ドイツは今日も雪だった

あけましておめでとうございます。今年ものんびり更新していきますのでよろしくお願いします。
 


大晦日。私は友人と新年を祝うためにベルリンに向かうことにしました。いつもの友人たちと一緒にいるのがマンネリ化したってのがあって、ひとりでベルリンへ行くことに。片道300キロほどを運転してもよかったのだが、ま、めんどくさいし、自分の車じゃないしということもあり、最寄りの新幹線の駅から新幹線(ICE)でベルリンへ向かうことに。これが間違いの元だったとはこの時点での私が知る由もなく。
 


その前日にも車で出かけたのだが、帰り道は外気温氷点下5度とかいうのに雪じゃなくて雨が降っている。氷雨というやつ。…なんか頭の中に演歌が一瞬流れたがきっと気のせいだろう。なーんかイヤな予感はしてたのだ。道、大丈夫かって。
 


翌朝、つまり大晦日の朝、窓を開けてみると…
 

 


…雪ですなあ。が、大して積もってない。
 


何を神経質になっているかというと、実は車を運転しなければいけない新幹線の駅まで片道おおよそ30キロあるのだ。で、私は南国Q州の出身。そう、雪道の運転なんてほとんど経験がないのだ。
 


あ、馬鹿にされちゃあ困ります。私、運転、うまいですよ。…まっすぐ走る分に関しては。矢印みたいにまっすぐ行くだけだったらどこまでだって行けますよ。だけど、バックとか、縦列駐車とか、そーゆーごく一部の行為が苦手なのです。さらに、雪道が苦手なんて一言も言ってません。経験がないだけと言っているだけです。…言ってて虚しくなってきたので続けます。
 


昼ごはんを食べてさあ行こうと思った刹那、いきなり狙ったように降り始める雪。推定外気温マイナス5度。見る見る積もり始める。出かける前からすでに涙目。
 


普段40分ほどの道のりながら、雪、さらには車を駐車するなどの手間も考えて、殊勝にも80分前に家を出た私。が、いきなり困り果てる。
 

 


(一見雪がないように見えますが、ちょうど建物の影になっていたので雪が積もっていないのです。)
 


く、車が凍ってる。
 


いや、アイルランドでも冬には車がよく凍りますよ(今は地下駐車場なので凍らないけど)。だけど、そこで言う凍るってフロントグラスとかが凍るって意味なんです。アイルランドの皆様は大胆にもポットで沸かせたお湯をぶっ掛けてますけど(よくフロントグラスが割れないもんだといつも思う)、そーゆー次元の話じゃないんです。つまりね…
 


…ドアが凍って開かないのよ。
 


ドアが開かなきゃ暖気運転もできない。暖気運転で凍ったフロントグラスを溶かすこともできない。つまり何も始まらないわけだ。悪戦苦闘数分、なんとかドアを開けることに成功。このイタリアのポンコツ車は(人の車なのに言いたい放題)バッテリーを変えても変えてもエンジンのかかりが悪い。ましてや冬の日をや。これまた苦労してエンジンかけて、ガラスの氷はがりがりこすってもこすっても取れない。手が悴んでゆくばかり。
 


今頃雪国にお住まいの読者さんは何を大げさにとお笑いに違いない。だけどさ、冗談でも大げさでもない。信じてほしい。南国Q州に生まれ育った以上、こーゆー経験はできない。ダブリンでも有り得ない。ど、ど、ドイツなんて嫌いだー。
 


なんだかんだで15分かかって出発準備完了。
 

 


が、道はつるんつるんに凍っている。凍った上に新雪が乗っかった状態。大通りに出る前にちょっと強めにブレーキをかけてみると…見事にすべる(受験生諸氏。すまん。だけど、受験生ならこんなもん読んでる場合じゃない)。こりゃ怖いぞ。
 


そろりそろりと大通りへ出る。大通りは昨晩撒いたエンカルのおかげで少しはましかと思いきや…変わりゃしねえ。つるんつるん。
 


さらに国道に出ても状況はぜんぜん良くならない。ああ、せめて自分の車だったらもう少し安心して運転できたのに(ダブリンでお留守番の私の車は無意味にもフルタイム四駆)。ゆっくり走りたい、でもあんまりゆっくり過ぎると列車に乗り遅れる…微妙な速度で走り続ける。
 

