かくして、上海に到着。まずはリニアモーターカーで市街へ。ちなみに、地下鉄1本で市街地まで格安で行けるのだが1時間かかるし、何より会社が金を出すんだから知ったことかと…というのは暴言にせよ、地下鉄駅からホテルまで結構な距離があるのでスーツケースをがらがらやりながら歩きたいとは思えなかった。
時速300キロで数分の旅。市内の駅へ。ただ、ここから結局地下鉄に乗るかタクシーに乗るかになる。会社が金を出すんだし当然タクシー。
(後述しますが、こいつは悪人ですので遠慮なくご尊顔を載せてさし上げます。こいつと乗ったタクシーはグルだったと言い切れる自信がある)
高架駅からタクシー乗り場に降りると、係が早速どこに行くのかと聞いてくる。ホテルの名前を告げると400元(ざっと8000円)とか言い出す。待て待て、お前、白タクか。馬鹿言ってんじゃねえと行灯のついたフツーのタクシーに乗る。どうも客引きを振りきったつもりがその手の中にはまっていたみたいなんだけどね。
ホテル名を告げると…中国語でなんか言ってくる。悪いが中国語などニーハオくらいしかわからんぞ。すると英語で、「チャイニーズマネーオンリー。スリーハンドレッド」とか言い出す。
残念な私、この時点ではまだ数年前の感覚が取り戻せていなかった。つまり300元?なんかおかしいぞ。確か前回市内から空港に直で行った時ですら200元とかだった気がする。数年のうちにそんなにインフレが進んだのか?とりあえず、メーターをちゃんと使うように言い、出発。
ところが…メーターを使っていない。こりゃやられたな。降りるとき喧嘩だなと覚悟。ホテルのドアマンに加勢してもらって乗り切ろうと決める。
(まあ、上海に行ったことのある人、ちょっとでも調べたことがある人ならどのホテルかはバレバレかと。私には「A列車で行こう」に出てきた高層ビルにしか見えなかったが…)
30分後、ホテルに着いた。いや、正確には着いていない。フツーホテルに着いたら車寄せに行くよね。ところがこのタクシーは悪いことをしている自覚があったのだろう、ホテルの近所の路上で私を降ろそうとする。ホテルにちゃんと行くように言うと、目の前の高層ビルを指差す。で、メーターにはなぜかぴったし300と表示されている。ふざけんじゃねえ。
お前、そこで待ってろと言い残し、ホテルに走っていく。ところがそこはホテルの入口じゃない。この高層ビル、50階だか以上がホテルで、他はオフィスとかのよう。そう、この運転手、わざわざホテルの入口ではない側の、しかも通りに車を止めやがったの。本気で悪質。
結局、建物を3/4周してようやくホテルのドアボーイさんを発見。助けを乞う。
私:「リニア駅からタクシーで300元請求されてるんだけど、これって正当ですか?」
ドア:「高すぎです。もう払ってしまったのですか?」
私:「いや、まだです」
するとドアボーイさま(「さん」から「さま」に格上げ)、タクシーまで出向いて交渉してくれることに。もう彼が神に見えた。
ところが、通りに戻ると、タクシーがいない!冗談じゃない、仕事のノートパソコン他全部トランクに残したままだぞ(さすがにパスポートだけはポケットにしまっていたが)。確かに5分かそれ以上経ったけど、いなくなるか?
(悪徳タクシーの車内にて。ちゃんと顔を撮ってやればよかったといまさら後悔)
ただ、私は喧嘩することは予測できていたから、タクシーの車内で登録番号を控えておいた…というか、写真に撮っておいた。アコギなタクシーだから遠慮なく晒させてもらう。こいつ。
困ったなあとタクシーを探すと、通りを曲がった先にいた。よかった。私がドアマンと戻ってきたのを見ると運転手は降りてきて、ものすごい鬼の形相で…
サーティセブン
…と英語で叫ぶ。え?37元?待て、300が37?(6000円が700円)2倍とかじゃなくてサーティーセブン?10倍近くもぼったくろうとしてたの?しかも、である。ちゃんと37元のレシートが出てきた。さっきの300の表示は何だったのよ?
