【続:なぜか上海7】水郷の週末「楓涇」(1)

日曜日。


また晴れ。


昨日と同様慌ててネットで今日の目的地を探すダメな子な私。上海の近郊でさ、新幹線とかに乗らずにバスで気軽に往復できる場所って意外と限られてるのよね。そんな中で私が決めた場所は


楓涇


…また水郷です。いや、水郷以外にぱっとしたところがないのよ。むしろあるなら教えてほしい。


今回は地下鉄1号線の錦江楽園という駅からバスが出ているらしい。この駅で降りると、目の前にバス停がある…けどどーみても市内バスのバス停。なのに、案内表示にはいかにもここが乗り場のように書いてある。おかしいおかしいと数分駅の周りを見回していると駅の出口から見て左隣にちっちゃなバスターミナルがあった。このバスターミナルが梅龍とかいうらしく、昨日と同じ法則で楓梅線というらしい。ああ、単純。


中国のバス、待たされたとか満員で乗れなかったとかほかの旅行記で書いてあるけど、昨日の朱家角往復でもほとんどバスを待つことなく乗れたし、今日の楓梅線も乗り場についたらすでに冷房の効いたバスが待機していた。


バスが満席になると出発。ハイデッカーバスではないのでタイヤボックスの部分の床が低かったりするはずれ席があるものの基本的には4列シートの快適な車両。寒いくらい冷房が効いており、バスは高速道路で乗車をがんがん追い越しながら楓涇へ。60キロ近い距離を50分で駆け抜ける。


高速のインターを降りるとすぐに中華街のような大きな門の前のバス停に止まる。いや、中華街って表現が変。だって中国なんだもん。ここ。だけどまあ、そう思ったのよ。あれっ?と思ったんだけど、数人しか降りなかったし、日本人の私、みんなが降りないからボクも降りないっと。


そこからバスは数か所のバス停で人をおろしつつ最後にバスターミナルへ。


…またどっちに行けばいいのよ><


と思ったら、中英韓日の四ヶ国語で「観光はこちら→」と書いてある。ありがたや。


10分くらい歩いたら、橋が二つ連続してある。二つ目の端の脇に下に降りる道があって、そこを降りたところに観光案内図がある。どうやら着いたらしい。


おお。


ええやん。


昨日の朱家角のように観光客相手にぎらぎらした感じがないの。そもそも観光客がほとんどいない。いや、いる、だけど、中国人の国内観光客のみ。結局この日一日、日本人はもとより欧米人の観光客を一人も見ることはなかった。


のんびり。


お土産やさんもやる気なさげ。


のんびり。


いや、気に入った。言ってみればひなびた温泉街のようなイメージか。湯布院よりも湯平が好きな私(またわけのわからんたとえを)、これはいい。


なんどなく歩いているとたどり着いた、漫画博物館。なんか知らんが入ってみよう。


中に入っていくと突然係りのオバちゃんに大声で叫ばれる。「何だコノヤロー文句あるのか」と思ったら、おばちゃんの指した指の向こうになるほど、やる気のなさそうな入場券を売る窓口があった。


そこで何十円だか忘れたが小銭を払うと中に入る。どうも中国の風刺漫画家みたいなのだが、当然のように政治的な風刺漫画家ではない。こんな感じ。

ニョーボ:「私が年をとってもまだ愛してくれる?」
ダンナ:「それまで待たなきゃいけないの?」


まあ、はいはいと思いつつ、そのまま歩き回る。


のーんびり。


あー、そうだ、思い出した。日本のどっか地方の観光地の平日だ。これは。ぽつりぽつりと観光客みたいな人がいるだけで、店はやる気がないし、時間はのんびりと流れている。気に入った。ここ。


続く