日本では「暫定税率」でガソリンスタンドは右往左往、消費者もいつまで税率の低いガソリンが手に入るか疑心暗鬼、地方のお役所は予算が執行できないと阿鼻叫喚…日本から離れたところで醒めた目で見ていると、「なーにやってんだか」と半ば呆れて見ています。
それにしても、異論反論おありでしょうが、福田総理の言ってることはいちおう理にかなっていると思います。すなわち…
まず世界では、ガソリンに対する税金を引き上げる傾向に今あります。これは、世界が地球温暖化問題に立ち向かうため、ガソリン価格の引き上げが、CO2を排出するガソリンの消費を抑えることに役立つと考えているからであります。この結果、ガソリン価格は今、イギリスでは1リットル250円です。フランスやドイツでも1リットル220円であります。もしここで日本がガソリンの税金を25円安くすれば、ガソリン価格は125円となり、イギリスの半分になってしまいます。地球温暖化対策に取り組んでいる世界に対して、日本はガソリンの消費を増やそうとしているんではないか、という誤ったメッセージを発することになりかねません。時代逆行の動きであります。
(首相官邸のサイトより転載)
これに関してはホントにその通りだと思います。現在のアイルランドのガソリンの平均価格はリッター1ユーロ20セント(出典:AA Ireland)円に換算して192円。暫定税率がかかっていた3月に比べても40円程度安い計算になり、現在ではリッターあたり60円以上安い計算になります。この理屈でいけば、福田総理の主張はきわめて納得できる理屈なのです。
ただ、この理屈はどう考えてもあとからとってつけたような理屈という感は拭えないわけで。じゃあ、暫定税率で山奥にほとんど交通量絶無の道を作ることが地球温暖化対策なのか…と聞いてみたい気もしますが。
で、暫定税率でガソリンがリッターあたり25円下がったと喜んでいる方。そんな方にぜひ見ていただきたいのが今日の写真。
こちら、ダブリン市内の某ガソリンスタンド。リッター1ユーロ18セント(189円)はまあダブリンとしては普通かなあと。が、町の中心部にほど近い某ガソリンスタンドは人智を超越した価格設定をしてます。
リッター1ユーロ79セント(286円)。
なんとまあ、ほかと比べてリッターあたり60セント(ほぼ100円)ぼったくってるんです.よ。
ちょっと計算してみました。例えば満タンで50リットル給油した場合、フツーのスタンドで1.18ユーロで給油すると59ユーロ(9440円)。それに対し、そんなことをするやつがいるかはどうかは知らんが、ぼったくりスタンドで1.79ユーロで給油すると、なんとなんと89.5ユーロ(14320円)。
どうしてこんなことがあり得るかというと、ここ数年でダブリンのガソリンスタンドの数はおそらく半減したと思う。で、町の中心部のガソリンスタンドはほとんど壊滅状態。で、生き残ったこのスタンドはとんでもないぼったくりの値段で殿様商売を始めた模様。で、フェリーでダブリン港に着いた観光客が何も知らずに通りがかりのこのスタンドでガソリンを入れたりするのだろうか。もう、日本の暫定税率の議論などセコく見えてしまうほどの見事なぼったくりぶりにはある意味脱帽です。