 


途中の峠は正直怖かった。日本なら掘割かなんかにしてほぼまっすぐな道を作りそうなところなのに、まあ、ドイツの道は愚直なまでに自然に忠実といいますか、わざわざつづら折れの道を作って山の頂上までしっかりと登る。おかげでこっちは厳寒の冬のはずなのに手に汗握るハメになる。
 

 


今回新発見をした。雪道ではフットブレーキではなくエンジンブレーキを使えば滑ることはないと信じていた。だけど、エンジンブレーキだけでもつるつる滑るのよ(受験生諸君。いいから勉強しろ)。このポンコツイタ車が(いや、イタリア車はカンケーないってば)。
 

 


(おでんのような標識には「事故多発」の脅し文句が)
 


峠を抜けても気が抜けない。よく鹿が飛び出してくる森を抜ける。悪いけど鹿が飛び出してきたら下手によけようとはしないからね。そのまま轢いちゃうからね(状況にもよると思うけどその方が車に大きなダメージを受けても道路外に転落するなどの「最悪の事態」は起こらないと南国Q州出身の私はない知恵を絞って結論を出した)。
 

 


急いでいるときに限って一時間に一度しか来ないはずの超ローカル線の踏み切りに引っかかったりしつつ、そんなこんなでようやく新幹線の駅のある町に近づく…が、ふと気がついた。町の中だからって急に雪が消えるって有り得んよな。ごちゃごちゃした街中はさらに怖い。かくして、片側2車線で往来の激しい駅へまっすぐ向かう道は避けて、別の裏道を進むが、裏道にもあるのよね、信号とか、縦列駐車から車を出そうとするやつとか、道を横断するやつとか(逆に裏道だからいるというのも正論)。正直怖かった。
 


結局数回タイヤをロックさせたりしつつも、それでも定刻の10分前には駅の近所に車を停めて駅に到着。ほっと一安心。いやー、いい経験になったよ。ま、こんな天気だから新幹線も若干遅れているだろうと思って発車案内を見ると…
 

 


ベルリン行き新幹線、運休。
 


orz
 


おーい。ちょっと雪が降っていることは確かだ。だから遅れることだってあるだろう。私だって大人になった(当社比)。だからちょっとやそっとのことでは怒らないよ。だけどさ、運休ってどーゆー了見よ。来ないって。ちなみに後日わかったことによると、この運休は「架線事故」もっと詳しく言えば、架線が凍ってしまったことが原因だったらしい。…ちょっと歌っていいですか。
 


♪まいにーち、ふぶきふぶき、こおりのせかいぃぃぃぃ
 


やむなく別方向の列車に乗り、別の駅から別系統の新幹線に乗ろうとするが、今度はその列車が来ない。25分遅れだって。待てよ。その駅での新幹線への接続時間が24分ってことは…間に合わないってことじゃないか。
 


やーめた。かーえろっ。ベルリンで新年を迎えようなんて10年はようございました。
 


というわけで、駅の窓口に返金を申し込みに行くと、お約束どおり長蛇の列。ようやく順番が来ると…
 


係:「返金できますけどネット経由でご購入なのでネット経由になります。ところで、次の新幹線がもう20分後に来ますよ。こちらはほぼ定刻どおりの運行の予定です」
 


そう、見事なパターンダイヤのドイツ国鉄。駅で40分もぐだぐだしてたら当然の帰結として次の新幹線の発車時刻が近づいてきてしまった次第。そもそも、変更不可の格安券だから返金ができるかどうかも怪しい(だから駅であるならば「不乗車証明」みたいなもんをもらおうと思った。それで返金ができてもかなりの骨折りになりそうな気がする)。しょうがない、次の新幹線が来るかどうかを見極めて返金するかどうかを決めよう。
 


そしたら…来たんですよね。次の新幹線。わずか5分遅れで。いや、だったらなんで私が乗ろうとしてた新幹線は運休になるのよ。フェアじゃねえよ。
 


もともとそうだったのか、2台分の客を背負い込んでしまったからか、やってきた新幹線は大混雑。ようやくコンパートメントに席を見つけて乗車。以下、怒涛の(誇張)ベルリン編に続く。ところで、ひでかすが珍しく別館を更新しております。同じ日(つまり大晦日)はアイルランドでも雪だったらしい。