90分買い物勝負

誕生日。


付き合い始めてもう何年経ったんだ…思い出せないくらい長いくらいのおつきあいの私の彼女の誕生日がまたやってきた。


誕生日が来ることはもちろんわかっていて、私がスーパーマーケットと航空会社以外では一番お金を使っていると思われる某熱帯雨林という店でいろいろ眺めていたのだが…いやはや、もうネタに尽きたよ。あれも前に買った。これも買った。もうネタはかぶりまくり。サイズとかがはっきりわかれば洋服とかでもいいんだけど、着てみないとわかんないでしょ。靴も含めて。


そんなわけで、熱帯雨林を眺めているうちに時間だけが過ぎ、ふと気がつくともう時間的に間に合わない…という状況になってしまった。そこで私は、フランクフルトでの空港の乗り換えと、Hannover中央駅での乗り換え時間に何かを力づくで買う…というかなり無謀な計画を立てた。


土曜日の朝5時20分発というなにか勘違いをしたとしか思えない出発時刻のルフトハンザ機でフランクフルトへ。機内ではこのサイトのコメント欄でもお馴染みの方とばったり会う。…もっともばったりでもないのだ。なにせこの御仁、Bank Holiday(祭日)ごとにどっかに飛んでいるらしいので私と行動パターンが丸かぶりなのだ。


でもまあ、こんな早朝のヒコーキの中で朝から元気に雑談をする元気のない二人は(って一緒にしちゃったよ)機内ではお互い居眠り。フランクフルト到着後ターミナル内の移動で若干話をする。行動パターンが一緒の私達、案の定といえば案の定、帰りのヒコーキも同じということが判明。


もともとさほどの余裕のない接続だったこと、ヒコーキがフランクフルト上空で旋回して気持ち遅れたにこともあり、ふと気がつくと、もう次の便の出発時刻で、結局買い物なんて全くできないままHannoverへ。ちょっと時刻調整をして中央駅で1時間半の買い物の時間を取る。ここでなんとか選んでやる。


中央駅の眼の前にあるのはドイツ国内どこにでもあるデパート。ここはぬいぐるみの「定点観測地点」として私がずっと見ている場所。まあ、今回は関係ないからパス…


…できなかった。


おお、かわいい。


買おう。


この時間のない中なにやってんだ、脳みそになんか湧いているんじゃないかと自分でも思いますが、でも、まあ、そうして貴重な15分を無駄にする。


そして、そのお隣のショッピングセンターへ。中に入るとドイツ国内どこにでもある特徴のない店がここでおずらずらと並んでいる。何といえばいいか、ほら、イオンのショッピングセンターの専門店街、どこでも中のテナントは似通ってるでしょ。あれと一緒。地域性がないというか。


ここでいろんな店を駆け足で見て回るが…決め手に欠けるのよねえ。私の発想が貧困でいつも同じような考えしかないというのがそもそもの問題なのだが、まあ、時間ばかりが無為に過ぎてゆく。残り45分。そうだ、表通りをパッと見て、何もなければもういい、ショッピングセンター内のいつもの靴屋さんの商品券で…という完全に考えることを拒否した計画を立てる。


表通りに行って店を眺めるが…全然ダメ。残り30分。仕方ない。ショッピングセンターに戻ろう。


ショッピングセンター内のいつもの靴屋さんでそこの商品券を買おうと突入。


私:「商品券の取扱とか、ありますか?」
係:「ございますよー」
私:「じゃあください。…あ、念の為にお尋ねしますが、他の支店でも使えますよね」
係:「ええ、当店と、B市の支店、C市の支店…」
私:「ええっと、X市は?」
係:「X市はエリア外なんですよ」


えええええええ。なんでよ。なんで遠いB市で使えて、すぐ近所のX市で使えないのよ…などと文句を言っているヒマはない。急げっ。残り25分。


仕方ないので、あまり気乗りはしなかったが、お隣のストリートファッションでお馴染みの店へ。ここの商品券はドイツ国内どこでも使えるらしい(それが普通だよね)。買う。残り20分。


そして、階下のロクシタンへ。ここ、物腰の柔らかそうなおばちゃんの店員さんが他のおばちゃんの接客をしてる。それ以外の人は誰も居ない。この二人がいつまでもあーでもないこーでもないとやっているのだ。おばちゃんが店を出るまで5分。残り20分。


ロクシタンと出会ったのは去年の上海出張。泊まったホテルのアメニティがロクシタンだったの。いい商品だったのよねん。なので、いつか自分で買ってみたいと思っていた(はいはい、どの顔でそんなこと言うとか言わない)。


それはともかく、実はもう一つ、この後に枯れ木も山の賑わいの精神で、花束の一つでも買おうと思ってたのね。列車に5分前に乗るとして、花束を作るのに10分は欲しい。つまり、ここでの持ち時間は5分。急げっ。


私:「予算XXユーロくらいで誕生日プレゼントを探しているんですけど」
係:「それでしたら、当店の商品をご紹介します。こちらは新商品でして…


…(5分経過)…


…そして、続きましてはこちらの店にある商品で、こちらは無香料で…(以下略)」


本当に親切な店員さんだった。好感度高し。が、しかし、時間がない中でこの新設亭な説明はちょっと…。


私:「わかりました。ええっと、だったら、この棚から適当にギフトボックスを作る感じで」
係:「かしこまりました。こちらの香水もお試しになりますか?」


…いや、もういいから。


係:「箱はこちらとこちらとどちらがよろしいですか」
私:「じゃあこっちで」
係:「では今お包みしますね」


またこれが丁寧に丁寧に箱詰めしてくださいまして。かわいいリボンまでつけてくれた。ようやくレジに移動。もう私はXXユーロを財布から出して支払い体制。急げっ。


係:「もしよろしければアンケートにご協力いただけますか?」


…ノーと言えない日本人。この時点で花束を諦める。


係:「以上でアンケートは終了です。アンケートにご協力いただきましてありがとうございました。お礼にこちらのサンプルセットを差し上げます。こちらはそのままご旅行にお使いいただけるタイプでして、こちらのシャンプーが…(中略)…」


と、サンプルだけで相当の数をいただく。


係:「それではお会計失礼します。ギフトセットがXXユーロで、その他サンプル品がXXユーロですがこちらはここで値引きさせていただいております」
私:「はい。じゃあ、XXユーロ」
係:「XXユーロお預かりします」


で、ようやく商品を袋に詰めていただく。ところが、まだ、これを渡してくれないのだ。


係:「あ、今、この紙(パラフィン紙のような推定A3サイズの紙)に男性用の香水をお付けしますね。こちら、タンスの中に使っていただければ最大3週間は香りが持ちますよー」


結論として、いいお店だった。なるほど、商品が馬鹿高いだけのことはある。よーするに、(私にはとんと縁はないが)ティファニーとかと一緒で接客を楽しむ店なんだわ。ここは。逆に言えば、時間に追われている時にはいる店じゃないということを痛感した。残り5分。駅のホームまで駆け足で向かい、無事に予定の列車に間に合いました。


ちなみに、他にも何かプレゼントがあったのですが…触れないでおきます。

今日の反省点:ぬいぐるみ買ってるから時間がなくなったのでは…。