すでにお忘れかもしれませんが、日本の帰省記が進行中でした。本日、いよいよ(誰も待ってなかったとか言わないでよ)完結ですっ。
そしていよいよ実家への帰省。この日記の長い読者さんはご存知かもしれないけど、私の実家はQ州のO分です。
ここでちょっとしたことが。(無理に誘ったんだけど)3月に夫(わしのじーさん)を亡くした未亡人たる私のばーさんがO分まで着いてくるという。日本航空、全日空ともに、平日シルバー割引なるものが存在する。予約不可ながら、当日空席があれば、65歳以上の人は一区間9000円(12月より10,000円)にて日本国内どこでも行けてしまうという優れもの。これを使ってばーさんはついて来ることに。いいことだ。
80を超えたばーさんにとって空港まで、そして空港内の移動は容易なものではない。が、あんしん、あったか、あかるく元気! を社是とする全日空、ばーさんがとぼとぼ保安検査場の先を歩いているのを見て、電動カートに乗っけてくれた(これにはさすがの私も驚いた)。
なぜかミッキーマウスのテーマソングを流しながら進むカート。私まで一緒に乗って楽をする。
そして、搭乗口では優先搭乗(年寄りは優先搭乗できます)。全日空さん、9000円しか払っていない客にここまでしていただいて感謝しています。経営状態が日本航空同様厳しいことは承知していますが、今後もあんしん、あったかなるサービスを続けてください。そのサービスを続ける限りは、私は全日空を使い続けます。
かくしてO分着。
ばーさんが着いて来たことで、今回はQ州の未だ元気なじーさんばーさんを含め、3箇所の温泉にお連れする。湯平温泉、長湯温泉、そして七里田温泉。申し訳ないけれども孝行に尽くしていたので(自分で言うか?)写真はなし。というわけで話は1週間ほどぶっ飛ぶ。博多へ。
博多では私の大親友みねまいこと会い、スペイン料理店にてご馳走になる(ありがとうございました)。そして、一泊して出雲へ。
出雲。
また突拍子もない地名が出てきましたが、出雲です。島根県出雲市。ここに、私が7-8年来気になって気になって夜以外眠れなかったフレンチレストラン、シェルブールがあるのだ。ここのブログをずっと拝見していた。今回、3週間ものまとまった休みが取れたので労を厭わず(いや、だから、自分で言うか?)出雲へ向かった。
(出雲空港にて撮影)
福岡、出雲間は、…ってか出雲空港は日本航空(のグループ企業)の独壇場。なので日本航空にて移動。このヒコーキがまたすごい。わずか30人乗り。考えてみると、こんな小さなヒコーキ、乗ったことないぞ。
(出雲空港にて撮影)
この日はあいにくの雨…ってか、私がQ州にいる間ほとんど毎日雨が降り続いていた。いつから私は天気に恵まれない男になったのだろう。そんな中、この小さなヒコーキは搭乗橋を使うことができない。そこに日本航空の職員によって差し出される傘。あるいは日本人にとっては当たり前のサービスかも知れんけど、くされRyanairに乗るためにずぶ濡れになったことのある私にとってはありがたいサービス。
私はおそらくジェット機に比べ低高度を飛ぶであろうこの小さなヒコーキからの眺望を期待していたのだが、残念ながら飛行はずっと雲海の中。もっと言えばヒコーキは揺れっぱなし。おそらく閉所恐怖症またはヒコーキ嫌いの方には地獄のようなフライトだったろう。だけど先日見た日本航空のエンジニアたちの愚直なまでの真摯な態度を見ている私は怖いとは思わない。
揺れることを予想していたのか、シートポケットにはゲロ袋4枚の大盤振る舞い(マテ)。
揺れながらも定刻どおり、いや、定刻より早く出雲空港着。そこからバスにて出雲空港に移動。まだ朝早いので昼食までは時間がある。出雲と言えばやはり、出雲大社。行きましょう。出雲大社。
…といいつつ、向かったのは、旧大社駅。出雲電鉄の大社駅より徒歩10分程度か。旧国鉄の駅舎は文化財指定され、保存されているらしい。
うん、趣のある駅舎だ。
往時はこの改札を使うほど多くの人でにぎわったのだろうか。ひっそりと静まり返った廃線跡でその状況を想像するのは難しい。
