【2022日本帰省-5】そうだ 京都 邪魔だ


翌日。本日の目的地は東海道新幹線の熱海駅。現在地の山陽新幹線・西明石駅からは本数は多くないものの直通のひかりもあり、これなら東海道・山陽新幹線で一本。2時間40分とかで到着できる。具体的にはのんびり出発して10時24分発のひかりに乗れば、13時4分に熱海着。のほほんとお昼ご飯を熱海で食べることができる。

なのだが、私は在来線で大阪駅へ。ちなみに朝はAシートがついている新快速に乗ろうと思っていたが諸事情により出るのが遅れた。

午前9時台の神戸線はまだ朝のラッシュの影響が残るのか結構混んでいた…と言っても神戸駅辺りからあっさり快適なクロスシートに座れたけどね。

おろしぶっかけうどん420円…だったと思う。

40分ほどで大阪駅に到着。乗車予定の電車まで30分ほど時間があったので朝ごはん。なんにすべえか…と選んだものは駅構内にあったうどん屋さん(夜は居酒屋さんらしいけど)。朝ごはんにうどんとは日本的で実に好ましい。時間がいささか気になっていたのだがさすがは日本、あっという間に出てきたので乗ろうと思っていた電車に乗り遅れることなくのりかえ。

大阪駅の1番線から乗り換えたのは大和路快速加茂行き。大阪駅1番線ホームの乗車列の整理方法が京急の品川駅そのもの。

画面の前で「いや待てお前は熱海に行くんじゃなかったのか」…というしごくごもっともなツッコミをしてくださったお方。あなたは正しい。なんだけど、前回書いた片道きっぷの規則を思い出してほしい。同じ路線には二度乗れないんだ。

ここで問題になるのが京都。京都ってね、鬼門。…ってそれじゃ意味がわからないですよね。

おヒマな方は鉄道地図を用意してください。これで小倉から東京経由新山口行きの片道切符を買うべく一筆書きで鉄路をなぞってみてください。すると一つのことに気がつかれるはず。

そうだ

京都

邪魔だ

良くも悪くも京都ってある意味で大阪よりも交通の要衝なのよ。というのも、行き(か帰り)で東海道新幹線を使うと帰り(か行き)では京都を避けなければいけなくなる。これが意外なほど難儀なのだ。具体的には日本海側の若狭湾をなぞる小浜線か、はたまた紀伊半島の山中を縦断する関西本線かの二択になる(紀伊半島沿海をなぞるとかいう所要8時間のルートはさすがに除外)。つまり、この長い片道乗車券は実用的ではなく単なる変態趣味のためにあると言っても間違ってないと思う。ちなみに大阪は山陰本線で福知山方面に逃げることで避けることができる。

私が選んだのは関西本線。小浜線があまりにローカルすぎて途中で旅程に組み込めなかったのだ。これは後日詳細。

ところが。この関西「本線」も実に曲者。

関西本線はその名の通り、大阪難波から名古屋までを奈良や亀山を経由して最短で結ぶJRの路線。実際になんば駅から名古屋駅まで直線を引くと、近鉄のそれより正確にそこがほぼ関西本線のルートになる。こう書くと何も知らない人はこの路線は大変にできる子だと錯覚しそうですが、その実途中は単線非電化の完全ローカル路線。

あれ?加茂って京都じゃなかったっけ?ローマ字でNara-Kamoって書いてるのがちょっと気になる。たぶんKamo Via Naraと言いたいんだろうけど…。

大阪駅でうどんを食べた私が乗ったのは、毎時1本しかない(昔はもっとあったらしい)関西本線を通る大和路快速。関西本線を通るくせに(たとえば「関西快速」ではなく)大和路快速を名乗ることがすでにおかしい。東京近郊にお住まいの方なら、「埼京線を誰も赤羽線とは呼ばないのと似ている」と言えばわかっていただけるかも。これで天王寺駅を経由し加茂駅までが大和路快速。大阪環状線内でも謎の運用をしているのだがとりあえず端折る。

