサポート(たぶんダブリン郊外のBrayのサポートセンターにつながった)と私の思いこみのおかげで、私のマシンはほとんど新品に交換されることに。だって、こうなると、交換されないのはマシンの箱そのものと、ハードディスク、DVDドライブ、メモリくらいのもんですよ。
このマシン、実は、最初に初期不良を疑ったんですよ。電源を入れた瞬間に大きな回転音が電源部からするんですよ。会社だと目立たないのかもしれんけど、静かな自宅で電源を入れるとそのうるささがとっても気になります。で、電源部を変えたのでこれが静かになるかと思いきや、相変わらずです。どうもこのマシンはうるさいのが標準なようで。