そうそう。一畑グループについて書いておきたい。ここ、山陰地方唯一の電鉄…汽車ではない電車を運行している。おそらくご多分に漏れず赤字に喘いでいることは部外者の私にすら容易に想像がつく。だけどさ、この会社、一生懸命なのが伝わってくるのよ。
この電鉄の運行経路は実に単純明快。出雲市から、松江市の松江しんじ湖温泉までの運行。そこに盲腸線のように逆トの字型に川跡駅より出雲大社行きの枝線が出ている。ここの川跡駅での乗り換えは、各方面から待ち時間なしで乗換えができるように工夫されている。各方面からの電車が同時刻に到着するのだ。その絶妙なダイヤはあっぱれとしか言いようがない。
驚いたことに出雲大社までの電車にはマスクをしていたもののきっと美しいに違いない女性のガイドさんが乗車。たった5人の客のために沿線の説明をしてくれた。なんと粋なサービスか(でも毎日乗ってたらウザいかも)。私は一畑電鉄のファンになった。そして、バスは見事なまでのパターンダイヤになっている。本数こそ少ないものの、利便性の高さは折り紙つきだろう。がんばれ、一畑グループ。
話は戻って旧国鉄大社駅。まだ時間はある。で、古代歴史博物館に行こうと思っていたのだが、よりによってこの日は月にたった一度の休館日。この運の悪さはなんじゃ?
やむなく信心深さなど微塵もない私ながら、出雲大社へ。写真を数枚撮りましたが、果たしてどこが本殿なんでしょ?おみくじも買わず買ったのは一畑運営のお土産屋で買った出雲そばに、あご(魚)の加工品。
ちなみにこちらが電鉄の大社駅。こちらも文化財として価値のある駅舎だそうな。
そう、月に一度の休館日で思い出した。出雲市駅の推定デパートも本日定休日。うーむ、私が向かうフレンチレストラン、シェルブールは果たして開いているのだろうか。雨の中出雲くんだりまで行って定休日だったりしたら目も当てられない。
実は日本に出発前、シェルブールさんあてに予約のメールを送ったのだが返事はなし。ま、メールなんて所詮は保証されていない通信手段。着かなかったことだって十分考えられる。当たって砕けろ。もし休みなら縁がなかっただけのことさ。
出雲大社よりバスにて件のシェルブールへの最寄のバス停に移動。…したのだが、シェルブールが見つからない。氏のブログを拝見して、なかなか見つけづらいレストランであることは承知していたつもりだったが、ない。ないぞ。
迷うこと数分、ようやくシェルブールを発見。
…難易度高いよ。これ。もっとも、フレンチレストランという特性上、国道沿いにあるようなネオンが煌々と輝く巨大な看板はそぐわないのかもしれないけど。
迷ったおかげで営業開始のぴったし正午に到着(称してケガの功名といいます)。さあ、開いているかどうかと祈るような気持ちで2階のシェルブールのドアを押してみると(あれ、引いてみたんだっけ)ドアは開いた。やった。営業中だ。もちろん最初の客。
シェフさんは、案の定といえば案の定、私の予約メールをご覧になっていなかった模様。予約メールでは「シェフさんのお勧めの逸品をお任せで出してください」とお願いしていたのだが、話が通じてない。かくして、3,500円のコースを注文。
ちょいとちょいと、これ、3,500円のコースですよ。もし、これが東京で同じものが出たら、その倍は軽くかかるであろう料理の数々。シェフさん、実は東京やパリのレストランで長く修行をされていたらしく、その腕は折り紙つき。
一口前菜はサーモンフライ。いや、どう見ても一口じゃねえぞ。なんの葉っぱかは知らんが(グルメレポーターにはなれそうにないな。わし)、乗っていた葉っぱは口の中でとろけた。うまい。
ここでシェフさんが控えめに私のテーブルに来られて、観光ですかとお尋ねになる。…やっぱメールは届いてない模様。「はい。観光です。実はシェルブールさんのサイトからリンクを貼っていただいているものなのですが」と言うと、失礼ながら、シェフさん、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をされる。数秒の沈黙の後、「え?まさかSnigelさん?」と聞かれる。そうなのですよ。覚えていらっしゃらないかもしれないけど、数年前にメールで「いつか訪れます」と約束したんですよー。その約束を今日果たしましたよー。