(37元のレシート。これが本物なら個人が特定されるか知らんが、悪人の人権など知ったことじゃありません)
100元を渡すとくしゃくしゃの50元と10元札を投げつけんばかりに寄越してきた。こっちも、あと3元ちゃんと返さんかいとよっぽど言おうかと思ったが、その時点で解放。
いや、びっくりした。だって、流しで変な白タクを捕まえたとかじゃないんだよ。駅の正規のタクシー乗り場で、ちゃんと行灯のついたタクシーに乗ってこの状態。
この話を上海の会社のマネジャーにすると、空港から会社まで500元をぼられた人もいるらしい。ただ、これは距離もあるから2.5倍くらいのボッタクリなのね。私の場合は10倍だから…文字通りのケタ違いと言っていいかも。数年前に来た時はタクシーに何度も乗ったけどこんなことは一度もなかったからちょっと驚いた。
実はこの数時間後、ドバイから来た同僚が、空港に到着。全く同じようにリニアに乗ってタクシーに乗るという。電話で「絶対50以上払うなよ」と言っておいたのだが、なんと、まったく同じ手口でやられたらしい。しかも400元。かなり路上で喧嘩したが負けてしまったらしい。まさか同じ運転手だったのかと思うくらい状況は同じ。そのせいでこの同僚、それ以降上海でタクシーに乗るのがすっかり怖くなってしまった模様。
ちなみにこの私の車のトランクに荷物を載せたまま助けを求めに行ったのはかなりの悪手だったと助けてくれたドアマンが数日後に教えてくれた。というのも、件の悪徳タクシーは私の荷物もろとも走り去っていた可能性が高かったとのこと。待っていたのは本当に運が良かったと。
んじゃ、どうすればよかったのかを聞いてみた。レシートを貰ってあとで抗議というのもダメらしい。レシートそのものが偽造の可能性があるとか。その場で警察を呼ぶしかないのだが、そんなことをすると、今度は誘拐されてしまう可能性があるとか…。
私も乗った瞬間に感じた違和感に正直であればよかった。まずね、助手席に乗ることを拒否されたの。理由は後で気がついた。メーターを見られると困るから。しかも、メーターはレシートで隠されていた。
更に、このタクシーに行灯はついていたが、大きな会社のものではなかった。これだとライセンスの又貸しをしている可能性があるんだと。なので大手の会社のタクシーを選んで乗ったほうがいいらしい。…そうは言ったって、順番で乗るんだからどーすればいいんだ…という思いはあるんだけどね。とりあえず、上海のタクシーは正直とかいろんなサイトに書いてあるけど信じちゃいけない。そりゃごく一部なだけかもしれんけど、カスが確実にいます。
話をホテルの裏側の通りに戻す。そこで無事に荷物をタクシーのトランクから取り返した私は、ホテルへ。ドアマンさんが(それが仕事なのかも知らんが)荷物を持って行ってくれる。荷物と別れて私だけエレベーターに乗り53階の受付へ…って受付53階かよ。
(自分の部屋からの風景。空気が汚いから遠くが霞んでいる)
ホテルの部屋は68階。
クール…などと言うなかれ。私がさあ、小学生の低学年の頃だったろうか、テレビでタワーリング・インフェルノという映画をやってたのを見ちゃったのね。ものすごく平たく言うと130階建てとかの高層ビルの80階とかで火災が発生して、そこから上のフロアに居る人が取り残されちゃうのね。
エレベーターに殺到した人が1階に着くとみんな焼け死んでいたりとか(しかも、ひとりだけエレベーターからよろよろと出てきて事切れるのよ)。あれは小学校低学年の子供には辛かった。しかも、その直後かなんかにホテルニュージャパン火災が起きてこれも衝撃的だったし。しかも、こんなことを書いたら怒られるけど、彼の国だよ。いざ火災が起きた日には悲惨な結末しか予測できない。
ちょっと追記。たぶんリンク先はすぐに消されるだろうけど、つい最近テレビでこの火災についての特番が組まれたらしいですね。
そんなことを思いつつ、部屋のワードローブに服を突っ込んでたら、ワードローブの奥にとんでもないものを見つけた。
火災用防煙マスク。
…ええっと、これで、何をしろとおっしゃるんですかね。部屋で待機して煙に巻かれずに身体を焼かれるのを待てっていうんですかね?
タワーリングインフェルノ、懐かしい!
スチーブマッキーンとか、ポールニューマンとか出てましたね。何度もみましたが、我先に逃げようとする典型的なダメ大人とか、自らを犠牲にしても人を助けようとする英雄とか、子供ながらにみてて感じるところがありました。最後は水がジャブジャブするんでしたっけね。
あの映画、いろいろ示唆に富んでますよね。本文中にも書いたように、火災の時は(非常用エレベーターを除き)エレベーターで避難してはいけないとか、初期対応の重要性とか、安全のコストをケチってはいけないとか…思えばこれらの教訓はそのままホテルニュージャパン火災にも当てはまったりするんですけど。
そう、最後。これも子供の時に見て妙に印象に残っているのは、屋上のタンクを爆破して水を流した時に、柱が倒れて気の毒にも倒れた柱で亡くなった人がいましたよね。あの理不尽さも忘れられません。
ごぶさたしております。
海外のタクシー、困ったもんです。
以前に台湾に行った時に数回タクシーを利用したのですが、明らかにボラれたのが1回、たぶんボラれたと思われるのが1回、割合にして3分の1くらいボラれました。
台湾でさえこの状況ですので、大陸の方などは推して知るべしというところでしょうか。
逆に、ブッシュミルズ蒸溜所に行った時、ポートラッシュ駅から蒸溜所までタクシーを使いました。(なぜかというと、列車が遅れて接続しているバスに間に合わなかったという、誠に彼の国らしい理由ですw)
このタクシー、メーターが付いておらず、乗り込む前に料金交渉をしなかったので、いくらボラれるかドキドキしていたのですが、結構な距離を走ったのにもかかわらず、5ポンドですみました。商売ッ気がないのか、人がいいのか、田舎なのか、理由はよくわかりませんが。
ごぶさたです。あれ?コメントがスパム判定待ちになってましたね。
えええ、台湾もダメですか。そーいえば、かのドイツですらやられた(やり返したけどさ)ことがあるし…。
アイルランドでは近場だった時に舌打ちされたとか、ほんのちょっと遠回りされたとかあるけど基本平気でしたね。上海で「ニセの領収書を渡される」というのが衝撃でした。というのも、少なくとも行灯のついたタクシーなら番号とレシートを添えてクレームつければ関係機関がそのクレームにまともに対応しますからね。moppieさんが乗られた白タクは…知りませんが…。