6日め。土曜日。
この日はオークラからチェックアウト。このままオークラに滞在してよかったのだが、実は日曜日にドバイから同僚がやってくる(ここから先は私一人じゃ無理な仕事量なのでヘルプが最初から呼ばれる手はずだったのね)。で、日曜日に心配性のこいつを空港まで迎えにいかねばならない。じゃあ、日曜日にチェックアウトすればいいじゃん…ということになるのだが、次に泊まるホテルがわけのわからんことやってるの。
このShanghai Pudi Boutique Hotelというホテル、一泊素泊まりで220ユーロ。…なんだけど、「1泊するともう1泊無料」とかいうわけのわからんことをやってるのよ。スーパーでポテチを一袋買うともう一袋無料…ってな感じでホテルの提供してもいいもんだろうか。それで、奇数日滞在するより、偶数日滞在したほうがお得なわけね(よーするに1泊分の宿泊料が浮く)。
ただね、問題はこの移動。オークラからこのホテルまで、タクシーの初乗り料金で行ける距離(あるいは地下鉄一駅分)なのよ。玄関の車寄せには気前のいい日本人客が空港だ何だと遠くまで乗ってくれることを期待してじっと待っている(ように見える)。
そうそう、往来でタクシーを拾おうとすると、「逆人種差別」を受けることが数度あった。…何を言い出すんだというと、例えばさ、現地の人と私が数メートル離れた位置でタクシーに乗ろうと手を上げたとするじゃん。そしたら、タクシーは私のほうに止まるのね。なぜか。いつもと逆。もしかしたら、タクシーの運転手さんは、気前がいい日本人をかぎ分ける能力があるのかなとか思った。ま、そんなことが数度ありました。もちろん、先に来ていた現地の人に譲りましたけどね。
最後のオークラでの朝食はもちろん和食。チェックアウトをして、車寄せに向かうと、係りの人が行き先を聞いてくる(で、この行き先を通訳してタクシーの運転手さんに伝えてくれるシステムなのね)。この係りの人、ニヤリとして、待機してた運転手さんに(以下、完全に推理。だけど外れていない自信あり)
係:「はい、はずれくじー。Pudi Boutique Hotelまで初乗り料金」
運転手さん:「ええええええ」
その「ええええええ」が明らかに地声より2オクターブ高かった。できれば空港までとかあわよくば本日貸しきりとかいう客を期待して長い時間を待った挙句に初乗り料金の客が来たら、そりゃそんな声も出したくなる。逆に「ふざけんな」と怒ってくれたらこっちもむすっとして知らん顔できるんだけど、「ええええええ」と言われた日にはこっちも申し訳なくなる。なんかさあ、人のよさそうなおじさんなのよ。
当然数分でPudi Boutique Hotelに到着。中国語で「ごめんね」と言いつつチップというかお詫び金として5元(70円くらいですか)渡したら急に運転手さんの機嫌がよくなって、スーツケースをトランクから降ろしてくれた。ある意味世界一わかりやすい反応だった。
このホテル、なんでもおしゃれなホテルとして賞ももらっているらしい。まだ午前11時にもなっていないので、午後2時のチェックイン時間には遠く、とりあえず荷物だけでも置かせてもらおうとホテルに向かったわけ。
むむむ。
ここがホテルの入り口?最初ここを通り過ぎて従業員用の通用口に行きかけてしまった。
(事務所への入り口。これは…違う…よ…ね)
中に入ると…暗い。なんか怪しいナイトクラブのような雰囲気をかもし出している(写真は露出を思いっきり上げて無理やり明るくしてます。なのでぶれている)。めげずにカウンターで
私:「まだチェックインはできないのはわかってるけど、荷物だけ置かせてくれないかな」
快諾。
このホテル、あわてて予約したんでかなり適当に予約したんですよ。で、その時にぱっと見で、部屋がかっこいいのはわかってた。だけど、ざっとホテルの口コミを見ていた限りでは「いいホテルだけど従業員の質に難あり」という感じのことが書かれていたから、あまりそちらには期待してなかったの。だけど、こんな感じで親切だった。
(薄暗いエレベーターホール。フラッシュを焚きました)
また薄暗いエレベーターに乗って、薄暗い廊下を通ってたどり着いたのは…
…なにこれ。
正直今まで泊まったことのあるホテルの中で一番びっくりした。
ほら、ホテルの部屋のつくりって基本一緒じゃないですか。部屋の入り口のドアを開けるとすぐにバスルームがあって、その奥にベッドがあって窓がある。ところが、ここは
…バスルームも超開放的。
ミニバーもすげー(値段もすげー…でしたが)。
強いて難をあげると、なんか、匂うの。タバコでもないと思うけど、よくわからないけど、何か。部屋に入って数分で気にならなくなる程度のものだけど、結局何のにおいだったのかはいまだにわからない。
バスルームのアメニティも充実。なにこのL’OCCITANEって。有名なのかしらん?