二品目はレバーのサラダ。レバーはデパ地下のそれよりも上品な味(私はそれ以上のものを口にしたことがないのでこの程度の比較しかできない)。これもいいねえ。
お次はかぼちゃのスープ。クリームをふんだんに使用と思われる。カロリーが少々心配ながらおいしい。
で、いよいよメインディッシュ。ステーキでございます。絶妙の焼き具合。数年前のダブリンでも一二を争う名門ホテルのはずの四季旅館で食べたステーキを思い出した。あのさいずばかり大きい焼きすぎのステーキとは比較にならない。
もうおなかいっぱいというところで出てきたデザート。
うーん、よりどりみどりだ。すっかり満足。
シェフさん、私がすっかり満足しているにもかかわらず、出雲まで私が足を運んだことに感動されたか(いや、だから自分で言うかよ)、お忙しいにもかかわらず、ディナータイムまでのわずかな隙間時間を利用して、出雲観光に連れて行ってくださるという。感謝感激。
シェフさんのご提案は、日御碕ドライブまたは宍道湖一周ドライブ。宍道湖一周も捨てがたかったが、日御碕ドライブはずっとシェフさんのブログで気になっていた、シェフさんの畑とうさぎを見せてくださるという。それはすごい(この辺は、氏のブログを参照のこと)。
かくして、2時間にわたり、シェフさんは無償で観光案内をしてくださった。確かにウェブ上では長いお付き合いながら、実際には初対面。なのに、商売抜きでここまでご親切にしてくださったことに、この場を借りて心から感謝します。ありがとうございました。
かくして、出雲市駅よりふたたびにわかファンになった一畑電鉄にて松江しんじ湖温泉駅へ。聞いたところでは宍道湖湖岸のこの路線は風光明媚で美しいらしいのだが、何せ、雨でもやっている。さらには、昨夜実は寝不足だったので、車内でぐっすりと寝てしまう。
そこから市内観光バスにてJRの松江駅へ。小泉八雲の博物館をはじめ興味深い観光地があったのだが、時間はないわ、すでに陽は暮れているわで通過。遺恨を残すがしょうがない。あ、そうそう、なぜ松江市に移動したかというと、なんのことはない、出雲市からは全日空のヒコーキは離発着していないので米子空港(美保飛行場)まで移動する必要があったのだ。すまん、日本航空。私はマイレージカードの罠にすっかりはまり込んでいるアホタレです。
松江市から米子空港へはバスにておおよそ40分の道のり。考えてみると、出雲空港と米子空港は隣接しているといってもいい距離。この地域、新幹線や高速道路の発展は遅れているものの、空の便は進んでいる地帯といっていいかもしれない。待て、新幹線や高速道路が発展していないから自然とそうなったということなのか。
ともあれ、改装中で新築のにおいのする米子空港より、これまた最新鋭のB738にて羽田に到着。中一日で再び機上の人となり、コペンハーゲン経由でダブリンへ(やったー、ようやく時間が追いついたぞー)。
今回初めてユナイテッドのレッドカーペットクラブなるラウンジへ。ここ、無駄にすごい。
気になったことは、このラウンジにほとんど日本人の姿がなかったこと。もしかすると不景気で企業からビジネスクラスやファーストクラスでの出張が禁じられているのではないかと考えた。この推理が正しければ、日本発着の日本航空や全日空にとって受難のときが続く。
今回の荷物はこんな感じでした。
預け入れ荷物はスーツケース30キロ、スポーツバック15キロの計45キロ。あれま、重量制限内だよ(エコノミーエクストラクラスの許容30キロと、ゴールドメンバーの付加20キロの計50キロが制限)。中身は衣類などはほとんどなく、食品ばかり。大量の書籍は持ち込みの小型スーツケースに詰め込んでました。しまった、おいしいお米の5キロでも買えばよかったとも思いましたが、よく考えるとそんな大荷物一人じゃ運べない。なのでこれでいいのだ。
おまけ、私が日本から運んできたゴミ品物の数々。
というわけで(どーゆーわけなんだか)よいお年を。
おまけ。コメントで突っ込みが入ったので、一畑電鉄の車輌のスケッチ(撮ってたんかい)
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