大阪から1時間20分ほどかけて加茂駅に到着。もとからあまり乗っていなかったお客さんも加茂駅の一つ手前の木津(奈良線乗換駅)で降りてしまいほぼ貸切状態に。

加茂駅で待っていたのは

「列」車ではない。じゃあ「単」車かというと、それも違うね。

これかいっ

単編成のバスかと見まごうようなこれが関西「本線」を走る列車なんですかね。はい、これをレールバスと呼ぶらしいです。

運賃箱に交通系カード読み取り機がついてますが、これをつけるのはけっこう大変だったそうな。

乗客は20人ほど。車内にはバスのような運賃箱のついた運転席が前後にあり、トイレは1箇所、あとはクロスシートとロングシートが組み合わされて設置されている。乗り込むのが遅れたしかもおひとりさまの私はロングシートの一角に座る。

窓の下には神田川ではなく木津川。

加茂駅をディーゼルエンジン音を響かせつつ発車すると、レールバスはすぐに木津川沿いの険しい地形のなかを走り始める。景色はとてもいいけど(天気は残念賞)そこには関西「本線」の風格はない。でもね、朝夕以外の閑散時も毎時1本走ってるのよ。最低限の利便性は確保されていると言っていいかも。

車内。どうも乗客の数人は鉄道マニアさん。特に中学生くらいの男子5名は写真撮影などに忙しそう。あれ、今にして思えばこの日は平日。ありがちな学校の創立記念日とかいうオチだったのかな。

ともあれ、この5人は草津線の乗換駅の柘植駅で降りる。運転手さんに大回り乗車です」と告げながら。…つまりは20人のうちの少なくとも5人の乗客はJR西日本の売上にほとんど貢献していない人たちだったのね。

件の中学生が主に陣取っていた車内後部にあとで行ってみた。なるほど、後方眺望ってのも面白いわね。運転手さんの邪魔にならないので気兼ねしなくていい。

加茂駅から1時間20分。関西本線で紀伊半島を横断して到着したのは世界の亀山駅。うちにも大昔「世界の亀山モデル」と書かれたテレビがあった気がする。あのステッカー、剥がせばいいのにたいがい剥がさなかったなあ。

そんな亀山駅に到着したのは午後1時頃。乗り換えに20分。…となるとお昼の調達をということに当然なる。わざわざ改札外に出てみたものの駅の周りには見事なほど食堂はおろか商店もない。

世界の亀山駅の発着案内。毎時1本程度各方面に列車が出ているので、利便性は悪くないと思う。しかも毎時近い時刻に各方面に発車するということは接続を考慮しているのだろう。この新山口までの片道切符を使いこのあともっと不便なところに行ったあとから思えば、利便性は全く悪くない駅。ちなみに改札から連絡階段を使わずに行ける名古屋方面がやっぱり一番厚遇されている気がする。

ワンマン快速名古屋行き。2両編成

ここから名古屋までは快速電車。2両編成のJR東海所属のクロスシート車両。関西本線はここ世界の亀山駅でJR西から東海への所属となる。特に意図はしてなかったけど、こうして関西本線を完乗する(そんな言葉があるかは知らんが、意味は通じるよね)。そういえば以前近鉄でも難波から名古屋まで移動したことがあるのでこちらも意図せず大阪から名古屋までの近鉄・在来線・新幹線の全てに乗ったことになるな。紀勢本線…だから知らんってば。

大阪から名古屋への移動。普通の人は新幹線、時間に余裕があるのでちょっと安めに移動したい人は近鉄。最低でも2度ののりかえが必要となる関西本線は…えーと、知らん。あれ、高速バスとかもあるのかな。あるだろうな。今回はJRの旅なので調べてもいないけど。

この2両編成の快速電車はワンマン運転と書かれていたが、実際には車掌さんが乗務されており検札を受けた。それにしてもこんな短い2両編成の電車が天下の名駅(名古屋駅)まで乗り入れるのかしら…と思っていたが、四日市などの駅を抜けて1時間ちょいで名古屋駅へ到着(例えば東京駅に乗り入れている車両って最低でも6両でしょ。調べてないけど)。