まあ、問題点はあとあと明らかになっていくのだが、それはのちほど。
とりあえず、荷物を置いてさあ出社。…の前にお使いを頼まれていたのだった。サーバー室のケーブルを束ねるためのバンド。これを買いにMedia Marketに向かう。
…ない。
そこで、そうだ、「上海のラジオ会館」があると言われる宝山路へ行ってみようと思いつきタクシーに乗る。
…なにが、上海のラジオ会館だよ。その怪しさの軽く100倍はあるじゃないか。
くうう、残念、俺、ここで一日過ごす自信があるのに、とにかくバンド探しに専念。苦節20分ほどで発見…したはいいが、英語がまったく通じない。ここで私は最終秘密兵器を出す。
指さし中国
役に立ったよ。こいつ。このバンド20元。おそらく値引き交渉できたろうけど250円くらいでそんなことをする気もなく、そのまま購入。そして、タクシーで会社へ。
例の高層ビルのオフィス。土曜日だから当然誰もいない。自分の普段勤めている会社でもないのにそこに休日出勤するなんて不思議だなあ…と思ったら、いや待て、そもそもなんで俺は上海でサーバーの組み立てなんてやってんだ。大学はトコロテン大学経済学部卒。コンピューターなんかに興味なし。何を間違ったかアイルランドで就職して、なぜかなんちゃってアイチーになって大陸の反対側の果ての上海の高層ビルの窓のないサーバー室の隅でなんだかごちゃごちゃやっている。自分の人生、きっとそんなに悪くない…と、思いたいけど…どーなんだろうねえ。
午後7時とかになって腹が減ったと近所のショッピングセンターへ。
地下の食品売り場の脇で見つけたもの。
日本語で書かれたとんかつ定食。
うーん。とんかつ定食。
…「日本を感じる上海出張」のコンセプトにどんぴしゃり。
すたすたと中に入ると、レジのところにいたおばあちゃんと呼んでも怒られないであろう店員さんがやってきて中国語で「一名様ですか」と聞いてくる。…あ、そういってると思っただけで、もしかすると、「純白のブリーフは好きですか」と聞いていた可能性が絶対にないとは言い切れないが。
(ごますりの向こうにアサヒスーパードライが見えるのは目の錯覚です)
おばあちゃん、私が中国語を話さないと理解すると、明らかに一瞬どん引いた。だけど、それからがすごかった。途中でゴマとすり鉢が来たんだけど、それをニコニコしながらジェスチャーで(こうやって擦るんだよ)と教えてくれる。料理が来てからも、このソースをすりゴマに入れてかけるんだよ。味噌汁のおかわりはどうか、ご飯は?キャベツは?とジェスチャーで聞いてきてくれる。
あー、思い出した。これ、うちのばーちゃんとこに彼女を連れて行ったときと同じだ。うちのばーちゃん、もちろん英語なんて話せないからにこにことジェスチャーで話してたな。なんかそんなことを思い出して嬉しくなった。
それから仕事に戻り、午後11時くらいに突然集中力が切れて
「もう帰る!」
…と投げて帰ってしまった。まあ、半日も仕事したんだからいいでしょ。
オウウ〜 ロクシタンって女子に人気のブランドじゃないですかあ。素敵ですね。ちょっと泊まりたいかもと思ってしまいました。
やっぱり。なんか有名なブランドじゃないかと踏んだんですがそうでしたか。シャンプーが持って帰りたくなるくらいいい匂いでした(注:持って帰ってませんw)。