飼い猫「が」噛まれる事件発生

私の住んでいるドイツの某所、とんでもなくイナカなんです…と何度書いたかもうわかりませんが、イナカなんです。


基本、ご近所付き合いは良好です。…と言っても私が何かしたわけではなくCさんの両親がもう何十年もそこに住んでいて、ご近所の親、下手したらその上の代からの付き合いがあるので、そこに乗っけてもらっただけ。例えば私がこの家を買って引っ越してきたら、ガイジンというのも手伝ってそうそう簡単には受け入れてはもらえなかったはず。そーゆー意味では運が良かったと言ってもいいかも。


で、二軒隣に犬がいる。犬種とか聞かないで。私に見分けがつくのはダルメシアンくらいだから。とにかくね、大型犬と中型犬の境くらいの犬と、短足の小型犬。


さあ、2年前くらいだったかな。そのうちの大きな犬がうちの庭に脱走してきて、しっぽを振って庭いじりをしていたCさん母にじゃれついていた。私にとってはほほえましい光景だったんだけど、Cさん母、けっこう怖がっていた。…まあ、けっこう大きな犬だし、それが飛びついてきたら、怖いといえば怖いわな。なので、犬種は知らねどイヌ好きの私は助け舟を出した。こっちに来るようにその犬を呼んで遊んであげましたと。


まあ、その時はそれだけの話だったのね。ただ、Cさん母が、「犬は(つないでおけとは言わないまでも)ちゃんと家で管理してほしい」とぶつくさ家の中で文句を言っていた。まあ、ご意見ごもっとも。


そんなことはすっかり忘れていたのだが、確かにこの犬、たまに気ままに家の前の通りを歩いていたり、ややもするとうちの庭に入ってくる。そして、先週、事件は起きた。


ここの家、日本的に言えば小学校6年生くらいの女の子がいる。で、その子がこの2頭の犬を連れてお散歩でうちの前を通過。うちはうちで、Cさんの姉が遊びに来ていて、ちょうどお暇するところで、家の前に私以外の
みんなが出ていた。猫もいた。私はというと、台所で洗い物をしていた。


台所の窓から外を見ると、Cさんがすごい形相をしている(なにか言っていたかどうかは記憶に無い)。ただならぬ雰囲気を察して庭に出ると、犬が二頭。


私は現場を見なかったのだが、大きい方の犬が、どうもうちの庭に入り込んできて、飼い猫に噛みついたらしいのだ。いや、伝聞系で書く必要はないかも。Cさんの目の前で起こったらしいから。なんでも犬が2回噛みついて、飼い猫を地面に叩きつけ、猫は鼻血出したとか。その残忍な情景は悪い映画のようだったと(Cさん談)。


それからがもう騒ぎだった。猫は地下室の端のタンクの隅に逃げ込んでしまい出てこない。Cさんは獣医に連れて行くとなんとか猫をなだめすかしてゲージに入れ獣医へ直行。


幸い猫の怪我は大したことはなかったのだが、獣医が「鼻血が出ていたというのは悪いしるしですねえ」とか脅したおかげでCさんは夜も眠れない勢いで心配していた。


状況を悪くした、あるいは火に油を注いだのは飼い主のおじさん。


飼い主:「大丈夫ですよぉ。ちゃんと保険に入ってますから。獣医代は請求してくださいねぇ」


…そうじゃねえだろうと。まずここは謝るところだろうと。人の家の前庭に入ってきて飼い猫を噛んでおいて、その言い草はねえだろうと、CさんとCさん姉、大激怒。お怒りごもっとも。


それにしても、飼い主と違って逃げ足が速いうちの猫、なんで噛み付かれたんだろう…とCさんに聞いたら、思わぬ答えが返ってきた。


「あの犬、もともとは猟犬だよ」


…ある意味殺しのプロなのね。ふだんはおとなしい犬ながら、猫を見て、本性を現したというのかなんというか。


私としてはこれ、警察なりなんなりに報告すべき案件だろうと言った。正直犬派の人間の私としては、できれば犬も自由気ままにやってほしいと思うけど、現に人の家の庭にきてその家の飼い猫を噛むようなことをしたのだから、それなりの警告なりしかるべき処分があるべきじゃないかと。


ところが、家長のCさん父がこの意見にいい顔をしない。


C父:「いや、あのお兄さんはいい人だよ。庭になった果物のおすそ分けとかしてくれるし」


…なに果物で懐柔されてるんだか…。問題は全くを持ってそこじゃないだろう。


結局、結論としては、獣医の請求書を持ってCさんとCさん母が話し合いに行った。で、「今回はこれで終わりにしますが、今後何かあった場合は然るべき処置を取らせていただきます」という口頭抗議で幕引きとなった。


まあ、私の中でもちょっと割り切れない思いがあるというか。だってさ、猫は放し飼いにしても良くて、犬はダメってのがなんとなくすでにおかしい気もする。猫も家飼いにすればいい気もするけど、すでに外に出している猫をいまさら家飼いにするのもかわいそうな気がしなくてもない。


こんなイナカですらこうなんだから、街なかでペットを飼うって大変なことなんだろうなあとか思った。