社長の椅子

山崎豊子氏の小説、賛否両論あるのは知ってますけどあくまで「小説」として読む限りは素晴らしいと思います。…何が言いたいかというと、「ノンフィクション」として読むと「フィクション」「ノンフィクション」の間がはっきりしないので、何かおかしくなってしまう気がします。


まあ、突き詰めちゃうと「ノンフィクション」ってなんやねん…って話になるんですよね。どんなに関係者に緻密な取材をしても、当の本人だって自分がした会話の一字一句を正確に覚えているわけないし、そーゆー意味では、真のノンフィクションなんてこの世には存在しない気もする。


なんか訳のわからんことを書いたおかげで、半分くらいの読者さんがどっかに行かれちゃいましたが、実は大した話じゃないんです。今ね、テレビドラマの不毛地帯を見てるんです。原作も読んだのですが、基本、原作に忠実に作られていると思います。


(注:ここから2段落、軽くネタバラシあり。まあ、読まれても原作およびテレビドラマは楽しんでいただけると思いますが念のため。)


この不毛地帯、某商社でのある実在する人物を取材することで作られたノンフィクション(そう、山崎豊子氏って、この手法でフィクションとノンフィクションのはざまを不明瞭にするよねん)。で、岸部一徳さんが主人公のライバル役をやってるの。途中で主人公から追い出される形で社長の椅子を目の前にして関連会社に出向を命じられる…つまり、出世レースから外れてしまうシーンがあるの。


岸部一徳さんってさ、他で見たドラマでは抑揚がないというかなんかわざとなのか感情のない喋り方をしてるのに、このドラマでは感情をかなりむき出しにした演技をします。でね、座れなかった社長の椅子を前に崩れ落ちるシーンがあるんですよ。なかなかの場面です。


そう、今日のテーマは(ようやくたどり着いたらしい)社長の椅子です。


話は突然飛ぶようですが、新年早々副社長に呼ばれました。ちなみに社長は未だに冬休みです。呼び出されたといっても私の悪事の数々がバレたわけではなく、なんちゃってITサポートを頼まれたのね。


副社長は私がコンピューターを直している間出かけてしまった。そこで、私は出来心で、(副)社長の椅子を撮影。


いや、ホントはね、副社長の部屋の全景を撮りたかった。だけどさ、魑魅魍魎としたネットの世界、何が起こるかわからないから椅子だけで自重した次第。


これが(副)社長の椅子。なんかさ、自分に野望だの向上心だのがないせいか、「ふーん」って感じなのよねん。まあ、革張りで背もたれが高くて平社員の椅子とはほんのちょっとですが格の差を醸し出しています。


不毛地帯で岸部一徳さんが演じる里井副社長が社長の椅子を眺める気持ちがわからないわけじゃないけどさ、でもさ、このイスに座るために全てを投げ出してモーレツ社員(激死語)になるくらいなら、家でおいしい夕飯を作りたい…と思う私は多分ダメ人間なんだろうなあ。


とにもかくにも、(副)社長の椅子、個人的には萌えません。そもそもさ


私の椅子と同じ椅子ですから。


私のこの椅子。倉庫に眠っていたのを数年前無断で借りてきました(をい)。私、考えに煮詰まったりすると頭を背もたれにぶつける癖があるんです。それをやるときに普通の平社員の椅子だと背もたれが首までないから首が「すかっ」と空を舞って痛い目に遭うんです(ただのアホタレやん)。それが嫌なためだけに自宅の椅子も首まで背もたれが届くやつを使ってます。


というわけで、(副)社長の椅子にもう座ってるから、昇進なんてしなくていいや。