名古屋駅到着時撮影。世界の亀山駅と同じ角度の写真ながら背景がビルに。

ハラヘッタ

名古屋駅構内。なぜか上野駅を思い出した私。

とつぶやきながら何気なくホームからの階段を降りたのだが、そこにあったのは昭和臭しかしない通路。えええ?天下の名駅ってこんな感じなの?思えば人生で名古屋駅に降り立ったのは二度目。一度目は近鉄の名古屋駅だったなぁ。ということは、JRの名古屋駅は人生初だわ。

と思ったら、改札を出ると期待していた程度には栄えていた。でもここは栄ではない。名駅。

駅ビル内のパン屋さんにて。この写真をあとで嫁に見せたらうけていた。フラムクーヘンとかカタカナで日本でも通じるんだね。

 

ご参考までに、こちらがドイツのレストランで注文した「本場の」フラムクーヘン。ドイツフェアのパンを食べていないのでどちらが美味しいかは定かではない。

いやいやいや、私は名古屋くんだりまでドイツフェアの撮影をしに来たわけではなく。朝に大阪駅でぶっかけうどんを食べて以来何も食べていないのにすでに午後2時半。世界の亀山駅での食料調達も失敗し、お昼を完全に逃してしまったのだ。そう、食事こそが現在の最大の関心事。

曜日とか時間帯によっては並ぶこともあるのかな?月曜日の昼下がりの店内はがらがらだったけど。

どげんかせんといかんと向かったのはまるや名駅店。名鉄百貨店のレストラン街にある鰻屋さん。広島でも大阪でもなんなら明石ででも名物を頂いてなかった私、大いに反省し、名古屋名物ひつまぶしをいただくことに。

平日限定のミニひつまぶし平目刺身セット3250円。ランチに3000円超え(しかも「ミニ」)とはどえりゃー贅沢…と思ったけんどユーロに換算すると€22(当時のレートによる)…急に安く感じたがね。なんか日本の行く末が心配になっていかんがね。ひつまぶしは美味しくいただいたがね。けど、感動したほどとかじゃにゃーがねんとも(これ以上エセ名古屋弁を使うと殴られそうなのでここから先の文体は元に戻すがね)。

感動とは違うけど、ある程度のお金を払うとこんなもんまでついてくるんですね。ある意味至れり尽くせり。

前回書いたとおり、新幹線って主要駅間を移動するにはとっても便利にできているけど、そうでない駅を利用すると急に不便になる。名古屋から熱海も実際に使える新幹線は苦行の各駅停車のこだまを除けば1時間に1本しかない。また若干の時間が余ったな。お、JRの駅ビルで50階とかに登れるな。

エレベーターのりかえ階の14階(だったと思う)より。

登った。エレベーターのりかえ階よりの風景もなかなかだったのでこれは期待できるぞ。

世の中の厳しさに気がつかされた最上階のエレベーターホール。

ところが、最上階でエレベーターから降りた私の目の前にあるのは本当に狭い空間だけ。その向こうにある(と思われる)眺望はこの高島屋の一部のカフェなりなんなりにお金を払わないと見せてくれないらしい。それほどの時間もないし、かと言って指定券を買った新幹線を1本見送って1時間待つほどの価値もなさそうなのでそそくさととんぼ返り。本屋さんで時間を調整しつつひかりに乗車。

ひかりは西…ではなく東へ。

名古屋到着時にしっかりと指定席を押さえておいた。その目的は明白。せっかくだから窓際席より富士山を拝もうと。ところが思わぬ伏兵がいた。

日が暮れた。こうして富士山は拝めないまま。

ついでに文句をいうと、新幹線の窓際席、アームレストに窓枠の一部が引っかかるのはなんとかならんのか。こんな文句を言ってるの私だけ?

富士山を拝めぬまま三島に到着。数分の乗り換えで在来線に乗り換えるつもりだったが、新幹線と在来線のホームは意外なほど離れており1本逃す。そうは言ってもたった15分後に次の電車が到着。熱海へ。続く。